初めましての瞬間

ゆぎと

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ある日、海外でのファンミーティングで質問コーナーが始まった。

「質問です。2人の出会いは運命だと思いますか?」

「「はい」」

少しのシンキングタイムがあり、司会者の合図で答えた。

「2人共運命だと思ってるんですね⁈」

「僕はその時韓国に住んでました。新年の挨拶をしに帰国して実家に帰った時に事務所にも挨拶をしに行った。その時にこのドラマのオーディションがあるから参加しないかと言われたんです。タイミング的に韓国に帰るまで日にちが無い状態でした。オーデイションを受けて帰ろうと思ってたんです」

「僕は手当たり次第オーディションがあれば参加していたました。俳優になる事は母が強く望んでたのと僕の夢でもあったんです。このドラマのオーディションも沢山受けた中の一つだった」

「2人が会ったのはオーディションで?」

「はい」

「そうです」

「どちらが先に話しかけたんですか?」

「僕です。彼は先に部屋に居ました。沢山の人がいて友達やマネージャーと話してるのに、1人だけ椅子に座って誰とも話さずにスマホを見ていたんです」

「あの時は誰かと話す勇気が無かったので1人でいました。もし誰かに話しかけられたら会話をしようと思ってました」

「何て話しかけたんですか?」

「僕がこう近付いて、肩をツンツンってして、お弁当はそこにありますよって」

「お弁当ですか?」

「お弁当です。何か食べたいのかなって。そこからいろいろ話したんです」

「何を話したんですか?」

「年齢や名前とかいろんな事を話しました。その時にお互いに気が合ったので連絡先を交換したんです。もしお互いが不合格になったとしても、どちらかが合格してもフォローしようって」

「当時の事を良く覚えてるんですね。お互いの第一印象はどうでした?」

「僕は可愛いなって思いました。最初は大人しい印象でした。クールで可愛い男の子。かっこよさと可愛さを兼ね備えている男性だなって思ってました」

「僕はかっこいいなって思いました。実は、話しかける前にマネージャーにあの人かっこいいって言ったんです。内心でもきっとこの人が主人公に受かると思ってました。会場には本当に沢山の人がいたんです。でも彼だけオーラがあるなって思ってた。この役はこの人しかいないだろうって」

「大袈裟だよ!」

「そんな事ないよ」

「受かった時はどうでしたか?」

「彼に電話をしました」

「電話ですか?」

「最初、事務所から連絡があったんです。双子の役でもやりますか?って。僕は何でもやりますよって返事をしたら、主人公に選ばれましたって言われたんです。最初は信じられなかったけど家族にもマネージャーにも報告して、彼にも報告の電話をしたんです」

「僕も事務所から連絡が来て、主人公の1人に合格しましたと言われました。マネージャーにも家族にも連絡したら喜んでくれて、移動中に彼から電話が掛かってきたんです。合格したー!って凄いテンションで」

「そうそう」

「俺も合格したよ。一緒に頑張ろうって話して」

「そこから運命を感じるようになった?」

「今思えばですけど。もしあの時、僕が韓国から帰国していなかったら、新年の挨拶をしに事務所まで行かなかったら、飛行機の日時を変更していたら。どれか一つでも違う行動をしていたら今の僕は存在していないし、彼とも会わなかった」

「そうだね」

「僕はオーデションを受けたらすぐに韓国に帰るつもりで飛行機のチケットも取ってたから、後3日くらいで帰るってなってから合格って分かって、飛行機のキャンセルとか韓国の住居とか色々バタバタしてて。本当にギリギリでマネージャーも大変だったと思うんですけど、サポートしてくれて感謝してます。」

「そんなにギリギリだったんですね」

「彼にはあの時に会場に居てくれてありがとうって思ってます。何度でも言いますけど、彼と会ってなかったら今の僕は居ないですから。彼に会う為の必然的な行動だったんじゃないかなって思います」

「彼には助けられてるし、救われたし、これから先の事は分からないけど、出来るだけ長く一緒にいられたらいいなと思いますね。チャレンジしたい事があれば応援しますし、相談があるなら話を聞きます。きっとこの先もお互いにサポートし続けるでしょうね。彼に出会えて本当に良かったと思ってます」

「仲が良いですよね」

「そうですね。同い年で気を遣わないでいいしやっぱり一緒に戦ってきたので、沢山会話もして隠し事も無いし親友でパートナーなので」

「多分昔より今の方が仲が良いかもしれないしね」

「そうかもしれない。連絡する頻度は下がってるけど不安とかにはならないし、お互いのスケジュールは分かってるし、会話も増えたから沢山話し合いが出来てる。知り合ってからずっと変わらず僕達は距離感が近いので仲が良いと思ってもらえるは嬉しいです」

「連絡をする時はどんな時なんですか?」

「お互いに新曲を制作して完成したのを聴いてもらう時とか、暇な時間がある時とか…」

「でも彼はインドア派なので誘っても断ってくるんですよ」

「彼はアウトドア派だから遊びだったり外食だったり誘ってくれるんですけど、僕は家が好きなので休みの日は好きなだけ寝てます」

「新曲を作成した時も連絡をするの?」

「します。完成したのを1番に聴かせます」

「彼はよくライブ配信の時にギターで弾き語りをしながら歌ってくれます」

「サポートです」

「もしお互いに出会ってなかったら今頃どうしてたと思いますか?」

「出会ってなかったら…」

「そうだな…、多分僕は韓国に住み続けてるんじゃないかな…日本にずっと住み続ける予定は無かったから」

「帰ってきてくれて良かったよ。僕はもし出会えて無かったら今も多分オーディションを受け続けてると思うな。あんまり考えたくないんだけどね。今、もし彼が僕から離れてしまったら心にポッカリ穴が開いたみたいになると思う。その穴は彼にしか埋められないから。僕達の関係で言えば友達だけど友達じゃないし、家族でもあるけど違うし、親友だけど仕事上はパートナーで、何て言ったら良いのか…」

「仕事は仕事で真剣にやるけど、休憩中とか休みの日は一緒に遊ぶからね」

「大切な人で掛け替えのない人なんだよ」

「お互い大切だもんな」

「出会いから休日の過ごし方も、話してくれた所で時間になりました。これで質問コーナーは終わります。ありがとうございましたー!」


彼と出会ってもうすぐ4年。
それでも初めて会った日の事はハッキリと覚えてる。
会話をして気が合っただけじゃない。
この人が良いと思ったんだ。
一緒に仕事がしたいと思った。

受かったと電話で報告を受けた時、ホッとしたのを覚えてる。
相手役が彼で良かった。って。

お互いに初めての主演だったからより良くちゃんとリアルに見えるように、毎日のように電話をして話したし、撮影中はずっと近くにいたしスキンシップも過剰な程取った。

その時に出来る全てを出したおかげか、NCシーンでは助言は無くなった。
他のシーンでは沢山助言してくれたのに…

デビュー作で初主演、凄いプレッシャーの中頑張った結果、3部門で賞を受賞した。
その中にベストキスシーン賞もあって… 恥ずかしい…
評価してくれたのは嬉しいけど…

放送から1年間、行けるだけの国にファンミーティングを行なった。
その国の料理や観光をして、ファンミーティングも楽しんで、終わる頃にはまた来れるように頑張ろうと思う。

4年経った今も彼は僕の事を可愛いと言ってくれる。
僕の黒髪ショートが好きなんだと、幼く見えて可愛いんだと沢山のメディアの前で堂々と話すもんだから僕はどう反応したらいいか分からない…
恥ずかしいやら嬉しいやら…

髪の長さが肩くらいまであった時も、金髪にした時も、グレーにした時も、青にした時も、赤にした時も、いつ黒にするの?いつ切るの?って…
染めてたらそれはそれで触りまくるのに。
片方だけ編み込みにしたら可愛いって言ってくれるくせに。

まだまだ知らない彼が居るんだなと思うと、いろいろ試して反応が見て見てたい気もするな。

さて、またペアでドラマの仕事が決まったから頑張らないと。
彼とだったら大丈夫。
また沢山話し合って協力して、いいドラマにしたい。
楽しみにしてくれてるファンの為にも頑張らないとね。

お互いに手を取り合ってさ。

頑張るぞー!








終わり
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