104 / 117
三章
が、学校見学ですか!?
しおりを挟む
この前一人で出かけて以来、両親やヴォルフス様は私がでかけることに少し協力的になった。みんな少し思うところがあったらしい。
私はそこまで不便さは感じてなかったので別にいいんですけどね。でもヴォルフス様は私が出掛けやすいように街の警備を見直してくれたらしいので出掛けなかったら逆に申し訳ないような気もする。
そんな私が今日向かった先は竜舎だ。
いやだって、街にはつい先日行きましたし、また行くにはちょっとスパンが短すぎますよね?
街にはもうちょっと時間をおいてからまた行こうと思う。とりあえず今日は子竜ちゃん達と戯れる。
「こんにちは~」
「きゅ!」
「きゅっ」
「きゅきゅっ」
ひょっこり子竜ズが顔を出す。
今日もかわいいですね。
いつものように子竜ズと戯れているとシアラさんがやって来た。その後ろからはヴォルフス様が歩いてきている。二人はなにやら見慣れぬ荷物を持っているようだけど、なんだろう。
首を傾げているとヴォルフス様が私の前に箱を置いた。
「リア、学校見学に行ってみないか?」
「え?」
「前に少し興味を持ってただろう? 学園長に相談してみたらいつでも来てくれと言われたからちょこっと見学に行ってみないか? 子竜達も連れて」
「「「きゅ!?」」」
ヴォルフス様の言葉に子竜達がほんと!? と嬉しそうな反応をした。
「いいんですか?」
「ああ、もちろん」
「ヴォルフス様もついて来てくれますか?」
ヴォルフス様が一緒に行ってくれないと不安だ。街に行くのとでは訳が違う。
私がそう言うと、ヴォルフス様は蕩けるような笑みを浮かべた。
「もちろん。是非お供させてくれ。さて、そうと決まれば着替えないとな」
「着替え?」
「ああ、せっかく学校に行くのなら制服を着ないとな」
そう言って笑ったヴォルフス様が箱を開くと、そこには制服や靴一式が揃っていた。サイズが明らかに小さく、完全に私サイズだ。
もしかして、このためだけに用意してくれたんだろうか。
見上げると、ヴォルフス様はなんてことないようにニコリと笑った。
せっかくの厚意を無下にするのもなんなので、早速制服に着替えてみた。
サイズはピッタリだし生地もすごくしっかりしている。
これはブレザーという制服らしく、紫を基調としたチェックのスカートが可愛らしい。
「シアラさんどうです?」
シアラさんの前でくるりと回って制服を見せる。
「とっっっってもかわいいです! 早速陛下に見せに行きましょう!!」
シアラさんにグイグイと背中を押され、私が着替えるのを待ってくれているヴォルフス様のところへと向かう。
「ヴォルフス様、どうですか?」
「かわいい!! リアかわいいなぁ!!」
ヴォルフス様が私を高い高いし、その場でクルクル回る。
「かわいすぎる!!」
「えへへ。あ、子竜達も準備ができたみたいですよ?」
「子竜達?」
ヴォルフス様がきょとんとして私が指さした方へ顔を向ける。
「!!!」
「きゅ」
「きゅる」
「きゅるるる~」
ヴォルフス様の視線の先には、ネクタイとリボンを首に付けた子竜達。リューンとノヴァはネクタイでカノンがリボンだ。
ヴォルフス様が知らなかったところを見るに、このネクタイとリボンはシアラさんがこっそり準備したのだろう。
ヴォルフス様が私を地面に下ろす。
「リア、ちょっとそこに座ってみてくれ」
「はい」
指示通りにクッションベッドへ腰かける。
すると、ヴォルフス様が三頭を持ち、私の両隣にカノンとノヴァを、私の膝の上にリュズを乗せた。そして一つ頷くとヴォルフス様はクッションベッドから離れていく。
「見ろシアラ、この世のかわいいが全部集まってる。これは絵に残さなければ嘘だろう」
「まったく同意ですけれど、今それをやると学園を見学する時間がなくなりますよ? この光景を絵に残すのは本当に大賛成ですけど後日にしたらいかがでしょうか」
ヴォルフス様とシアラさんが視線をこちらに固定したまま何やら話をしている。なんだか不思議な光景ですね。だって二人で話しているのにちっともお互いを見ないんですもん。二人ともひたすらこちらを見ている。
あまりにもずっと見つめられるのが気まずいので膝上のリューンの手を取り、二人に向けて振ってみた。
瞬間、二人が悶えだす。
その反応が面白かったのか、ノヴァとカノンも進んで二人に手を振り始めた。すると当然、二人はさらに悶える。
結局、私達が学園に向けて出発できたのはそれから三十分後のことだった。
私はそこまで不便さは感じてなかったので別にいいんですけどね。でもヴォルフス様は私が出掛けやすいように街の警備を見直してくれたらしいので出掛けなかったら逆に申し訳ないような気もする。
そんな私が今日向かった先は竜舎だ。
いやだって、街にはつい先日行きましたし、また行くにはちょっとスパンが短すぎますよね?
街にはもうちょっと時間をおいてからまた行こうと思う。とりあえず今日は子竜ちゃん達と戯れる。
「こんにちは~」
「きゅ!」
「きゅっ」
「きゅきゅっ」
ひょっこり子竜ズが顔を出す。
今日もかわいいですね。
いつものように子竜ズと戯れているとシアラさんがやって来た。その後ろからはヴォルフス様が歩いてきている。二人はなにやら見慣れぬ荷物を持っているようだけど、なんだろう。
首を傾げているとヴォルフス様が私の前に箱を置いた。
「リア、学校見学に行ってみないか?」
「え?」
「前に少し興味を持ってただろう? 学園長に相談してみたらいつでも来てくれと言われたからちょこっと見学に行ってみないか? 子竜達も連れて」
「「「きゅ!?」」」
ヴォルフス様の言葉に子竜達がほんと!? と嬉しそうな反応をした。
「いいんですか?」
「ああ、もちろん」
「ヴォルフス様もついて来てくれますか?」
ヴォルフス様が一緒に行ってくれないと不安だ。街に行くのとでは訳が違う。
私がそう言うと、ヴォルフス様は蕩けるような笑みを浮かべた。
「もちろん。是非お供させてくれ。さて、そうと決まれば着替えないとな」
「着替え?」
「ああ、せっかく学校に行くのなら制服を着ないとな」
そう言って笑ったヴォルフス様が箱を開くと、そこには制服や靴一式が揃っていた。サイズが明らかに小さく、完全に私サイズだ。
もしかして、このためだけに用意してくれたんだろうか。
見上げると、ヴォルフス様はなんてことないようにニコリと笑った。
せっかくの厚意を無下にするのもなんなので、早速制服に着替えてみた。
サイズはピッタリだし生地もすごくしっかりしている。
これはブレザーという制服らしく、紫を基調としたチェックのスカートが可愛らしい。
「シアラさんどうです?」
シアラさんの前でくるりと回って制服を見せる。
「とっっっってもかわいいです! 早速陛下に見せに行きましょう!!」
シアラさんにグイグイと背中を押され、私が着替えるのを待ってくれているヴォルフス様のところへと向かう。
「ヴォルフス様、どうですか?」
「かわいい!! リアかわいいなぁ!!」
ヴォルフス様が私を高い高いし、その場でクルクル回る。
「かわいすぎる!!」
「えへへ。あ、子竜達も準備ができたみたいですよ?」
「子竜達?」
ヴォルフス様がきょとんとして私が指さした方へ顔を向ける。
「!!!」
「きゅ」
「きゅる」
「きゅるるる~」
ヴォルフス様の視線の先には、ネクタイとリボンを首に付けた子竜達。リューンとノヴァはネクタイでカノンがリボンだ。
ヴォルフス様が知らなかったところを見るに、このネクタイとリボンはシアラさんがこっそり準備したのだろう。
ヴォルフス様が私を地面に下ろす。
「リア、ちょっとそこに座ってみてくれ」
「はい」
指示通りにクッションベッドへ腰かける。
すると、ヴォルフス様が三頭を持ち、私の両隣にカノンとノヴァを、私の膝の上にリュズを乗せた。そして一つ頷くとヴォルフス様はクッションベッドから離れていく。
「見ろシアラ、この世のかわいいが全部集まってる。これは絵に残さなければ嘘だろう」
「まったく同意ですけれど、今それをやると学園を見学する時間がなくなりますよ? この光景を絵に残すのは本当に大賛成ですけど後日にしたらいかがでしょうか」
ヴォルフス様とシアラさんが視線をこちらに固定したまま何やら話をしている。なんだか不思議な光景ですね。だって二人で話しているのにちっともお互いを見ないんですもん。二人ともひたすらこちらを見ている。
あまりにもずっと見つめられるのが気まずいので膝上のリューンの手を取り、二人に向けて振ってみた。
瞬間、二人が悶えだす。
その反応が面白かったのか、ノヴァとカノンも進んで二人に手を振り始めた。すると当然、二人はさらに悶える。
結局、私達が学園に向けて出発できたのはそれから三十分後のことだった。
23
お気に入りに追加
5,188
あなたにおすすめの小説
天才になるはずだった幼女は最強パパに溺愛される
雪野ゆきの
ファンタジー
記憶を失った少女は森に倒れていたところをを拾われ、特殊部隊の隊長ブレイクの娘になった。
スペックは高いけどポンコツ気味の幼女と、娘を溺愛するチートパパの話。
※誤字報告、感想などありがとうございます!
書籍はレジーナブックス様より2021年12月1日に発売されました!
電子書籍も出ました。
文庫版が2024年7月5日に発売されました!
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です
「デブは出て行け!」と追放されたので、チートスキル【マイホーム】で異世界生活を満喫します。
亜綺羅もも
ファンタジー
旧題:「デブは出て行け!」と追放されたので、チートスキル【マイホーム】で異世界生活を満喫します。今更戻って来いと言われても旦那が許してくれません!
いきなり異世界に召喚された江藤里奈(18)。
突然のことに戸惑っていたが、彼女と一緒に召喚された結城姫奈の顔を見て愕然とする。
里奈は姫奈にイジメられて引きこもりをしていたのだ。
そんな二人と同じく召喚された下柳勝也。
三人はメロディア国王から魔族王を倒してほしいと相談される。
だがその話し合いの最中、里奈のことをとことんまでバカにする姫奈。
とうとう周囲の人間も里奈のことをバカにし始め、極めつけには彼女のスキルが【マイホーム】という名前だったことで完全に見下されるのであった。
いたたまれなくなった里奈はその場を飛び出し、目的もなく町の外を歩く。
町の住人が近寄ってはいけないという崖があり、里奈はそこに行きついた時、不意に落下してしまう。
落下した先には邪龍ヴォイドドラゴンがおり、彼は里奈のことを助けてくれる。
そこからどうするか迷っていた里奈は、スキルである【マイホーム】を使用してみることにした。
すると【マイホーム】にはとんでもない能力が秘められていることが判明し、彼女の人生が大きく変化していくのであった。
ヴォイドドラゴンは里奈からイドというあだ名をつけられ彼女と一緒に生活をし、そして里奈の旦那となる。
姫奈は冒険に出るも、自身の力を過信しすぎて大ピンチに陥っていた。
そんなある日、現在の里奈の話を聞いた姫奈は、彼女のもとに押しかけるのであった……
これは里奈がイドとのんびり幸せに暮らしていく、そんな物語。
※ざまぁまで時間かかります。
ファンタジー部門ランキング一位
HOTランキング 一位
総合ランキング一位
ありがとうございます!
ツンデレ王子とヤンデレ執事 (旧 安息を求めた婚約破棄(連載版))
あみにあ
恋愛
公爵家の長女として生まれたシャーロット。
学ぶことが好きで、気が付けば皆の手本となる令嬢へ成長した。
だけど突然妹であるシンシアに嫌われ、そしてなぜか自分を嫌っている第一王子マーティンとの婚約が決まってしまった。
窮屈で居心地の悪い世界で、これが自分のあるべき姿だと言い聞かせるレールにそった人生を歩んでいく。
そんなときある夜会で騎士と出会った。
その騎士との出会いに、新たな想いが芽生え始めるが、彼女に選択できる自由はない。
そして思い悩んだ末、シャーロットが導きだした答えとは……。
表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_)
※以前、短編にて投稿しておりました「安息を求めた婚約破棄」の連載版となります。短編を読んでいない方にもわかるようになっておりますので、ご安心下さい。
結末は短編と違いがございますので、最後まで楽しんで頂ければ幸いです。
※毎日更新、全3部構成 全81話。(2020年3月7日21時完結)
★おまけ投稿中★
※小説家になろう様でも掲載しております。
求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
待鳥園子
恋愛
グレンジャー伯爵令嬢ウェンディは父が友人に裏切られ、社交界デビューを目前にして無一文になってしまった。
父は異国へと一人出稼ぎに行ってしまい、行く宛てのない姉を心配する弟を安心させるために、以前邸で働いていた竜騎士を頼ることに。
彼が働くアレイスター竜騎士団は『恋愛禁止』という厳格な規則があり、そのため若い女性は働いていない。しかし、ウェンディは竜力を持つ貴族の血を引く女性にしかなれないという『子竜守』として特別に採用されることになり……。
子竜守として働くことになった没落貴族令嬢が、不器用だけどとても優しい団長と恋愛禁止な竜騎士団で働くために秘密の契約結婚をすることなってしまう、ほのぼの子竜育てありな可愛い恋物語。
※完結まで毎日更新です。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。