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こぼれ話

れっつごー無人島!

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 シロ、ただいま船に乗って波に揺られています。

 殿下が乗るだけあっていい船で、シロが船酔いすることはなかった。

「海ってこんなにきれいなんだねぇエンペラー」
「ガウッ!」

 透き通った水が太陽の光を反射してキラキラ輝いてる。とってもきれいで、ずっと眺めてても飽きない。

「シロ、船から落ちるなよ」
「あい!」

 元気よく返事をしたけど、それでも心配なのかパパはわたしを抱き上げた。

「パパ?」
「シロは飲み込んじゃいたくなるくらいかわいいから波が攫っていかないか心配だ」

 そう言ってパパはわたしをギュウウウと抱き締める。

「パパ……それはさすがに親バカに思考が侵食され過ぎだよ……」

 あ、視界の端でエルヴィスがうんうんって頷いてる。

「そんなことない! シロちゃんの可愛さは無機物にも通じるよ!!」
「アニ、ロリコンに頭が支配されてるよ」



***



「おお~! ここが無人島!!」

 島に着くと、真っ白い砂浜と青々と茂る森が迎えてくれた。多分島の大半は森なんじゃないかな。
 わたしは船から降り、白い砂浜を踏みしめた。

「パパ、この砂なんか変!」

 砂浜を踏みしめる感触が不思議でなんどもふみふみしちゃう。
 そうしてると、パパ達が笑いながら船を降りてきた。

「シロ、砂浜は普通の地面と違って走りづらいんだぞ」
「そうなの?」

 わたしは砂浜を数メートル程走ってみた。

「ほんとだ!」

 すごい! なんでだろ!!

「おーおー、目がキラキラしてんな~」

 エルヴィスに頭を撫でられた。

「シロ、テントを張ったら遊んでやるからな。それまで遊ぶの我慢してパパのお手伝いできるか?」
「できる!」

 わたしは元気良く片手を上げた。




 テントを設置したり、暫くの間滞在する準備が整ったらいよいよ遊びの時間だ。
 ワンピースを脱ぎ、殿下に買ってもらった水着に着替える。

「ででーん!!」
「シロちゃんかわいい!かわいいよ!!」

 アニが手を組んで砂浜に膝をつき、滂沱の涙を流してる。

「おいアニどこ向いて祈ってんだ。シロは逆方向だぞ?」
「水着のシロちゃんなんて眩しすぎて直視できないよ」
「病気だな」

 殿下が買ってくれたのはワンピース型の水着で、白地の布のウエストや首元に赤いリボンが付いている。

「やぱりボクの見立ては間違ってなかったな」

 殿下は腕を組んで満足そうに頷いている。

「よしシロ、海に入るぞ」
「あい!」

 水着になったパパに右手を取られた。そして左手も同じく水着になった殿下に握られる。

  砂浜の湿ってるとこまでくると、波がやってきてシロ達の足を濡らした。

「!?」
「どうしたシロ」
「なんかぞわぞわする! この砂生きてるにょ!?」

 わたしはびっくりして飛び跳ね、コアラよろしくパパの胴体に抱き着いた。

「生きてない生きてない。波で砂がさらわれただけだ」
「あ~、確かに最初はびっくりするだろうなぁ」

 殿下とパパがよしよしと頭を撫でてくれる。

「もう海は止めとくか?」
「ううん、はいるにょ」

 スルスルとパパから降り、再び殿下とパパの手を握った。
 そして恐る恐る海に入っていく。
 濡れた砂が動く感覚にはもうびっくりしないぞ!

「冷たいねぇ!」

 外はとっても暑いのに海の水はひんやりとしている。
 私の腰くらいが浸かる深さまで歩いていった。
 すると、波がやってきてその水飛沫がわたしの口に入る。

「!? しょっぱい!! まずい!! 毒もられた!?」
「毒じゃない毒じゃない。海の水ってのはしょっぱいもんなんだ」

 殿下に背中を撫でられ宥められる。

「なんで水がしょっぱいの!?」
「ほらシロ、ペッペッてしろ」

 ぺっぺっとまずいお水を口から出す。

「もっと深い所に行ってみるか?」
「うん」

 そのまま歩いていき、わたしの胸のあたりの深さの所までやってきた。

「あ、シロ……」
「え?」

 バッシャーン!

「!?」

 不意にきた高めの波がわたしの頭から覆いかぶり、ずぶ濡れになる。
 前髪からぽたりぽたりと雫がしたたる。

「シロ大丈夫か?」
「……ぱぱだっこ……」
「おう」

 びっくりしたのでパパに抱き着いて平静を取り戻す。





***



「おいアニ、なにしてんだ? シロと遊ばないのか?」
「兄さんちょっと静かに! シロちゃんの初海水浴を一瞬も取り逃したくないんだ!!!!!」
「……そうか」






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