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二章
お掃除しなきゃ!
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滞在場所として案内された場所があまりにも汚かったので私達はお掃除をすることにした。
ただ、特殊部隊の面々はあんまり自分で掃除をしたことがないのでちょっぴり不慣れだ。なので、自分たちなりの方法で掃除をすることにする。
「僕は外壁に這ってるツタとかをなんとかしてくるね。あれがあるだけで洋館の雰囲気がおどろおどろしくなるし。シロが怖くて夜中トイレに行けなくなっちゃったら困るでしょ?」
「パパをつれてくから大丈夫」
「一人でトイレ行けてない時点で大丈夫じゃないでしょ」
そう言って私の鼻を人差し指でチョンとつつくと、シリルは外に出て行った。
「―――それじゃあ、とりあえず俺達は掃除用具を探そうか。あとは換気もしないとな、各々窓を開けて作業してくれ」
エルヴィスの言葉に騎士さん達が頷いてそれぞれ動き始めた。
パパがいないとエルヴィスが仕切り役になるんだね。それもそうか、一番の常識人だし。
「兄さ~ん、こっちに掃除用具あったよ~」
「今行く。シロはどうする? 移動で疲れただろうしお昼寝するか?」
「ううん、シロもお掃除する」
シロも一応特殊部隊の隊員として来てるからね。一人だけお昼寝はちょっと気が引けちゃう。
「じゃあシロちゃんは俺と一緒にお掃除しようね~」
ひょいっとアニに抱き上げられる。
その時、外から爆発音が聞こえてきた。
物凄く近くでドカーン!! と爆発音がしたのでビックリする。ただ、犯人は明確だった。
「シリルか」
「シリルだね」
「あの爆弾魔も他国でよくやるよな」
順にエルヴィス、私、アニの発言だ。
動揺した騎士さん達にはそのまま掃除をするように言い、エルヴィスと私を抱っこしたままのアニは外に出た。
「―――あ、シロ、ツタはキレイになったよ」
「ツタはね」
確かにツタはなくなってたけど、爆弾を使われた外壁は結構な面積が焦げて黒くなってしまっていた。
「ちゃんとエルヴィスの言った通り建物は壊してないよ?」
「当たり前だ」
エルヴィスがシリルの頭にゲンコツを落とし、屋敷の中に連行する。
私達はとりあえず床のゴミを掃除することにした。
箒は身長が足りなくて持てないので、私は子帚とちりとりを持ち、ゴミを集める係に徹する。
「クッ! ダメだ! 俺にはシロちゃんに向けてゴミを飛ばすことなんてできない!!」
「いいから早くゴミ集めてよアニ」
アニが中々集めたゴミを持ってきてくれないのでシロの方から集めにいってあげた。
シロってばやっさしい。
それから急ピッチで掃除を進めていると、殿下とパパ達が謁見から帰ってきた。
「パパ~! 殿下~!」
私が駆け寄るとパパが抱き上げてくれる。
「シロ待たせたな。……ん? なんかほこりっぽいな」
そう言ってパパが片手で私の頭についた埃を払ってくれる。
「シロ、みんなとお掃除してた」
「は? 掃除? なんでシロが……」
パパが私を抱っこしたまま洋館の中に足を踏み入れる。広さだけならかなりある洋館なので、この短時間では掃除は終わらなかった。
エルヴィスが殿下とパパに軽く状況を説明する。
軽く説明を聞いた殿下がエルヴィスに聞き返す。
「……なるほど。あそこの端が少し焦げているのは?」
「シリルが楽しようとして焦がしました」
「どうして楽に掃除をしようとして焦げるのかは分からないが、まあおいておこう」
流石殿下、奇行を受け流すのに慣れてるね。
外でやらかしてやらかして怒られたのに、中でも同じことやったんだよねシリル。さすがに威力は配慮したのか火事にならなかったのは幸いだ。
「シリルに掃除は向かないようだな」
「殿下、そんなの言うまでもないだろう」
「たしかに」
そんなことを言われてもシリルはニコニコとしている。自分でも掃除に向かないのは分かってるんだろう。
その後は邪魔になるから、シリルは抜きで掃除を終わらせた。
あ、もちろん殿下も免除だよ。殿下に掃除なんかさせられないからね。
忖度ってやつだ。
ただ、特殊部隊の面々はあんまり自分で掃除をしたことがないのでちょっぴり不慣れだ。なので、自分たちなりの方法で掃除をすることにする。
「僕は外壁に這ってるツタとかをなんとかしてくるね。あれがあるだけで洋館の雰囲気がおどろおどろしくなるし。シロが怖くて夜中トイレに行けなくなっちゃったら困るでしょ?」
「パパをつれてくから大丈夫」
「一人でトイレ行けてない時点で大丈夫じゃないでしょ」
そう言って私の鼻を人差し指でチョンとつつくと、シリルは外に出て行った。
「―――それじゃあ、とりあえず俺達は掃除用具を探そうか。あとは換気もしないとな、各々窓を開けて作業してくれ」
エルヴィスの言葉に騎士さん達が頷いてそれぞれ動き始めた。
パパがいないとエルヴィスが仕切り役になるんだね。それもそうか、一番の常識人だし。
「兄さ~ん、こっちに掃除用具あったよ~」
「今行く。シロはどうする? 移動で疲れただろうしお昼寝するか?」
「ううん、シロもお掃除する」
シロも一応特殊部隊の隊員として来てるからね。一人だけお昼寝はちょっと気が引けちゃう。
「じゃあシロちゃんは俺と一緒にお掃除しようね~」
ひょいっとアニに抱き上げられる。
その時、外から爆発音が聞こえてきた。
物凄く近くでドカーン!! と爆発音がしたのでビックリする。ただ、犯人は明確だった。
「シリルか」
「シリルだね」
「あの爆弾魔も他国でよくやるよな」
順にエルヴィス、私、アニの発言だ。
動揺した騎士さん達にはそのまま掃除をするように言い、エルヴィスと私を抱っこしたままのアニは外に出た。
「―――あ、シロ、ツタはキレイになったよ」
「ツタはね」
確かにツタはなくなってたけど、爆弾を使われた外壁は結構な面積が焦げて黒くなってしまっていた。
「ちゃんとエルヴィスの言った通り建物は壊してないよ?」
「当たり前だ」
エルヴィスがシリルの頭にゲンコツを落とし、屋敷の中に連行する。
私達はとりあえず床のゴミを掃除することにした。
箒は身長が足りなくて持てないので、私は子帚とちりとりを持ち、ゴミを集める係に徹する。
「クッ! ダメだ! 俺にはシロちゃんに向けてゴミを飛ばすことなんてできない!!」
「いいから早くゴミ集めてよアニ」
アニが中々集めたゴミを持ってきてくれないのでシロの方から集めにいってあげた。
シロってばやっさしい。
それから急ピッチで掃除を進めていると、殿下とパパ達が謁見から帰ってきた。
「パパ~! 殿下~!」
私が駆け寄るとパパが抱き上げてくれる。
「シロ待たせたな。……ん? なんかほこりっぽいな」
そう言ってパパが片手で私の頭についた埃を払ってくれる。
「シロ、みんなとお掃除してた」
「は? 掃除? なんでシロが……」
パパが私を抱っこしたまま洋館の中に足を踏み入れる。広さだけならかなりある洋館なので、この短時間では掃除は終わらなかった。
エルヴィスが殿下とパパに軽く状況を説明する。
軽く説明を聞いた殿下がエルヴィスに聞き返す。
「……なるほど。あそこの端が少し焦げているのは?」
「シリルが楽しようとして焦がしました」
「どうして楽に掃除をしようとして焦げるのかは分からないが、まあおいておこう」
流石殿下、奇行を受け流すのに慣れてるね。
外でやらかしてやらかして怒られたのに、中でも同じことやったんだよねシリル。さすがに威力は配慮したのか火事にならなかったのは幸いだ。
「シリルに掃除は向かないようだな」
「殿下、そんなの言うまでもないだろう」
「たしかに」
そんなことを言われてもシリルはニコニコとしている。自分でも掃除に向かないのは分かってるんだろう。
その後は邪魔になるから、シリルは抜きで掃除を終わらせた。
あ、もちろん殿下も免除だよ。殿下に掃除なんかさせられないからね。
忖度ってやつだ。
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