天才になるはずだった幼女は最強パパに溺愛される

雪野ゆきの

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二章

かつらファッションショー!

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「し、しししシロちゃん!? どうしたのその髪!!」

 流石アニ、とってもリアクションがいい。期待通りのリアクションの大きさだ。シロはホクホクです。

「あんなにきれいなロングヘアだったのにもったいない! でもショートのシロちゃんもかわいい!! ……あれ? 髪質変わった? あ、これもしかしてかつら?」
「数秒で髪質の違いまで気付くお前にほんとドン引きだわ」

 アニの横ではエルヴィスが蔑んだ目でアニを見てる。この前がお兄ちゃんらしく献身的にアニを看病してたのに。今は兄弟の絆のかけらも感じられない。


 ここまでの経緯を話した。

「―――あ~、シロちゃんにもかつらに憧れる時期が来たか~」
「アニも憧れたことあるの?」
「うん。ちょっとだけね。でも俺は仕事とかでなんだかんだかつら被る機会あったから、もういいやって感じかな」

 そんな会話をしながらかつらを漁る。
 そしてアニが一つのかつらを手にとった。それはセミロングの赤髪のかつらだった。

「あ! シロちゃん次はこれ被って!」
「いいよ!」

 アニのリクエストに応えて赤髪のかつらを被る。

「どう?」
「かわいいいいいいいいいいいいいい!!!」

 大喜びのアニが飛び付いてきて私を抱きしめる。いつにもまして大興奮だ。もはや歓喜の涙を流しそうなくらい。

「どうしたんだアニ。興奮しすぎじゃないか? もしかしてまだ熱下がってなかったのか?」
「兄さん分かんないの? シロちゃんが俺らと同じ髪色になったってことだよ? ほら、こうやって並んだら血の繋がった兄弟みたいじゃない? まあ血なんか繋がってなくてもシロちゃんは俺らの妹だけど」

 そう言ってアニが私の頭にキスをした。アニの言葉を聞いたエルヴィスは虚を突かれたように目を真ん丸にしている。

「……そうか、確かにそうだな。記念に写真を撮っておこう。隊長、撮ってもらってもいいですか?」
「いいぞ」

 エルヴィスとアニは私を真ん中に挟むようにして写真を撮った。

「俺、この写真宝物にする」
「……俺も」

 写真を撮った後、二人は感じ入るように私の頭を撫でた。
 すると、後ろから私の服の裾がクイクイッと引かれた。後ろを向くと、黒いかつらを手にしたクロ。

「…………しろ、つぎはこれ……かぶる……。おれの…………いもうと……」
「いいよ!」

 今度はクロの髪色と同じ黒いかつらを被り、写真を撮った。
 そして、写真を撮り終わると次はシリルが自分の髪色と同じ色のかつらを持って並んでいた。


 どこからか話を聞きつけてきたのか、いつの間にか食堂には特殊部隊の隊員が全員揃っていて、その全員の髪色とおそろいのかつらを被って写真を撮ることになっていた。

 ちょっとかつらを被って軽いイメチェンを楽しもうとしただけなのに、いつの間にか大写真撮影会にまで発展していた。おかしいね? 色んなかつらを被ったし、その写真も残せて嬉しかったけど。
 かつらは、見事に特殊部隊の隊員全員の髪色が入ってた。もしかしてパパ、意識して集めたのかな……? 
 直接聞くのはちょっと野暮な気がするから、パパにはなにも聞かないでおこう。

 パパが私の視線に気付いた。

「シロどうした?」
「ううん、なんでもない!」
「?」

 首を傾げるパパに、私はギュッと抱き着いておいた。
 
 


******
【お知らせ】

皆様いつも温かいコメント等々ありがとうございます!

書籍の発売に伴い、レジーナブックス様のホームページでアンケートに答えると読める3000字程度の番外編を掲載させていただいてます! ご興味のある方はどうぞ!






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