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信者と交流するのです!

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 今日はわたしの信者達に顔見せする日なのです。なので新しく仕立てた神様っぽい服に腕を通しました。全体的に真っ白な服です。
 あくびをしてるモフ丸の前でクルンと回る。
「似合いますか?」
「うむ、かわいいぞ。馬子にも衣裳だのう」
「それは褒めてないのです」
 モフ丸の尻尾をむぎゅっと握る。
「ほれ、早く兄と父に見せてやらなくていいのか?多分楽しみに待っておるぞ」
「見せにいくのです!」

 わたしはモフ丸を引き連れて食堂に急いだ。





「おはようミィ。今日は一段とかわいいねぇ!!!」
 食堂に入った瞬間リーフェ兄さまに抱き締められた。ちゃんと見てないでしょう。
「リーフェ、俺らにも見せろ。お前の背中しか見えねぇぞ」
「はいはい」
 リーフェ兄さまの体が離れる。リーフェ兄さま越しに父さま達が見える。

「おお、かわいいな。よく似合ってるぞ」
「可愛い」
「……」
 上からイルフェ兄さま、オルフェ兄さま、父さまの反応です。ちなみに父さまは口を片手で覆ってプルプルしてます。
「むんっ」
 手を腰に当てて服を見せびらかす。
「かわいいかわいい」
 リーフェ兄さまにうりうりと頭を撫でられる。ミィは満足です。


***



 今日はオルフェ兄さまとモフ丸と一緒に人界まで行きます。
 家族に行ってきますをして兄さまの転移で飛び立ちました。



「お、来たね」
 カッツェ教の神殿に着くと、オズお兄さんが出迎えてくれました。
 前回神殿に来たあと、家族からオズお兄さんを『ご主人さま』と呼ばないように、と厳しい指導が入ったので呼び方はオズお兄さんで固定です。

「今日はオズお兄さんも立ち会ってくれるのですか?」
「うん。ミィに会える貴重な機会だからね。それにあの一件から妙に教皇に懐かれちゃってね」
「ミィもオズお兄さんに会えて嬉しいのです」
 オズお兄さんの手に頭をグリグリと擦り付ける。すると、嬉しそうに頭を撫でてくれた。
「ふふっ、今日のミィもかわいいねぇ」
 ほっぺを両手で挟まれてうりうりされる。
 にゅふ、猫時代を思い出すのです。


「ミィ様、オルフェ様、よくいらっしゃいました。またお会いできて光栄です」
 あ、おじいちゃん教皇だ。
「こんにちはなのです」
「こんにちは」
 挨拶をするとおじいちゃん教皇も柔和な笑顔で応えてくれました。物腰柔らかで理想のおじいちゃんって感じですね。

「今日は主にカッツェ教の幹部と顔合わせをしていただきます。あと、各地の信者達にミィ様のお姿を広めるために写真と絵姿を残させていただいてもいいでしょうか」
「いいですよ。でも、写真があるのに絵も必要なものなのですか?」
「絵の方がなんか、それっぽいでしょう?」
「たしかにです」
 ミィもかっこよく描いてほしいのです。

「……おい」
「はい、なんでしょうかオルフェ様」
 これまで黙ってたオルフェ兄さまが口を開いた。
「ミィの絵は、俺らも貰えるんだろうな」
 真面目な顔して言うことがそれですか兄さま。
「もちろんです。ちゃんと全てのバージョンをお持ち帰り用にご用意させていただきます」
「うむ」
 兄さまは満足げに腕を組んで頷いた。しすこんですね。


「それで、今のところ信者達の反応はどうなのだ?」
 オルフェ兄さまがおじいちゃん教皇に尋ねました。
「事前に説明をしたところ、意外にも反発はありませんでしたね。ミィ様がみー様の生まれ変わりであるということも大きいのでしょう」
「ミィが魔族だということには?」
「信仰対象がいないことに比べたら大したことではないようです。私もそう思いますね」
「ふむ。そうか」
 とりあえずその答えにオルフェ兄さまは納得したらしい。

「では、早速信者達に会っていただけますか?」
「はい。たのもー、です」
「ミィ、それはちょっと違うぞ」



***




「皆、こちらにいらっしゃるお方が我らの新しき信仰神、ミィ様です」
「ミィなのです!」
 わたしはモフ丸と一緒に壇の上に登りました。オルフェ兄さまはちょっと離れた所で見守ってくれてます。オズお兄さんは仕事があるらしくてどっかに行っちゃいました。仕事の合間を縫って会いに来てくれてたみたいです。

 わたし達の前には数十人の信者の人達がいる。みんなガン見してくるのでちょっと照れるのです。

 わたしが挨拶をすると、その場が少しざわつきました。呟きの内容を拾おうとしているのかモフ丸の耳がピルピル動いてます。
「モフ丸、みんななんて言ってるんですか?」
 しゃがんでコッソリモフ丸に話し掛けますが、モフ丸は遠い目をするばかりでなにも答えてくれません。

「ゴホン」
 おじいちゃん教皇が咳払いをすると、みんな口を閉じました。その場が一気に静かになります。
 おじいちゃん教皇はパンッと両手を合わせました。
「皆、ミィ様の素晴らしさは分かりましたね?」
「え、ミィまだなにもお話してないですよ?」
「よいのですミィ様。ミィ様の素晴らしさはわざわざ説明せずともそのお姿を見ただけで皆理解しました。むしろ理解できない者はカッツェ教徒ではありません」
「?ミィにはちょっとついていけないのです」
「それでよいのです。ミィ様はそのままでいてください」
 謎なおじいちゃん教皇です。

「ミィ」
 ミィが戸惑ってると、いつの間にかオルフェ兄さまが真後ろに来てました。スリッとほっぺを撫でられます。
「おいイルミナート、もう顔見せはいいだろう」
「そうですね。では早速写真撮影に移りましょう」
 おじいちゃん教皇はイルミナートって名前なんですね。初めて知ったのです。


「ミィ、行くぞ」
 オルフェ兄さまに抱っこされた。
「みんなバイバイです」
 オルフェ兄さまの肩越しに顔を出して手を振ると、信者のみんなも勢いよく手を振り返してくれた。

 ミィの信者さん達は、いい人達かもです。



***




 別室に移動すると、そこには写真撮影をするための設備がきっちりと整えられていた。
 準備ばっちしですね。

 ミィはモフ丸と一緒にカメラの前に立たされました。

「モフ丸と一緒でいいんです?」
「もちろんミィ様一人の画も欲しいですが神獣様との画も必要なのです」
「そうなのですか」
 モフ丸がなんかジト目してます。どうしたんですか?写真嫌なのですか?
 伏せをしてるモフ丸に覆いかぶさって後ろから抱き着きます。

 パシャパシャパシャッ!

「!?」
 急に連写されるからビックリしたのです。おじいちゃん教皇は真剣なお顔でカメラを覗き込んでます。というか教皇直々に撮ってくれるのですね。
「よいですよミィ様。そのままこちらに目線をください」
「は、はいなのです」
 カメラのレンズと目を合わせると再び連続したシャッター音が耳に入ってきます。カメラのレンズってなんか目みたいですね。無機質な視線を感じます。







 そのままいろんな写真を撮られ続け、一時間ほどすると解放されました。

 わたしは部屋にあった長椅子にべしょっと横になる。
「ふぅ、つかれたのです」
「お疲れ」
 同じ長椅子に腰かけた兄さまが頭を撫でてくれます。ついでにこしょこしょと角をくすぐられるのが心地いいです。

「ミィ様お疲れ様です」
 おじいちゃん教皇が長椅子のサイドテーブルに冷たいココアを置いてくれた。
「ありがとうなのです」
 わたしは上半身を起こし、んくんくとココアを飲みます。
 うん、甘くておいしいのです。

 わたしの体は思った以上に水分と糖分を欲していたらしく、ペロリとココアを飲み干してしまいました。
「おかわりはいりますか?今日の予定は全て消化していただきましたのでゆっくりして下さいね」
「あれ?絵は描かなくていいのですか?」
「絵の方は写真を見て描かせていただきますよ。ミィ様にご負担をかけるわけにもいきませんし」
「そーなのですか。あ、おかわりおねがいしますなのです」
 何時間もモデルをしてないといけないのかと思ってました。なんかちょっと得した気分です。




***



「じゃあまたきますね~」
「はい、いつでもお待ちしております」
 おじいちゃん教皇がにこやかにお見送りをしてくれる。 

 オルフェ兄さまの左腕にはわたし、右腕にはモフ丸が抱かれてる。目の前にモフモフがいると、ちょっかいかけたくなっちゃうのです。

 わたし達はそのまま、オルフェ兄さまの転移でお家に帰った。
 中々いい経験でしたね。






 後日、オルフェ兄さまのお部屋に遊びに行ったらミィの絵がたくさん飾ってあって、ちょっと引いたのです。






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