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二章

やっぱ花より団子だよね!

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「よいしょ、うんしょ」

 私は一生懸命お団子をこねる。そして綺麗な球体にして串に刺していく。

「上手だなシロ」
「うん。上手にできた」

 私は今、パパと一緒に三色団子を作っている。これからお花見にいくからその準備だ。お花見といっても隊舎の庭に咲いてる桜だけど。要はみんな食べて飲んで騒ぎたいのだ。
 お花見ではお団子を食べるものだって殿下が言ってたから、今一生懸命お団子を作っている。私ってばお団子を丸める才能あるかも。
 重箱にお団子を詰めて蓋をすれば完成だ。パパが風呂敷で重箱を包んでくれる。

「よし、準備できたな」
「うん!」

 ごはんや飲み物の準備はまた別の人達がやってくれてるので私達の準備はこれで完了だ。あとは桜の下で食べて飲んで騒ぐだけ。
 ルンルン気分の私は重箱を持ち、スキップして外に向かう。

「シロ転ぶなよ」
「は~い」

 私が転ぶのはまだいいけど、せっかく作ったお団子がダメになっちゃうと困るのでスキップを止める。
 桜の下には既に大きいレジャーシートが敷いてあった。既にちらほら人や食べ物、飲み物が集まっている。

「あ、シロちゃ~ん、こっちおいで~」

 アニが手招きして私を呼ぶので、ちょこちょこっと歩いてそちらに向かう。

「靴脱いでこの上に座るんだよ」
「ほうほう」

 アニが重箱を受け取ってくれたので靴を脱いでレジャーシートの上に乗る。足の裏から若干ひんやりした土の感触が伝わってくる。

「冷えそうだからシロはパパの膝おいで」

 後ろから脇に手を差し込まれ、胡坐をかいたパパの上に座らされた。

「あ、隊長ズルいです。たまには譲ってくださいよ」
「早いもの勝ちだ。後で気が向いたら代わってやる」
「やった~!!」

 一気にご機嫌になったアニは隊舎の方に料理を取りに行った。


***



 レジャーシートの内側の方置かれた料理や飲み物を囲むようにみんなが座る。
 パパがみんなの手元を確認した。

「よし、飲み物は行き渡ったな?」
「「「は~い」」」

「じゃあ乾杯!」
「「「かんぱ~い!!」」」

 みんなで紙コップを掲げる。
 飲み物に口を付けた後、真っ先に手を付けたのはお肉でもおにぎりでもなく、私とパパの作った三色団子だった。みんなで競い合うように三色団子に群がる。

「シロちゃんの作った団子は俺のもんだ!!」
「んなわけあるか! シロの作った団子はみんなのもんだ!」
「シロの作った団子よこせえええええええ!!!」

 みんなの気迫に圧倒されて私は少し仰け反った。

「おお……」

 大の大人がわちゃわちゃわちゃわちゃ。あ、ちょっと既視感があると思ったら、前に王城の池の鯉にエサあげた時に似てるんだ。

「ふふ、ちょっと和むねパパ」
「シロは大物だなぁ」

 和む要素はゼロだろ、とパパがぼやく。

「おいお前ら、まさか俺とシロの分を残さねぇ気じゃないだろうな。それにちゃんと一人三本ずつ食べられるように作ってっから喧嘩すんな」
「「「は~い」」」

 パパの言葉で、みんな渋々といった感じではあるけど元いた場所に戻った。さすがパパ。特殊部隊の大黒柱。
 私とパパの作ったお団子を食べると、みんな口々に褒めてくれた。


 三色団子を一本食べ終え、次は何を食べようかと悩んでいると、シリルが近付いてきた。

「―――シロ、僕も料理したんだよ」
「へえ、シリルは何作ったの?」

 そう聞くと、シリルは持っていた重箱の中身を見せてきた。中に入っていたのは真っ黒な球体の何か。

「えへへ、爆弾おにぎり」
「うっわ、ビックリするほどシリルにぴったりな料理だね」

 まるでシリルのためにできたんじゃないかってくらいの料理名だ。

「シロ食べて~」
「うん。むぐむぐ……おいしい!」

 一口かぶりついたらすぐに具に到達した。今私が食べたのは焼肉だ。

「シロちゃん! 俺の作った料理も食べて~!」
「……おれの……も……」
「おいお前ら抜け駆けすんな!」
「ガウッ!!」

 今度はこちらにみんなが迫りよってきた。その手に持っているお皿には自分達で作ったであろう料理がのっている。……全部食べきれるかなぁ……。
 お花見が終わる頃にはお腹がまんまるになってそうだ。
 あとさりげなく混ざってるけど、さすがのエンペラーでも料理は作れないでしょ。食べさせてあげるからこっちおいで。
 手招きするとエンペラーは尻尾をフリフリしながら駆け寄ってきた。かわいいやつめ。

 






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