26 / 49
信者と交流するのです!
しおりを挟む今日はわたしの信者達に顔見せする日なのです。なので新しく仕立てた神様っぽい服に腕を通しました。全体的に真っ白な服です。
あくびをしてるモフ丸の前でクルンと回る。
「似合いますか?」
「うむ、かわいいぞ。馬子にも衣裳だのう」
「それは褒めてないのです」
モフ丸の尻尾をむぎゅっと握る。
「ほれ、早く兄と父に見せてやらなくていいのか?多分楽しみに待っておるぞ」
「見せにいくのです!」
わたしはモフ丸を引き連れて食堂に急いだ。
「おはようミィ。今日は一段とかわいいねぇ!!!」
食堂に入った瞬間リーフェ兄さまに抱き締められた。ちゃんと見てないでしょう。
「リーフェ、俺らにも見せろ。お前の背中しか見えねぇぞ」
「はいはい」
リーフェ兄さまの体が離れる。リーフェ兄さま越しに父さま達が見える。
「おお、かわいいな。よく似合ってるぞ」
「可愛い」
「……」
上からイルフェ兄さま、オルフェ兄さま、父さまの反応です。ちなみに父さまは口を片手で覆ってプルプルしてます。
「むんっ」
手を腰に当てて服を見せびらかす。
「かわいいかわいい」
リーフェ兄さまにうりうりと頭を撫でられる。ミィは満足です。
***
今日はオルフェ兄さまとモフ丸と一緒に人界まで行きます。
家族に行ってきますをして兄さまの転移で飛び立ちました。
「お、来たね」
カッツェ教の神殿に着くと、オズお兄さんが出迎えてくれました。
前回神殿に来たあと、家族からオズお兄さんを『ご主人さま』と呼ばないように、と厳しい指導が入ったので呼び方はオズお兄さんで固定です。
「今日はオズお兄さんも立ち会ってくれるのですか?」
「うん。ミィに会える貴重な機会だからね。それにあの一件から妙に教皇に懐かれちゃってね」
「ミィもオズお兄さんに会えて嬉しいのです」
オズお兄さんの手に頭をグリグリと擦り付ける。すると、嬉しそうに頭を撫でてくれた。
「ふふっ、今日のミィもかわいいねぇ」
ほっぺを両手で挟まれてうりうりされる。
にゅふ、猫時代を思い出すのです。
「ミィ様、オルフェ様、よくいらっしゃいました。またお会いできて光栄です」
あ、おじいちゃん教皇だ。
「こんにちはなのです」
「こんにちは」
挨拶をするとおじいちゃん教皇も柔和な笑顔で応えてくれました。物腰柔らかで理想のおじいちゃんって感じですね。
「今日は主にカッツェ教の幹部と顔合わせをしていただきます。あと、各地の信者達にミィ様のお姿を広めるために写真と絵姿を残させていただいてもいいでしょうか」
「いいですよ。でも、写真があるのに絵も必要なものなのですか?」
「絵の方がなんか、それっぽいでしょう?」
「たしかにです」
ミィもかっこよく描いてほしいのです。
「……おい」
「はい、なんでしょうかオルフェ様」
これまで黙ってたオルフェ兄さまが口を開いた。
「ミィの絵は、俺らも貰えるんだろうな」
真面目な顔して言うことがそれですか兄さま。
「もちろんです。ちゃんと全てのバージョンをお持ち帰り用にご用意させていただきます」
「うむ」
兄さまは満足げに腕を組んで頷いた。しすこんですね。
「それで、今のところ信者達の反応はどうなのだ?」
オルフェ兄さまがおじいちゃん教皇に尋ねました。
「事前に説明をしたところ、意外にも反発はありませんでしたね。ミィ様がみー様の生まれ変わりであるということも大きいのでしょう」
「ミィが魔族だということには?」
「信仰対象がいないことに比べたら大したことではないようです。私もそう思いますね」
「ふむ。そうか」
とりあえずその答えにオルフェ兄さまは納得したらしい。
「では、早速信者達に会っていただけますか?」
「はい。たのもー、です」
「ミィ、それはちょっと違うぞ」
***
「皆、こちらにいらっしゃるお方が我らの新しき信仰神、ミィ様です」
「ミィなのです!」
わたしはモフ丸と一緒に壇の上に登りました。オルフェ兄さまはちょっと離れた所で見守ってくれてます。オズお兄さんは仕事があるらしくてどっかに行っちゃいました。仕事の合間を縫って会いに来てくれてたみたいです。
わたし達の前には数十人の信者の人達がいる。みんなガン見してくるのでちょっと照れるのです。
わたしが挨拶をすると、その場が少しざわつきました。呟きの内容を拾おうとしているのかモフ丸の耳がピルピル動いてます。
「モフ丸、みんななんて言ってるんですか?」
しゃがんでコッソリモフ丸に話し掛けますが、モフ丸は遠い目をするばかりでなにも答えてくれません。
「ゴホン」
おじいちゃん教皇が咳払いをすると、みんな口を閉じました。その場が一気に静かになります。
おじいちゃん教皇はパンッと両手を合わせました。
「皆、ミィ様の素晴らしさは分かりましたね?」
「え、ミィまだなにもお話してないですよ?」
「よいのですミィ様。ミィ様の素晴らしさはわざわざ説明せずともそのお姿を見ただけで皆理解しました。むしろ理解できない者はカッツェ教徒ではありません」
「?ミィにはちょっとついていけないのです」
「それでよいのです。ミィ様はそのままでいてください」
謎なおじいちゃん教皇です。
「ミィ」
ミィが戸惑ってると、いつの間にかオルフェ兄さまが真後ろに来てました。スリッとほっぺを撫でられます。
「おいイルミナート、もう顔見せはいいだろう」
「そうですね。では早速写真撮影に移りましょう」
おじいちゃん教皇はイルミナートって名前なんですね。初めて知ったのです。
「ミィ、行くぞ」
オルフェ兄さまに抱っこされた。
「みんなバイバイです」
オルフェ兄さまの肩越しに顔を出して手を振ると、信者のみんなも勢いよく手を振り返してくれた。
ミィの信者さん達は、いい人達かもです。
***
別室に移動すると、そこには写真撮影をするための設備がきっちりと整えられていた。
準備ばっちしですね。
ミィはモフ丸と一緒にカメラの前に立たされました。
「モフ丸と一緒でいいんです?」
「もちろんミィ様一人の画も欲しいですが神獣様との画も必要なのです」
「そうなのですか」
モフ丸がなんかジト目してます。どうしたんですか?写真嫌なのですか?
伏せをしてるモフ丸に覆いかぶさって後ろから抱き着きます。
パシャパシャパシャッ!
「!?」
急に連写されるからビックリしたのです。おじいちゃん教皇は真剣なお顔でカメラを覗き込んでます。というか教皇直々に撮ってくれるのですね。
「よいですよミィ様。そのままこちらに目線をください」
「は、はいなのです」
カメラのレンズと目を合わせると再び連続したシャッター音が耳に入ってきます。カメラのレンズってなんか目みたいですね。無機質な視線を感じます。
そのままいろんな写真を撮られ続け、一時間ほどすると解放されました。
わたしは部屋にあった長椅子にべしょっと横になる。
「ふぅ、つかれたのです」
「お疲れ」
同じ長椅子に腰かけた兄さまが頭を撫でてくれます。ついでにこしょこしょと角をくすぐられるのが心地いいです。
「ミィ様お疲れ様です」
おじいちゃん教皇が長椅子のサイドテーブルに冷たいココアを置いてくれた。
「ありがとうなのです」
わたしは上半身を起こし、んくんくとココアを飲みます。
うん、甘くておいしいのです。
わたしの体は思った以上に水分と糖分を欲していたらしく、ペロリとココアを飲み干してしまいました。
「おかわりはいりますか?今日の予定は全て消化していただきましたのでゆっくりして下さいね」
「あれ?絵は描かなくていいのですか?」
「絵の方は写真を見て描かせていただきますよ。ミィ様にご負担をかけるわけにもいきませんし」
「そーなのですか。あ、おかわりおねがいしますなのです」
何時間もモデルをしてないといけないのかと思ってました。なんかちょっと得した気分です。
***
「じゃあまたきますね~」
「はい、いつでもお待ちしております」
おじいちゃん教皇がにこやかにお見送りをしてくれる。
オルフェ兄さまの左腕にはわたし、右腕にはモフ丸が抱かれてる。目の前にモフモフがいると、ちょっかいかけたくなっちゃうのです。
わたし達はそのまま、オルフェ兄さまの転移でお家に帰った。
中々いい経験でしたね。
後日、オルフェ兄さまのお部屋に遊びに行ったらミィの絵がたくさん飾ってあって、ちょっと引いたのです。
13
お気に入りに追加
2,014
あなたにおすすめの小説
美味しい料理で村を再建!アリシャ宿屋はじめます
今野綾
ファンタジー
住んでいた村が襲われ家族も住む場所も失ったアリシャ。助けてくれた村に住むことに決めた。
アリシャはいつの間にか宿っていた力に次第に気づいて……
表紙 チルヲさん
出てくる料理は架空のものです
造語もあります11/9
参考にしている本
中世ヨーロッパの農村の生活
中世ヨーロッパを生きる
中世ヨーロッパの都市の生活
中世ヨーロッパの暮らし
中世ヨーロッパのレシピ
wikipediaなど
神獣に転生!?人を助けて死んだら異世界に転生する事になりました
Miki
ファンタジー
学校が終わりバイトに行く途中、子供を助けて代わりに死んでしまった。
実は、助けた子供は別の世界の神様でお詫びに自分の世界に転生させてくれると言う。
何か欲しい能力があるか聞かれたので希望をいい、いよいよ異世界に転生すると・・・・・・
何故か神獣に転生していた!
始めて書いた小説なので、文章がおかしかったり誤字などあるかもしてませんがよろしくお願いいたします。
更新は、話が思いついたらするので早く更新できる時としばらく更新てきない時があります。ご了承ください。
人との接し方などコミュニケーションが苦手なので感想等は返信できる時とできない時があります。返信できなかった時はごめんなさいm(_ _)m
なるべく返信できるように努力します。
その聖女は身分を捨てた
メカ喜楽直人
ファンタジー
ある日突然、この世界各地に無数のダンジョンが出来たのは今から18年前のことだった。
その日から、この世界には魔物が溢れるようになり人々は武器を揃え戦うことを覚えた。しかし年を追うごとに魔獣の種類は増え続け武器を持っている程度では倒せなくなっていく。
そんな時、神からの掲示によりひとりの少女が探し出される。
魔獣を退ける結界を作り出せるその少女は、自国のみならず各国から請われ結界を貼り廻らせる旅にでる。
こうして少女の活躍により、世界に平和が取り戻された。
これは、平和を取り戻した後のお話である。
転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
裏の林にダンジョンが出来ました。~異世界からの転生幼女、もふもふペットと共に~
あかる
ファンタジー
私、異世界から転生してきたみたい?
とある田舎町にダンジョンが出来、そこに入った美優は、かつて魔法学校で教師をしていた自分を思い出した。
犬と猫、それと鶏のペットと一緒にダンジョンと、世界の謎に挑みます!
だって私、悪役令嬢なんですもの(笑)
みなせ
ファンタジー
転生先は、ゲーム由来の異世界。
ヒロインの意地悪な姉役だったわ。
でも、私、お約束のチートを手に入れましたの。
ヒロインの邪魔をせず、
とっとと舞台から退場……の筈だったのに……
なかなか家から離れられないし、
せっかくのチートを使いたいのに、
使う暇も無い。
これどうしたらいいのかしら?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる