天才になるはずだった幼女は最強パパに溺愛される

雪野ゆきの

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こぼれ話

てーばんだよね!

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 朝起きたら猫になっていた。

 ちっちゃな白い毛の生えた手にピンクの肉球。
 ピコピコと動く三角形の耳。

「ぱぱっ! ぱぱっ! シロねこになっちゃった!!」

 猫なのになぜか喋れたのでそう言って大声でパパを呼ぶと、真横にあった毛玉がのっそりと起き上がった。

「どうした? シロは最初から猫だろう。かわいい白猫だ」
「パパ! らいおん!!」

 私をベロンとなめて毛繕いをしてきたパパは、立派なたてがみをもったライオンだった。
 再び伏せをしたパパの首元にくっつくと、そのたてがみに体全体が埋もれてしまう。モフモフパァ~ラダ~イス。

「俺の子猫は甘えたがりだな」

 パパの毛に包まれて私の尻尾はご機嫌に揺れている。

「このままずっとダラダラしてたいが、そろそろみんなのところに行くぞ」
「あい」

 返事をすると、パパに首の皮を甘噛みされて口からぶら下げられた。
 そしてそのまま運ばれる。なんて楽なんだ。



 食堂に到着すると、さまざまなモフモフに出迎えられた。

「しろ……おはよ……」
「にゃふんっ」

 黒い犬になったクロに挨拶と同時になめられた。
 一鳴きしてパパに地面に下ろしてもらう。

「クロおはよ」
「ん……」

 ちょんっと鼻と鼻を合わせられる。
 これが挨拶なのかな。



「シロちゃんシロちゃん!! 今日もかわいいね!」

 アニの声がしたので振り向くと、そこにはなぜか犬と同じサイズのウサギがいた。

「ロリコンがウサギ……。変態くさい」
「ひどっ! 俺は最初っからウサギだったのに!!」

 アニは長い耳をペタンと伏せて泣き真似をしてきた。
 ウサギならかわいいのに中身がアニだとかわいくない。



 アニがウサギだったので兄のエルヴィスも当然ウサギだった。
 いつものエルヴィスなら声がかれるまでツッコミそうな状況なのに。残念。
 平然とした顔でニンジン食べてた。


 シリルはただのちっちゃいネズミだ。
 爆弾作りの細かい作業がやりやすそうでなにより。
 私は猫の筈なんだけどなぜか狩猟本能が働かなくて、気づいたらシリルの隣でお昼寝してた。
 猫とネズミが一緒に寝る光景ってあんま見ないよね。


 お昼寝した後はヘビになったエスと龍になった殿下が遊んでくれた。
 殿下が手に持っていた綺麗な玉をくれようとしたけど、なんかすごく大事そうなものの予感がしたのでシロは断りました。
 にょろにょろするエスにじゃれたり、殿下に乗って空を飛ぶのはとても楽しかった。

 ひとしきり遊んだのでパパのところに帰ってきた。
 ねっころがっているパパのお腹にダイブする。

 ライオンパパのお腹は柔らかくてあったかかった。
 さっき寝たのにもう一回寝ちゃいそう……。

 このままだと寝ちゃうから一回離れようと起き上がると、パパの大きな舌でベロンとなめられた。

「にゃふっ」

 シロはちっちゃな子猫なので、再びぽてんっとパパのお腹に寄りかかる体勢になっちゃう。
 抗議のためにニーニー!と鳴き声を上げるが、パパは片眉を上げるだけで意に介さない。おまけに、本格的に毛繕いが始まってしまった。

 ぐぬぬ。絶妙な力の入れ具合が気持ちいい。
 無意識に喉がゴロゴロ鳴って、パパにすり寄ってしまう。


 暫くそうしていると、私のお腹がキューっと空腹をアピールしてきた。

「ミルクを持ってきてもらおうな」
「あい」

 パパがミルクを頼んできてくれたので、パパと隣同士、香箱座りをして待つ‼


 ……そう言えば、人間のみんなは動物になっちゃったけど、エンペラーはどうなってるんだろう。

 ふと疑問に思い、私は独り首を傾げる。



「シロ~お待たせ~」


 ミルクの入ったお皿を持ってきたのは、紛れもない人間だった。

 銀髪で背の高い男の人。爽やかな笑顔の男の人。
 今まで見たことがない顔だったけど、直感で分かった。





「エンペラーが銀髪イケメンになってるうううううう!?」








 














っていう夢をみたの」
「なかなか愉快な夢だな」







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