上 下
3 / 9

3話

しおりを挟む
森の中に着いたリクは帆風を降ろし帆風は立った。

襲われた理央のことを思い出し帆風は涙を流した。

「どうした?」

リクが声をかけると帆風が口を開いた。

「俺の目の前で理央さんが化け物に…」

思い出し帆風の目から涙が流れ止まらない。

リクは帆風を抱きしめた。

帆風はリクから離れ手で涙を拭った。

「突然、抱きしめてゴメン」

「助けてくれてありがとうございました」

リクにお辞儀をすると帆風はリクの側を歩き離れた。

「どこに行くんだ」

リクは帆風の手首を掴み動きを止めた。

「警察に言って生徒達や先生を助けるんです」

「弱い警察が化け物に勝てるわけないだろ」

「じゃあ、あなたが生徒達や先生を助けてください」

帆風と帆風の手首を掴んでいるリクが見つめ合っていると黒い玉に乗っ取られた男子生徒が現れた。

「沖田(おきた)君!」

帆風が口にするとリクが口を開いた。

「知り合いか?」

「俺と同じ1年生です」

「帆風さん、その人から離れた方が良い、化け物を放ったのは彼です」

「え!」

帆風はリクの手を払い除け警戒しながら見つめた。

リクは目線を帆風から沖田に向け口を開いた。

「君の身体の中に黒い玉が入ってる…化け物を放ったのは君だ」

「証拠があるんですか?」

「……」

剣を出現させ掴むとリクは沖田に向かって行き剣を腹に突き刺したままリクは沖田から離れた。

「沖田君!」

帆風が驚いた顔で見つめると沖田が腹に突き刺さっている剣を抜き落とし腹の傷を魔法で治した。

リクは帆風の側に近づき口を開いた。

「彼は君が知ってる彼ではない」

「沖田君が放った化け物に理央さんは殺された…」

再び帆風の目に涙が流れた。

「帆風さんを泣かせる奴は許さない」

沖田は魔法で2匹の化け物を出現させた。

帆風は驚いた顔で見つめた。

「逃げろ」

「……」

「早く行け」

「はい」

怒った口調でリクに声をかけられ帆風は走って離れて行った。

リクが左右の手に剣を掴み構えると沖田が口を開いた。

「行け」

沖田の合図と共に2匹の化け物はリクに向かって行きリクは2本の剣で戦い始めた。

リクと化け物の戦いを見つめると沖田は歩きながら帆風のあとを追いかけた。

帆風は走りながら森の中から出られないことに不思議を感じた。

疲れた帆風は走りを止め立ち止まった。

「何で森から出られないんだろ」

「帆風さん、やっと追いつきました」

「沖田君…」

帆風は警戒しながら沖田を見つめた。

「何もしませんから警戒しないでください」

沖田はゆっくり歩き帆風に近づいた。

「学校に居る生徒達や先生達はどうなったんだ?」

帆風は問いかけた。

沖田は驚きの言葉を発した。

「皆、死んだ、学校に居るのは2匹の化け物だけ」

「そんな…」

「……」

悲しい顔でうつ向く帆風の顎を掴み顔をあげさせ沖田は見つめた。

「やっと帆風さんは俺のものになった」

口にした後、沖田が帆風の唇を奪おうとその時、沖田は背中に剣を突きつけられた。

「誰だ」

「彼の顎から手を離してもらえるかな」

「……」

沖田は言われた通り帆風の顎から手を離した。

「言われた通りにしたぞ」

口にした直後、沖田は姿を消しユウの背後に姿を現し口を開いた。

「良いところだったのに」

ユウは離れ振り返り剣を構えながら険しい顔で見つめた。

「帆風さん、また迎えに行きます」

沖田はその場から姿を消した。

「……」

「……」

帆風とユウは立ち尽くした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

タイは若いうちに行け

フロイライン
BL
修学旅行でタイを訪れた高校生の酒井翔太は、信じられないような災難に巻き込まれ、絶望の淵に叩き落とされる…

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

親父は息子に犯され教師は生徒に犯される!ド淫乱達の放課後

BL
天が裂け地は割れ嵐を呼ぶ! 救いなき男と男の淫乱天国! 男は快楽を求め愛を知り自分を知る。 めくるめく肛の向こうへ。

小さい頃、近所のお兄さんに赤ちゃんみたいに甘えた事がきっかけで性癖が歪んでしまって困ってる

海野
BL
小さい頃、妹の誕生で赤ちゃん返りをした事のある雄介少年。少年も大人になり青年になった。しかし一般男性の性の興味とは外れ、幼児プレイにしかときめかなくなってしまった。あの時お世話になった「近所のお兄さん」は結婚してしまったし、彼ももう赤ちゃんになれる程可愛い背格好では無い。そんなある日、職場で「お兄さん」に似た雰囲気の人を見つける。いつしか目で追う様になった彼は次第にその人を妄想の材料に使うようになる。ある日の残業中、眠ってしまった雄介は、起こしに来た人物に寝ぼけてママと言って抱きついてしまい…?

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話

みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。 数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

怒鳴り声が怖くて学校から帰ってしまった男子高校生

こじらせた処女
BL
過去の虐待のトラウマから、怒鳴られると動悸がしてしまう子が過呼吸を起こす話

兄が媚薬を飲まされた弟に狙われる話

ْ
BL
弟×兄

エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので

こじらせた処女
BL
 大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。  とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…

処理中です...