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物語31森松の助言
しおりを挟む俺が森松に先日さくらに誤解されたことを話した。何とかさくらの誤解を解きたかった。
「お前、何をやっているんだ」森松に叱られた。
それは先日金町で連れて歩いた女性の事だった。実は彼女は森松の大事な顧客会社の女性役員だったのだ。
ノーブルシステムの現場を見て貰うため、会社に呼んだのだが、森松がちょうど別の客先に出かけたので、俺が変わって彼女を駅まで向かえ、会社に案内したのだ。
それを事もあろうに、さくらに見つかるとは間が悪い。素直に正直に彼女に言えば、問題はなかった。
しかし男一匹、そんな言い訳じみたことは言いたくなかった。
意地と言えば意地だが、俺だってプライドくらいある。まして仕事上の事をいちいち、言い訳がましくは言いたくなかった。
それを勝手に勘違いした、さくらがいけないと思っていた。
森松に話したら、いきなり怒られた。
「お前そんな事で、大事な彼女を傷つけても良いのか?」
「別に傷つけるつもりはないよ。なんと言っても、腹をすかしたのは俺なんだ」
「お前の腹なんか少し減った方が、良いスタイルのなるよ。それよりさくらさんが可哀想だ、きっと泣いているよ」
「そうかな?彼女そんな弱くないと思うけど」
「お前は女心が解ってないな!女性はいつも男性の気持ちを気にしているものだよ。」
「そうかな?」
「お前幾つになったんだ、もういい年だろ。彼女を逃がしたら、もう恋愛は出来ないし、結婚も出来ないぞ」
「そんなものかな?」
「女心はデリケートなんだ。今度合ったら土下座して謝れよ!」
「お前、誰の所為だと思っているんだ。だいたいお前がドジして、予定を二重に入れたのがいけないんだろう、勘弁してくれよな」
「アーそれもそうだな?仕方ない一肌脱ぐか」
「仲直りするのに良い知恵でもあるのか?」
「そんなの解らないよ、適当にするさ。そうだ森井由美子の事も話しておいた方が良い」
「なんで森井の話が出てくるんだ」俺はなぜ以前辛い別れをした女の事を、森松が言い出したのか解らなかった。
森松の話しでは偶然金町のレストランで、横井さくらに『森井由美子』の名前が伝わった事を説明されたが釈然としなかった。
「金町で大西の営業が、さくらさんを口説いていたんだよ。その時たまたま俺が居て無理矢理引き離したときに森井由美子の名前が出た。だからそれに対しても、きちんと話しをした方が良いだろう。」森松は女二人の事を同時にどう説明すれば良いか?考えて居るようだった。ふと思った。何も一緒にするから話しがもつれる。ちゃんと順に話しをすれば、解って貰えるはずだ。
「おい、ちゃんと責任を取ってくれよ」森松はあくまで他人事のように、冷静に考えられるが、おれはさくらを失ったらもう結婚なんて出来ない。
「でもさくらさんて本当に初心で可愛い人だな。きっとお前がノンビリしていたら、大西商事の誰かに攫われるぞ。用心しろよ」
「えー何でそんなこと?さくらに何かあったのか?」そういえばあの森井由美子ももたもたしている間の大西の山岡に取られた。男女の結婚って難しい
「それよりどうやって仲直りするかが問題だ。」
男同士で仲直りのための、浅知恵を働かせる二人だった。
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