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三章
ごはんタイムです!
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「きゅっ」
私の頭にボールが当たり、バウンドして地面にポトリと落ちた。
「きゅ~?」
不思議そうな顔をしたリューンが私の顔を覗き込み、首を傾げる。
もう疲れたの? とでも言いたげな顔だ。はい、疲れました。
遊び疲れてヘトヘトだ。
背中についている小さな羽をパタパタと動かしお母さんのところに行く。その大きな足元に着地すれば、お母さんが私の頬をペロリと舐めてくれた。
きもち~です。
お母さんに甘える私の姿を見て思い出したのか、リューンとノヴァもそれぞれの母竜達に甘えに行った。
運動したらお腹がすきましたね……。
きゅるるるるる~。
お腹空いたな~と考えていると、タイミングよくお腹が鳴った。まるで私達子竜の鳴き声みたいな音だ。
「―――かっ……かわいい……っ!」
ブハッと噴き出す音がした方に顔を向けると、ヴォルフス様が口元を押さえて悶えていた。
数秒して震えを止めたヴォルフス様は、穏やかな微笑みを浮かべると、私を抱き上げた。脇に手を差し込んで頭上に掲げる、高い高いのような抱き上げ方だ。
「リア、お腹空いたな」
「きゅ~」
お腹空きました。
お父さん達がいる方からはいい匂いも漂ってきますし。
スンスンと鼻をひくつかせる私を見て、ヴォルフス様が笑みを深める。
そしてヴォルフス様は私を自分の片腕に座らせると、お父さん達の方に連れていった。
「「「きゅ~!!」」」
外に設置された簡易テーブルの上に載っている料理を見て、私達子竜ズが同時に鳴き声を上げる。みんな動き回ったのでお腹がペコペコなのだ。
「みんな食べる前に手を拭こうね~」
お父さんが濡れた布巾を持ってきて私達の前脚を拭いてくれた。
「はい、きれいになった」
「「「きゅ~」」」
前脚を拭いてくれたお父さんに、私達はそろえて頭をペコリと下げた。
我ながら、中々に息の合った動きです。
「みんな上手にお礼が言えて偉いね」
お父さんが私達の頭を順に撫でる。その顔はデレデレだ。
だけど、お父さんに頭を撫でらえれるリューンとノヴァも嬉しそうに目を細め、尻尾をフリフリしている。
そういえば、お父さんは竜に好かれる体質でしたね。どうりで二頭が嬉しそうなわけです。
私達三頭は、用意してもらった子ども用の椅子に横並びに座る。すると、それぞれの前にお肉や野菜の載ったお皿が置かれた。子竜ズも成長し、大分固形物も食べられるようになったのだ。
私達のごはんは、食べやすいように小さく切ってくれている。
お父さん達の心遣いを感じますね。
料理を終えたお父さんやヴォルフス様達も各々席に着く。
「じゃあ食べようか」
「「「きゅ~! (いただきま~す!)」」」
一口サイズのお肉を食べる。
ん~! おいしいです!
もっきゅもっきゅと味付きのお肉を咀嚼する。
「きゅ (おいしいですね)」
味の感想を分かち合おうと隣を見ると、リューンとノヴァの頬がパンパンになっていた。
リスみたいでかわいいです。
でも、そんなに詰め込んで大丈夫でしょうか……。喉に詰まらせないか心配です……。
視界の端に、二頭の母竜がヒヤヒヤと二頭を見守っているのが見えた。自分達用に分けられたご飯を食べつつも、視線は我が子の方に向いている。
「もっとゆっくり食べないと喉に詰まるわよ。うふふ、かわいいわ」
もっもっとお肉を咀嚼する二頭の口元を、対面にいたエルゼリアが拭いてやる。
「ちゃんとお水も飲みなさいな」
「きゅ」
「きゅきゅ」
ごくん口の中のものを胃に収めた二頭は、エルゼリアの言った通りお水を飲み始めた。それを見た二頭の母竜も、ホッと胸を撫で下ろす。
「リア、おいしいか?」
「きゅ!」
とってもおいしいです!
隣のヴォルフス様に元気よく返事をすると、よしよしと頭を撫でられた。
にしても、この子竜の小さな手だと食事がしにくいですね。
子ども用のフォークを用意してもらい、それを使っているがそれでも扱いづらい。元々竜の手は道具を扱うのに適してはいないですしね。
リューンとノヴァはとっくにフォークを使うのを諦めている。
「きゅ~……」
四苦八苦しつつお肉や野菜を口に運んでいると、隣から腕が伸びてきて私のフォークを掴んだ。そして、そのフォークで焼いたかぼちゃを突きさすと、私の口の前に運んでくる。
「はいリア、あーん」
「きゅ~」
あーん、と口を開くと、カボチャが口の中に入ってくる。
「すまない、もっと早く気付いてやればよかったな」
それから、ヴォルフス様は私が満腹になるまで楽しそうに給餌をしてくれた。
「きゅ~」
お腹いっぱいです。
リューンとノヴァと並び、食事前よりもまあるくなったお腹を撫でる。すると、周りの大人達から次々に「かわいい」と頭を撫でられた。
ヴォルフス様は私にごはんを食べさせるのが楽しかったらしく、片付けの最中もずっと上機嫌だった。
なんにもしてないのに、なんだかいいことをした気分です。
私の頭にボールが当たり、バウンドして地面にポトリと落ちた。
「きゅ~?」
不思議そうな顔をしたリューンが私の顔を覗き込み、首を傾げる。
もう疲れたの? とでも言いたげな顔だ。はい、疲れました。
遊び疲れてヘトヘトだ。
背中についている小さな羽をパタパタと動かしお母さんのところに行く。その大きな足元に着地すれば、お母さんが私の頬をペロリと舐めてくれた。
きもち~です。
お母さんに甘える私の姿を見て思い出したのか、リューンとノヴァもそれぞれの母竜達に甘えに行った。
運動したらお腹がすきましたね……。
きゅるるるるる~。
お腹空いたな~と考えていると、タイミングよくお腹が鳴った。まるで私達子竜の鳴き声みたいな音だ。
「―――かっ……かわいい……っ!」
ブハッと噴き出す音がした方に顔を向けると、ヴォルフス様が口元を押さえて悶えていた。
数秒して震えを止めたヴォルフス様は、穏やかな微笑みを浮かべると、私を抱き上げた。脇に手を差し込んで頭上に掲げる、高い高いのような抱き上げ方だ。
「リア、お腹空いたな」
「きゅ~」
お腹空きました。
お父さん達がいる方からはいい匂いも漂ってきますし。
スンスンと鼻をひくつかせる私を見て、ヴォルフス様が笑みを深める。
そしてヴォルフス様は私を自分の片腕に座らせると、お父さん達の方に連れていった。
「「「きゅ~!!」」」
外に設置された簡易テーブルの上に載っている料理を見て、私達子竜ズが同時に鳴き声を上げる。みんな動き回ったのでお腹がペコペコなのだ。
「みんな食べる前に手を拭こうね~」
お父さんが濡れた布巾を持ってきて私達の前脚を拭いてくれた。
「はい、きれいになった」
「「「きゅ~」」」
前脚を拭いてくれたお父さんに、私達はそろえて頭をペコリと下げた。
我ながら、中々に息の合った動きです。
「みんな上手にお礼が言えて偉いね」
お父さんが私達の頭を順に撫でる。その顔はデレデレだ。
だけど、お父さんに頭を撫でらえれるリューンとノヴァも嬉しそうに目を細め、尻尾をフリフリしている。
そういえば、お父さんは竜に好かれる体質でしたね。どうりで二頭が嬉しそうなわけです。
私達三頭は、用意してもらった子ども用の椅子に横並びに座る。すると、それぞれの前にお肉や野菜の載ったお皿が置かれた。子竜ズも成長し、大分固形物も食べられるようになったのだ。
私達のごはんは、食べやすいように小さく切ってくれている。
お父さん達の心遣いを感じますね。
料理を終えたお父さんやヴォルフス様達も各々席に着く。
「じゃあ食べようか」
「「「きゅ~! (いただきま~す!)」」」
一口サイズのお肉を食べる。
ん~! おいしいです!
もっきゅもっきゅと味付きのお肉を咀嚼する。
「きゅ (おいしいですね)」
味の感想を分かち合おうと隣を見ると、リューンとノヴァの頬がパンパンになっていた。
リスみたいでかわいいです。
でも、そんなに詰め込んで大丈夫でしょうか……。喉に詰まらせないか心配です……。
視界の端に、二頭の母竜がヒヤヒヤと二頭を見守っているのが見えた。自分達用に分けられたご飯を食べつつも、視線は我が子の方に向いている。
「もっとゆっくり食べないと喉に詰まるわよ。うふふ、かわいいわ」
もっもっとお肉を咀嚼する二頭の口元を、対面にいたエルゼリアが拭いてやる。
「ちゃんとお水も飲みなさいな」
「きゅ」
「きゅきゅ」
ごくん口の中のものを胃に収めた二頭は、エルゼリアの言った通りお水を飲み始めた。それを見た二頭の母竜も、ホッと胸を撫で下ろす。
「リア、おいしいか?」
「きゅ!」
とってもおいしいです!
隣のヴォルフス様に元気よく返事をすると、よしよしと頭を撫でられた。
にしても、この子竜の小さな手だと食事がしにくいですね。
子ども用のフォークを用意してもらい、それを使っているがそれでも扱いづらい。元々竜の手は道具を扱うのに適してはいないですしね。
リューンとノヴァはとっくにフォークを使うのを諦めている。
「きゅ~……」
四苦八苦しつつお肉や野菜を口に運んでいると、隣から腕が伸びてきて私のフォークを掴んだ。そして、そのフォークで焼いたかぼちゃを突きさすと、私の口の前に運んでくる。
「はいリア、あーん」
「きゅ~」
あーん、と口を開くと、カボチャが口の中に入ってくる。
「すまない、もっと早く気付いてやればよかったな」
それから、ヴォルフス様は私が満腹になるまで楽しそうに給餌をしてくれた。
「きゅ~」
お腹いっぱいです。
リューンとノヴァと並び、食事前よりもまあるくなったお腹を撫でる。すると、周りの大人達から次々に「かわいい」と頭を撫でられた。
ヴォルフス様は私にごはんを食べさせるのが楽しかったらしく、片付けの最中もずっと上機嫌だった。
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