結婚って? 男性に取り、災難の始めかも?

sin,nisi

文字の大きさ
上 下
1 / 35

プロローグ

しおりを挟む
「横井君、君は風間徹課長と不倫関係にあったというのは本当かね?」
私はしばらくの間、答えられないで俯いてしまった。
此処は会社の会議室、私と風間徹課長の不倫問題の審議が行われている。直接人事部課長や私の上司の総務部長と係長などが出席して、次々と質問を浴びせかけられた。
風間徹課長はすでに質問が終わり、此処にはいない。今日は私への質問の場面だった。
上野係長からは「風間課長は正直にありのまま答えられた。君も隠し立てせずに正直に答えなさい」と言われた。
でも私にして見れば、単なる行きがかり上の事だったし、お互いに成人同士、確かに風間さんには奥様やお子さんまで居たが、互いの責任でするプライベートな事を、なんで他人に責められなければならないのだろうと思って居た。
「君、横井君、ただ黙っていたんじゃ解らない、しっかり答えてくれないか」
「おい横井、お前いつから唖になったんだ。ちゃんと返事しろ」直接上司の上野係長が怒鳴った。私は驚いて身震いし、仕方ないと思い話を始めた。
「あたしは別に不倫などするつもりは無かったんです。風間課長には、会社の人間関係で話を聞いて貰っていたんです」
「話しをするだけなら何で、同じ駅で何度も逢ったりするんだ?」
「それは、あたしも課長も同じ金町から通勤していたからです」
風間課長は総務部の課長私の上司だ。それが偶然同じ最寄り駅で会うなんて、それまで全然知らなかった。
「それがなぜ不倫だなんて?彼には奥さんもお子さんも居ることは君も知っていただろう?」
「はい、知っていました」
「それがどうして不倫など?彼はそんなに魅力的だったのかね?私には理解出来ないが?」
確かの風間さんは男盛りで行動力も包容力も有り、会社でも働き盛りだったが、見た目はただの中年おじさんだった。だからとうてい若い女の子が、惚れるなんて事は無いだろう。
「部長、蓼食う虫も好き好きと言う奴ですよ」係長が横から口を出した。
「君は風間君と結婚したいのかね?人の家庭を壊してまで、自分が幸せにでも成りたいとか思って居るのかな?そんなことが許されるとでも思って居るのか?」
次第に上役達は、私を責めてくる様な、口ぶりになって行った。私は別に悪いことをした訳でも無いと思っていたが、上役達の剣幕に何も言い返せずに俯いていた。
「横井君、どうなんだ、はっきりしたまえ。」
「私は課長の家庭を壊そうなんて想ったことは有りません。ただ・・・」
「ただ?ただなんなんだ?」
「総務部自体人間関係が悪いのは、皆さん知っていると思います。あたしはたまたま風間課長と帰りが一緒になったときに、話を聞いて貰っただけです」
「それが何で不倫関係になるんだ?」
「あたしは不倫したなどと思っていません。それに彼とは意識して関係したことは無いんです。」
「じゃあなぜ風間君は、君との関係を認めているんだ?」
「彼がどう思っているかは知りませんが、少なくともあたしは、彼と、風間課長と結婚なんて考えたことは有りません」
当時私が居た総務部は、結構女の子同士の人間関係が難しく、いつも悩みを抱えていたり、後輩や派遣社員達に腹を立てていた。
そんなことを聞いてくれたのが、たまたま同じ駅を利用していた風間課長だった。私は不満話を聞いて貰えれば、良かっただけだ。
この後執拗に、私と風間課長の関係について追求されたが、私にすればたまたま部内の人間関係について話を聞いて貰って居るうちに、酒に酔ってベットを一緒にしただけだった。
結局は私は首になり、課長は左遷された。
でも、私は首になっても、あんな人間関係が面白くない会社など、止めて良かったと思った。課長は首にはならず、異動命令だけだった。家族も居るし会社を辞める訳にも行かないのだろう。
私はさっさと次の仕事を探し、二度と大手町の会社に近づかない様にした。あんな会社頼まれても行きたくない。特に訳も分からず執拗に私を責めた、禿げ頭の山岡課長の顔は、二度と見たくもなかった。
はっきり言って、悲しいとか悔しいとかなどとは思わなかったが、自然と涙が溢れ頬を濡らした。
でも正直言って、幸せな結婚がしたかったし、普通の子供が二・三人居る平和な家庭を作り幸せ背になりたいと思って居た。
今でも運命の出会いが有れば・・・
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

裏切りの先にあるもの

マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。 結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。

元妻からの手紙

きんのたまご
恋愛
家族との幸せな日常を過ごす私にある日別れた元妻から一通の手紙が届く。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜

梵天丸
恋愛
グリーン侯爵家のシャーレットは、妾の子ということで本妻の子たちとは差別化され、不遇な扱いを受けていた。 そんなシャーレットにある日、いわくつきの公爵との結婚の話が舞い込む。 実はシャーレットはバツイチで元保育士の転生令嬢だった。そしてこの物語の舞台は、彼女が愛読していた小説の世界のものだ。原作の小説には4行ほどしか登場しないシャーレットは、公爵との結婚後すぐに離婚し、出戻っていた。しかしその後、シャーレットは30歳年上のやもめ子爵に嫁がされた挙げ句、愛人に殺されるという不遇な脇役だった。 悲惨な末路を避けるためには、何としても公爵との結婚を長続きさせるしかない。 しかし、嫁いだ先の公爵家は、極寒の北国にある上、夫である公爵は魔女の呪いを受けて目が見えない。さらに公爵を始め、公爵家の人たちはシャーレットに対してよそよそしく、いかにも早く出て行って欲しいという雰囲気だった。原作のシャーレットが耐えきれずに離婚した理由が分かる。しかし、実家に戻れば、悲惨な末路が待っている。シャーレットは図々しく居座る計画を立てる。 そんなある日、シャーレットは城の中で公爵にそっくりな子どもと出会う。その子どもは、公爵のことを「お父さん」と呼んだ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...