天才になるはずだった幼女は最強パパに溺愛される

雪野ゆきの

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二章

シロの恩返し

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「おお……」

 自分の貯金額を見て思わず声を上げる。いつの間にか数字がだいぶ大きくなってたよ。びっくり。
 シロは五歳にして立派……かどうかはさておき、働いているので、もちろんお給料ももらってる。だけど生活費もろもろは全部パパが払ってくれてるから貯まっていく一方なのだ。
 だからシロは小金持ち……でもないね。全国の五歳児の個人資産と比べたら大富豪レベルでお金を持ってる。いつの間にか結構お金が貯まってるのを確認したところで、私は思ったわけだ。このお金でみんなに何か買ってあげようと! 
 パパは私の好きなことに使いなさいって言うけど、シロは好きでみんなに何か買うんだからいいよね!

 みんなお小遣いとかぬいぐるみとかくれたりするけど、自分からなにかをあげたことってあんまりないし。前におでかけしてきた時のお土産もみんなからもらったお小遣いで買ったしね。名案だ! シロってば天才かもしれない!

 ちゃんと貯金しといた方がいい額は残してお金を引き出す。
 プレゼントすることは決まったけど、ただシロのお金で買ったものを渡すだけじゃみんな喜ばなそうだから、材料を買って何か手作りしたものを贈ろうと思う。
 なににしようかな……。
 あ、あと、今回はパパにも内緒だ。たまにはパパにもサプライズしないとね。

 パパには内緒だけど、一人ではお買い物にいけないので今回はおっさんが共犯者だ。おっさんにお金を渡して必要なものを買ってきてもらうことになっている。

 何がいいかな……やっぱり実用性があるものの方がいいのかな……。

 アイデアが出てこないので、隊舎のお庭を散歩しながらみんなに渡すものを考える。部屋で一人悶々と考えるよりいい考えが浮かびそうだし。
 そうしてお散歩していると、どこからか声が聞こえてきた。これはシリルとエルヴィスの声かな?

「―――エルヴィスってば鍵なくしたの? バカだなぁ、いちいち部屋に鍵なんかつけなきゃいいのに」
「鍵つけないとお前らが勝手に入って荒らすだろ。はぁ、仕方ない、見つかるまでは窓から入るか」
「アニの部屋に泊まったら?」
「それはなんとなく嫌だ」

 そんな話をしながら二人は歩き去って行った。
 二人の話を聞いて私は閃く。

 ―――よし! 作るもの決まった!!

 私は早速必要なものをメモに書き、おっさんのもとへと向かった。




***




 一瞬でパパの顔が絶望に染まった。

「―――し、シロ? どうしてパパは締め出されてるんだ?」

 しばらく部屋に入らないでって言っただけなのに、珍しくパパが動揺してる。入ってもいいよって言っちゃいたくなるけど我慢だ。

「シロがいいよって言うまで決して中を覗かないでください。いいよって言ってないのに覗かれたらシロは鶴になって飛び立ちます」
「お前はどこのおじいさんに助けられたんだ」
「じゃあシロがいいよって言うまで入らないでね!」

 私はパタンと部屋の扉を閉じて鍵を閉めた。
 これは仕方のないことなのだ。だってこっそり作業できる場所なんてこの部屋しかないんだから。パパにもサプライズにするにはパパを締め出すしかないし。
 ごめんねパパ。

 おっさんに買ってきてもらった材料は既にこっそり部屋の中に運び込んである。準備は万端だ。
 作業を始める前に、ちゃんと道具が揃ってるか確認する。
 ……うん、全部あるね。

「よし!」

 私は気合を入れ直して作業に取り掛かった。
 パパってば入っていいよって言うまでずっと部屋の外で待機してそうだから、急いであげないとだ。






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