前世は猫、今世は(文字通り)魔王の箱入り娘です!

雪野ゆきの

文字の大きさ
48 / 49

にゃんてこった!

しおりを挟む
 デートの日から数日が経った。
 なぜだか最近父さまや兄さま達が忙しそうにしてるのです。

 モフ丸の上に乗って首に抱き着く。

「兄さま達が全然構ってくれません。なんでです?」
「最近魔界の各地で騒ぎが起きてるらしいからのう。まあ、騒ぎはあやつらの自業自得感があるが……」

 騒ぎです? 

「なにか事件でもあったのでしょうか?」
「……まあ、事件と言えば事件だのう」
「?」

 よくわかんないのです。その後いくら聞いても、モフ丸にははぐらかされてしまいました。



 そして、ミィの知らない間に騒ぎはどんどん大きくなっていったようです。ついにミィの耳にも騒ぎの内容が入ってきました。

「ミィの婚約を反対して各地でデモ……?」

 一体どういうことです?それ……。
 首を傾げるミィに、渋面の父さまが説明してくれた。

 父さま曰く、この騒動の原因はこの前コウ君としたデートらしい。

「それがなんでこんな騒動になってるんです?」
「……」

 父さま、黙りました。

「我が説明してやろう」
「モフ丸。お願いするのです」
「この前のデートで後を付けていたこやつらが大騒ぎしたせいで魔界中にミィが天界の王子とデートしたということが広まってしまったのだ」
「……それのなにが問題なのです?」

 とても騒動になる出来事には思えないですけど。

「我としても理解しがたいのだがな、魔界の住人達はミィの結婚に反対して各地で騒ぎを起こしているのだ」
「結婚に反対です?」

 まだミィもコウ君も子どもですけど。

「今までミィには家族以外の男の影がなかったどころか男友達すらいなかったから皆過剰反応してしまったのだ」
「オズお兄さんがいますけど」
「あやつは身内扱いだ」
「……」

 まあ確かにオズお兄さんはお友達やただの知り合いって感じではないのです。身内扱いが適当ですね。

 そんなことを考えていると、廊下からドタドタとこちらに向かってくる足音が聞こえてきた。
 バァァァンと扉が開かれる。

「おい! なぜか我が天界でも騒ぎが起こっているのだが!!」

 入ってきたのは天王様だった。

「天王様こんにちはなのです」
「ああこんにちは。挨拶は大事だな」
「……何をしにきた」

 父さまが低い声で天王様に聞く。

天界うちでも先のデートの件で騒動が多発しているから対応を話し合いにきたのだ」
「騒動……? あの小僧をミィに取られまいとしているのか? あいつも随分と民に愛されているのだな」
「愛されているのはそうだが、騒動の内容は魔王が予想しているのとは真逆だ。コウの恋を応援する気持ちが高まり過ぎたあまり騒動に発展したようだ」

 ……どっちの住人も同じレベルですね。





しおりを挟む
感想 53

あなたにおすすめの小説

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!

ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません? せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」 不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。 実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。 あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね? なのに周りの反応は正反対! なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。 勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?

転生幼女は追放先で総愛され生活を満喫中。前世で私を虐げていた姉が異世界から召喚されたので、聖女見習いは不要のようです。

桜城恋詠
ファンタジー
 聖女見習いのロルティ(6)は、五月雨瑠衣としての前世の記憶を思い出す。  異世界から召喚された聖女が、自身を虐げてきた前世の姉だと気づいたからだ。  彼女は神官に聖女は2人もいらないと教会から追放。  迷いの森に捨てられるが――そこで重傷のアンゴラウサギと生き別れた実父に出会う。 「絶対、誰にも渡さない」 「君を深く愛している」 「あなたは私の、最愛の娘よ」  公爵家の娘になった幼子は腹違いの兄と血の繋がった父と母、2匹のもふもふにたくさんの愛を注がれて暮らす。  そんな中、養父や前世の姉から命を奪われそうになって……?  命乞いをしたって、もう遅い。  あなたたちは絶対に、許さないんだから! ☆ ☆ ☆ ★ベリーズカフェ(別タイトル)・小説家になろう(同タイトル)掲載した作品を加筆修正したものになります。 こちらはトゥルーエンドとなり、内容が異なります。 ※9/28 誤字修正

【完結】王太子に婚約破棄され、父親に修道院行きを命じられた公爵令嬢、もふもふ聖獣に溺愛される〜王太子が謝罪したいと思ったときには手遅れでした

まほりろ
恋愛
【完結済み】 公爵令嬢のアリーゼ・バイスは一学年の終わりの進級パーティーで、六年間婚約していた王太子から婚約破棄される。 壇上に立つ王太子の腕の中には桃色の髪と瞳の|庇護《ひご》欲をそそる愛らしい少女、男爵令嬢のレニ・ミュルべがいた。 アリーゼは男爵令嬢をいじめた|冤罪《えんざい》を着せられ、男爵令嬢の取り巻きの令息たちにののしられ、卵やジュースを投げつけられ、屈辱を味わいながらパーティー会場をあとにした。 家に帰ったアリーゼは父親から、貴族社会に向いてないと言われ修道院行きを命じられる。 修道院には人懐っこい仔猫がいて……アリーゼは仔猫の愛らしさにメロメロになる。 しかし仔猫の正体は聖獣で……。 表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」 ・ざまぁ有り(死ネタ有り)・ざまぁ回には「ざまぁ」と明記します。 ・婚約破棄、アホ王子、モフモフ、猫耳、聖獣、溺愛。 2021/11/27HOTランキング3位、28日HOTランキング2位に入りました! 読んで下さった皆様、ありがとうございます! 誤字報告ありがとうございます! 大変助かっております!! アルファポリスに先行投稿しています。他サイトにもアップしています。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

処理中です...