35 / 104
こぼれ話
てーばんだよね!
しおりを挟む
「
朝起きたら猫になっていた。
ちっちゃな白い毛の生えた手にピンクの肉球。
ピコピコと動く三角形の耳。
「ぱぱっ! ぱぱっ! シロねこになっちゃった!!」
猫なのになぜか喋れたのでそう言って大声でパパを呼ぶと、真横にあった毛玉がのっそりと起き上がった。
「どうした? シロは最初から猫だろう。かわいい白猫だ」
「パパ! らいおん!!」
私をベロンとなめて毛繕いをしてきたパパは、立派なたてがみをもったライオンだった。
再び伏せをしたパパの首元にくっつくと、そのたてがみに体全体が埋もれてしまう。モフモフパァ~ラダ~イス。
「俺の子猫は甘えたがりだな」
パパの毛に包まれて私の尻尾はご機嫌に揺れている。
「このままずっとダラダラしてたいが、そろそろみんなのところに行くぞ」
「あい」
返事をすると、パパに首の皮を甘噛みされて口からぶら下げられた。
そしてそのまま運ばれる。なんて楽なんだ。
食堂に到着すると、さまざまなモフモフに出迎えられた。
「しろ……おはよ……」
「にゃふんっ」
黒い犬になったクロに挨拶と同時になめられた。
一鳴きしてパパに地面に下ろしてもらう。
「クロおはよ」
「ん……」
ちょんっと鼻と鼻を合わせられる。
これが挨拶なのかな。
「シロちゃんシロちゃん!! 今日もかわいいね!」
アニの声がしたので振り向くと、そこにはなぜか犬と同じサイズのウサギがいた。
「ロリコンがウサギ……。変態くさい」
「ひどっ! 俺は最初っからウサギだったのに!!」
アニは長い耳をペタンと伏せて泣き真似をしてきた。
ウサギならかわいいのに中身がアニだとかわいくない。
アニがウサギだったので兄のエルヴィスも当然ウサギだった。
いつものエルヴィスなら声がかれるまでツッコミそうな状況なのに。残念。
平然とした顔でニンジン食べてた。
シリルはただのちっちゃいネズミだ。
爆弾作りの細かい作業がやりやすそうでなにより。
私は猫の筈なんだけどなぜか狩猟本能が働かなくて、気づいたらシリルの隣でお昼寝してた。
猫とネズミが一緒に寝る光景ってあんま見ないよね。
お昼寝した後はヘビになったエスと龍になった殿下が遊んでくれた。
殿下が手に持っていた綺麗な玉をくれようとしたけど、なんかすごく大事そうなものの予感がしたのでシロは断りました。
にょろにょろするエスにじゃれたり、殿下に乗って空を飛ぶのはとても楽しかった。
ひとしきり遊んだのでパパのところに帰ってきた。
ねっころがっているパパのお腹にダイブする。
ライオンパパのお腹は柔らかくてあったかかった。
さっき寝たのにもう一回寝ちゃいそう……。
このままだと寝ちゃうから一回離れようと起き上がると、パパの大きな舌でベロンとなめられた。
「にゃふっ」
シロはちっちゃな子猫なので、再びぽてんっとパパのお腹に寄りかかる体勢になっちゃう。
抗議のためにニーニー!と鳴き声を上げるが、パパは片眉を上げるだけで意に介さない。おまけに、本格的に毛繕いが始まってしまった。
ぐぬぬ。絶妙な力の入れ具合が気持ちいい。
無意識に喉がゴロゴロ鳴って、パパにすり寄ってしまう。
暫くそうしていると、私のお腹がキューっと空腹をアピールしてきた。
「ミルクを持ってきてもらおうな」
「あい」
パパがミルクを頼んできてくれたので、パパと隣同士、香箱座りをして待つ‼
……そう言えば、人間のみんなは動物になっちゃったけど、エンペラーはどうなってるんだろう。
ふと疑問に思い、私は独り首を傾げる。
「シロ~お待たせ~」
ミルクの入ったお皿を持ってきたのは、紛れもない人間だった。
銀髪で背の高い男の人。爽やかな笑顔の男の人。
今まで見たことがない顔だったけど、直感で分かった。
「エンペラーが銀髪イケメンになってるうううううう!?」
っていう夢をみたの」
「なかなか愉快な夢だな」
朝起きたら猫になっていた。
ちっちゃな白い毛の生えた手にピンクの肉球。
ピコピコと動く三角形の耳。
「ぱぱっ! ぱぱっ! シロねこになっちゃった!!」
猫なのになぜか喋れたのでそう言って大声でパパを呼ぶと、真横にあった毛玉がのっそりと起き上がった。
「どうした? シロは最初から猫だろう。かわいい白猫だ」
「パパ! らいおん!!」
私をベロンとなめて毛繕いをしてきたパパは、立派なたてがみをもったライオンだった。
再び伏せをしたパパの首元にくっつくと、そのたてがみに体全体が埋もれてしまう。モフモフパァ~ラダ~イス。
「俺の子猫は甘えたがりだな」
パパの毛に包まれて私の尻尾はご機嫌に揺れている。
「このままずっとダラダラしてたいが、そろそろみんなのところに行くぞ」
「あい」
返事をすると、パパに首の皮を甘噛みされて口からぶら下げられた。
そしてそのまま運ばれる。なんて楽なんだ。
食堂に到着すると、さまざまなモフモフに出迎えられた。
「しろ……おはよ……」
「にゃふんっ」
黒い犬になったクロに挨拶と同時になめられた。
一鳴きしてパパに地面に下ろしてもらう。
「クロおはよ」
「ん……」
ちょんっと鼻と鼻を合わせられる。
これが挨拶なのかな。
「シロちゃんシロちゃん!! 今日もかわいいね!」
アニの声がしたので振り向くと、そこにはなぜか犬と同じサイズのウサギがいた。
「ロリコンがウサギ……。変態くさい」
「ひどっ! 俺は最初っからウサギだったのに!!」
アニは長い耳をペタンと伏せて泣き真似をしてきた。
ウサギならかわいいのに中身がアニだとかわいくない。
アニがウサギだったので兄のエルヴィスも当然ウサギだった。
いつものエルヴィスなら声がかれるまでツッコミそうな状況なのに。残念。
平然とした顔でニンジン食べてた。
シリルはただのちっちゃいネズミだ。
爆弾作りの細かい作業がやりやすそうでなにより。
私は猫の筈なんだけどなぜか狩猟本能が働かなくて、気づいたらシリルの隣でお昼寝してた。
猫とネズミが一緒に寝る光景ってあんま見ないよね。
お昼寝した後はヘビになったエスと龍になった殿下が遊んでくれた。
殿下が手に持っていた綺麗な玉をくれようとしたけど、なんかすごく大事そうなものの予感がしたのでシロは断りました。
にょろにょろするエスにじゃれたり、殿下に乗って空を飛ぶのはとても楽しかった。
ひとしきり遊んだのでパパのところに帰ってきた。
ねっころがっているパパのお腹にダイブする。
ライオンパパのお腹は柔らかくてあったかかった。
さっき寝たのにもう一回寝ちゃいそう……。
このままだと寝ちゃうから一回離れようと起き上がると、パパの大きな舌でベロンとなめられた。
「にゃふっ」
シロはちっちゃな子猫なので、再びぽてんっとパパのお腹に寄りかかる体勢になっちゃう。
抗議のためにニーニー!と鳴き声を上げるが、パパは片眉を上げるだけで意に介さない。おまけに、本格的に毛繕いが始まってしまった。
ぐぬぬ。絶妙な力の入れ具合が気持ちいい。
無意識に喉がゴロゴロ鳴って、パパにすり寄ってしまう。
暫くそうしていると、私のお腹がキューっと空腹をアピールしてきた。
「ミルクを持ってきてもらおうな」
「あい」
パパがミルクを頼んできてくれたので、パパと隣同士、香箱座りをして待つ‼
……そう言えば、人間のみんなは動物になっちゃったけど、エンペラーはどうなってるんだろう。
ふと疑問に思い、私は独り首を傾げる。
「シロ~お待たせ~」
ミルクの入ったお皿を持ってきたのは、紛れもない人間だった。
銀髪で背の高い男の人。爽やかな笑顔の男の人。
今まで見たことがない顔だったけど、直感で分かった。
「エンペラーが銀髪イケメンになってるうううううう!?」
っていう夢をみたの」
「なかなか愉快な夢だな」
22
お気に入りに追加
7,066
あなたにおすすめの小説
生贄令嬢は怠惰に生きる~小動物好き竜王陛下に日々愛でられてます~
雪野ゆきの
恋愛
叔父一家に虐げられていた少女リアはついに竜王陛下への生贄として差し出されてしまう。どんな酷い扱いをされるかと思えば、体が小さかったことが幸いして竜王陛下からは小動物のように溺愛される。そして生贄として差し出されたはずが、リアにとっては怠惰で幸福な日々が始まった―――。
感想、誤字脱字報告、エール等ありがとうございます!
【書籍化しました!】
お祝いコメントありがとうございます!
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
騎士団長のお抱え薬師
衣更月
ファンタジー
辺境の町ハノンで暮らすイヴは、四大元素の火、風、水、土の属性から弾かれたハズレ属性、聖属性持ちだ。
聖属性持ちは意外と多く、ハズレ属性と言われるだけあって飽和状態。聖属性持ちの女性は結婚に逃げがちだが、イヴの年齢では結婚はできない。家業があれば良かったのだが、平民で天涯孤独となった身の上である。
後ろ盾は一切なく、自分の身は自分で守らなければならない。
なのに、求人依頼に聖属性は殆ど出ない。
そんな折、獣人の国が聖属性を募集していると話を聞き、出国を決意する。
場所は隣国。
しかもハノンの隣。
迎えに来たのは見上げるほど背の高い美丈夫で、なぜかイヴに威圧的な騎士団長だった。
大きな事件は起きないし、意外と獣人は優しい。なのに、団長だけは怖い。
イヴの団長克服の日々が始まる―ー―。
【書籍化進行中】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
恋愛
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
前世の記憶がうっすら残る私が転生したのは、貧乏伯爵家の長女。父親に頼まれ、公爵家の圧力と財力に負けた我が家は私を売った。
悲壮感漂う状況のようだが、契約婚は悪くない。実家の借金を返し、可愛い継子を愛でながら、旦那様は元気で留守が最高! と日常を謳歌する。旦那様に放置された妻ですが、息子や使用人と快適ライフを追求する。
逞しく生きる私に、旦那様が距離を詰めてきて? 本気の恋愛や溺愛はお断りです!!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2024/09/07……カクヨム、恋愛週間 4位
2024/09/02……小説家になろう、総合連載 2位
2024/09/02……小説家になろう、週間恋愛 2位
2024/08/28……小説家になろう、日間恋愛連載 1位
2024/08/24……アルファポリス 女性向けHOT 8位
2024/08/16……エブリスタ 恋愛ファンタジー 1位
2024/08/14……連載開始
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。