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物語7
しおりを挟む私が毎朝ポチと散歩に行く水元公園は東京と埼玉県三郷市の間に流れる、大場川が注いで川幅が広くなった所を水元小合溜と呼ぶ様になったらしい。
公園としては東京都最大の公園で、先の方は小さな水路が江戸川に注いでいる。
東京葛飾区と埼玉県三郷市の境の公園なので、私達が散歩しているこちら側は東京都、川向こうは埼玉県三郷公園になっている。
公園東側には水辺に強い草木が生育し、ハナショウブ、スイレン、コウホネといった水生植物を多く見ることができる。
春には長い土手沿いに沢山桜の木がある。そこにいっぱいに桜が咲き乱れ、とても綺麗だ。その光景は「ハッと」息を呑むように見事に咲く。それはそれは見事と言うほかなく、思わずしばらく見とれてしまうほど綺麗に咲く。
その場所を通っただけでも、桜の花が見物客を包んでくれる。
花の散り際には春のまだ冷たい風に、花びらが舞う景色は何と表現したら良いか迷うほど見事だ。
六月には菖蒲が見事に咲き、朝早くても人が沢山出て、写真など撮影して居る。
公園の水面は少し冷たい春の風が渡り、深呼吸すると公園の花の香りで身体に流れ込む。その他園内にはポプラ並木やメタセコイアの森、ハンノキなど四季それぞれ豊かな自然を見せてくれる。
昔「ええじゃないか」という江戸末期の庶民騒動を映画化したとき、ここが撮影に使われた。水元公園と三郷公園の間に、両国橋に見立てられた木製の橋が架けられ、ロケが行われ、映画は一九八一年松竹から放映された。
当時撮影に近所の農家の方々がエキストラとして出演したのだが、元々水元のお百姓さんなので、衣装を付けるだけで、江戸時代の百姓を演じることが出来た。もちろん役は無く草むしりとか、背景に写るだけなのだが。
水元公園は緑が豊かで、週末には駐車場がいっぱいになるくらい、沢山の家族が来て公園は人で賑わう。キャンプ場もあり、そこでバーベキューなど、家族で楽しむ人々も多くいる。それだけ都会の喧騒を忘れ、広々としたのどかな公園だから、のんびり出来る。
春の朝、散歩はまだ冷たい風が頬に気持ちが良い感じの中、散歩する人や犬を連れている人などと行き交い、中には顔見知りの人もでき、挨拶を交わす。
皆さん朝の気持ちの良い風にあたり、気持ちのいい顔をして行き交う。
近くにあるしばられ地蔵にも足が向く時がある、このお地蔵ざん、江戸時代大岡越前の命令で「泥棒を見過ごした」と言う理由で逮捕されたらしいが、お地蔵様を逮捕するなんて、当時の裁判官も思いきったことをする物だ。おかげで犯人はすぐ逮捕されたようだが。でもお地蔵様は今現在も「人の願いを叶える」と言うことでしばられ続けている。
お地蔵様は江戸時代生まれで中年でも無いのに、石の地蔵本体より藁縄の数が多く、お腹当たりがふくれている。
朝一番のシフトの時は、あまり長い時間散歩もしていられないが。
ポチとは長い付き合いなので、機嫌が悪いと顔色が変わる。それが私にはそれが解るので面白い。「また明日散歩しようね!」と優しく声をかけると、苦い顔しているポチも不承不承家まで付いてくる。
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