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こぼれ話
探索開始!
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「シロあーん」
「あー」
ブレイクが膝の上にいるシロにバナナを食べさせる。この島で採れた果物が本日の朝食だ。
「今日からこの島の探索を始めるぞ」
ブレイクの言葉に隊員達は「はーい」と返事をする。
「パパ、探索ってなにするの? 新種の鳥とか探す?」
シロがブレイクに問う。
「俺らの仕事はこの島に危険がないか見て回ることで、新種の鳥を探すのは仕事じゃないんだが、シロがやりたいならいいぞ」
「ううん。鳥も捨てがたいけどシロはお宝をさがすの」
シロは目をキラキラと輝かせてそう言った。
「お宝……」
ブレイク含め、誰もシロに「宝なんてないと思う」とは言えなかった。
夏用の隊服に着替えたシロの頭にブレイクは帽子を被せた。熱中症予防だ。
シロ達特殊部隊は三組に分かれて島を探索することにした。
「しゅっぱ~つ!」
シロはるんるんで森の中に歩き出した。その後ろからアニが心配そうについて行く。
「シロちゃん、森は足場が悪いから転ばないように気をつけるんだよ」
「は~い」
シロの横には銀色の狼がスルスルと寄り添って歩いている。もしシロが転んだらクッションになるつもりだろう。
「エンペラーは過保護だな」
「エンペラーも隊長には言われたくないと思いますよ」
ブレイクは娘が歩きやすいようにしっかりと地面をならしながら進んでいる。
十分過保護だとエルヴィスは思った。
「……」
クロは少しムスッとした顔をしてシロの真後ろを歩いている。
「まだ拗ねてんのか。シロが歩きたいって言うんだから抱き上げて歩くのは諦めろ」
「……しろ、けがする……」
「子どもはちょっと無茶して怪我すんのも仕事なんだよ」
エルヴィスがクロの背中を軽く叩く。
「……」
クロはまだ納得はしない様子だが、無理にシロを抱き上げようとはしないようだ。
だがシロが一度でも転んで怪我をすればここにいる誰かが抱き上げて移動することになるだろう。
シロは丁度良い長さの木の枝を拾い、ルンルンで振り回している。子どもらしくて大変かわいらしい。
「今のところ動物はいないな」
エルヴィスが辺りを見回すが、うっそうとした木々しか目に入らない。
「エンペラー遠吠えしてみたら? 動物寄って来るかもよ?」
「ガウ?」
シロの言葉に、「やってみようか?」というようにエンペラーが首を傾げる。その表情があまりに愛らしかったので、シロは思わずエンペラーの首にもふんと抱き着いた。
「エンペラーかわいい!」
「ガウッ!」
フワフワの毛に顔をスリスリするシロ。
シロにくっつかれてエンペラーもご機嫌だ。
エンペラーはシロから離れると、「アオ―ン!」と遠吠えをした。
そのエンペラーをシロはジッと見つめると、エンペラーと同じように上を向いた。
「あおーん!」
「アオ―ン!」
「あおーん!」
エンペラーのマネをしてシロも遠吠えをする。
「グッ、かわいい!! かわいすぎる!! シロちゃんは俺をどうしたいの!?」
「どうもしたくないと思うぞ」
手で口元を押さえたアニにエルヴィスが冷ややかな視線を向ける。
だが、他の者達もシロのかわいさにやられていた。
「しろ……かわいい……」
「俺の愛娘は狼のセンスもあったのか」
「狼のセンスってなんですか隊長」
ガサッ
「「「!?」」」
草が擦れる不自然な音に、一同は瞬時に剣の柄を握った。
ガサッ、ガサッと、音が近付いてくる。明らかに何かの生物がこちらに向かってきている。
ブレイク達が警戒する中、音の正体が草の間からにゅっと顔を出した。
「!」
その生物の顔を見た途端、シロの顔がパァっと輝いた。
「エンペラーにごうだ!!」
草の間から顔を出したのは、金色の毛皮を持った狼だった。
「あー」
ブレイクが膝の上にいるシロにバナナを食べさせる。この島で採れた果物が本日の朝食だ。
「今日からこの島の探索を始めるぞ」
ブレイクの言葉に隊員達は「はーい」と返事をする。
「パパ、探索ってなにするの? 新種の鳥とか探す?」
シロがブレイクに問う。
「俺らの仕事はこの島に危険がないか見て回ることで、新種の鳥を探すのは仕事じゃないんだが、シロがやりたいならいいぞ」
「ううん。鳥も捨てがたいけどシロはお宝をさがすの」
シロは目をキラキラと輝かせてそう言った。
「お宝……」
ブレイク含め、誰もシロに「宝なんてないと思う」とは言えなかった。
夏用の隊服に着替えたシロの頭にブレイクは帽子を被せた。熱中症予防だ。
シロ達特殊部隊は三組に分かれて島を探索することにした。
「しゅっぱ~つ!」
シロはるんるんで森の中に歩き出した。その後ろからアニが心配そうについて行く。
「シロちゃん、森は足場が悪いから転ばないように気をつけるんだよ」
「は~い」
シロの横には銀色の狼がスルスルと寄り添って歩いている。もしシロが転んだらクッションになるつもりだろう。
「エンペラーは過保護だな」
「エンペラーも隊長には言われたくないと思いますよ」
ブレイクは娘が歩きやすいようにしっかりと地面をならしながら進んでいる。
十分過保護だとエルヴィスは思った。
「……」
クロは少しムスッとした顔をしてシロの真後ろを歩いている。
「まだ拗ねてんのか。シロが歩きたいって言うんだから抱き上げて歩くのは諦めろ」
「……しろ、けがする……」
「子どもはちょっと無茶して怪我すんのも仕事なんだよ」
エルヴィスがクロの背中を軽く叩く。
「……」
クロはまだ納得はしない様子だが、無理にシロを抱き上げようとはしないようだ。
だがシロが一度でも転んで怪我をすればここにいる誰かが抱き上げて移動することになるだろう。
シロは丁度良い長さの木の枝を拾い、ルンルンで振り回している。子どもらしくて大変かわいらしい。
「今のところ動物はいないな」
エルヴィスが辺りを見回すが、うっそうとした木々しか目に入らない。
「エンペラー遠吠えしてみたら? 動物寄って来るかもよ?」
「ガウ?」
シロの言葉に、「やってみようか?」というようにエンペラーが首を傾げる。その表情があまりに愛らしかったので、シロは思わずエンペラーの首にもふんと抱き着いた。
「エンペラーかわいい!」
「ガウッ!」
フワフワの毛に顔をスリスリするシロ。
シロにくっつかれてエンペラーもご機嫌だ。
エンペラーはシロから離れると、「アオ―ン!」と遠吠えをした。
そのエンペラーをシロはジッと見つめると、エンペラーと同じように上を向いた。
「あおーん!」
「アオ―ン!」
「あおーん!」
エンペラーのマネをしてシロも遠吠えをする。
「グッ、かわいい!! かわいすぎる!! シロちゃんは俺をどうしたいの!?」
「どうもしたくないと思うぞ」
手で口元を押さえたアニにエルヴィスが冷ややかな視線を向ける。
だが、他の者達もシロのかわいさにやられていた。
「しろ……かわいい……」
「俺の愛娘は狼のセンスもあったのか」
「狼のセンスってなんですか隊長」
ガサッ
「「「!?」」」
草が擦れる不自然な音に、一同は瞬時に剣の柄を握った。
ガサッ、ガサッと、音が近付いてくる。明らかに何かの生物がこちらに向かってきている。
ブレイク達が警戒する中、音の正体が草の間からにゅっと顔を出した。
「!」
その生物の顔を見た途端、シロの顔がパァっと輝いた。
「エンペラーにごうだ!!」
草の間から顔を出したのは、金色の毛皮を持った狼だった。
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