天才になるはずだった幼女は最強パパに溺愛される

雪野ゆきの

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こぼれ話

愛娘の習性

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 俺の愛娘にはいくつか習性がある。





 習性その1 寝方

 まず、シロは夜寝る時は俺の上で丸まって寝ようとするのだ。
 寝ずらくないわけではないが、シロが猫みたいで可愛いのでつい許してしまう。
 それにちっこくて温かい重みは俺の癒しでもある。

 ちなみに、俺と寝ていない昼寝の時は両手をピンッとバンザイして仰向けで寝ている。なんとも無防備な寝方だ。野生ならとっくに淘汰されているだろう。だが幸いにもシロは野良ではないので問題ない。俺が養う。

 俺はスヤスヤと寝ているシロの少しぽっこりしたお腹を撫でた。









 習性その2 匂いを嗅ぎたがる

「シロちゃーん!お土産だよ~」
「やった~!アニありがとー!!」

 シロはアニからお菓子の入った箱を受け取るとそれをクンクン嗅ぎ出す。パパそれじゃあ匂いしないと思うんだけどなぁ。

 なぜかシロはやたらと物を嗅ぎたがる。顔の前に物があったら必ず嗅ぐ。
 だから誰かがシロを抱っこするとそいつの服に顔を埋めてスンスンしている。本人は嗅いでいるのをバレていないと思っているが、みんなわかっている。
 だがおかげで野郎共が清潔を心がけるようになった。今では特殊部隊のメンバー全員が消臭スプレーを常備している。
 殿下なんて最高級の石鹸を取り寄せやがった。
 だがシロは俺の匂いが一番好きだと言ってくる。フハハ!見たか殿下。

「?」

 急に笑い出しそうなテンションになった俺を見て、不思議そうに首を傾げつつもクッキーを食べる手を止めないシロを抱き上げる。

「なにパパ。シロのクッキーが欲しいの?」

 口周りに食べかすをつけたシロは持っていたクッキーを俺の口に差し出す。そして自分はちゃっかりと新しいクッキーを取り出していた。
 まったく、この食い意地は誰に似たんだか。

 俺は片手で食べかすを払ってやった。







 習性その3 甘えん坊

「あまあま、あまあま」

 俺の膝の上で横になってシロは撫でられている。気持ち良さそうに目を細めて俺の手にすり寄るシロは控え目に言って超可愛い。
 動物だったらゴロゴロいってるレベルでくつろいでる。

 シロを撫でていたら目尻を下げたアニが近付いて来た。

「シロちゃんが発してるその謎の鳴き声なんですか?」
「これはシロが甘えてるときの鳴き声だな」
「え、何それかっわうぃいい!」

 アニが興奮する。
 うちの子が可愛いのは当然だろう。

 年齢的にもシロは甘えたい盛りだからな。
 暇さえあれば抱っこを要求してくる可愛い奴だ。
 反抗期なんて一生来ない。来たら門前払いしてやる。

 シロはテシテシと俺の膝を叩き、口を開けておやつを要求してくる。あいにく今おやつは持っていない。

 膝の上のシロにちゅっちゅっとキスを落とすとシロはキャッキャッとはしゃぐ。

 食べちゃいたいくらい可愛いな。











 習性その4 狭い所が好き

 シロは狭い所に挟まるのが好きだ。
 感性が野生なのだろうか。

 やたらと俺のシャツに潜り込もうとしてくるのだ。
 シロをシャツに入れて抱っこしているとカンガルーになった気分になる。俺はいつから有袋類になったんだ。

 そして、上着を着ている場合はほぼ確実に上着と背中の間に挟まりたがる。一生懸命自分でよじ登ってくる姿が可愛いからいいんだが。

 この前はベッドと壁の間に入り込んで出られなくなってた。そして俺にピーピーと半泣きで助けを求めてきたのだ。
 
 ベッドと壁の隙間はかなり狭い。どうやったのかシロはミッチミチに詰まっていた。何で入ろうと思ったんだ。自分の小ささを過信し過ぎだ。
 幼子の思考はたまによく分からん。

 その隙間はすぐになくした。

















 くあー、とあくびをするシロの口に人指し指を突っ込む。猫にやりたくなるあれだ。

 大きく開けた口を閉じたシロはおめめを真ん丸にして驚いていた。













 このマヌケ可愛さも我が子の習性だろうか。



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