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三章

が、学校見学ですか!?

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 この前一人で出かけて以来、両親やヴォルフス様は私がでかけることに少し協力的になった。みんな少し思うところがあったらしい。
 私はそこまで不便さは感じてなかったので別にいいんですけどね。でもヴォルフス様は私が出掛けやすいように街の警備を見直してくれたらしいので出掛けなかったら逆に申し訳ないような気もする。

 そんな私が今日向かった先は竜舎だ。
 いやだって、街にはつい先日行きましたし、また行くにはちょっとスパンが短すぎますよね?
 街にはもうちょっと時間をおいてからまた行こうと思う。とりあえず今日は子竜ちゃん達と戯れる。

「こんにちは~」
「きゅ!」
「きゅっ」
「きゅきゅっ」

 ひょっこり子竜ズが顔を出す。
 今日もかわいいですね。

 いつものように子竜ズと戯れているとシアラさんがやって来た。その後ろからはヴォルフス様が歩いてきている。二人はなにやら見慣れぬ荷物を持っているようだけど、なんだろう。
 首を傾げているとヴォルフス様が私の前に箱を置いた。

「リア、学校見学に行ってみないか?」
「え?」
「前に少し興味を持ってただろう? 学園長に相談してみたらいつでも来てくれと言われたからちょこっと見学に行ってみないか? 子竜達も連れて」
「「「きゅ!?」」」

 ヴォルフス様の言葉に子竜達がほんと!? と嬉しそうな反応をした。

「いいんですか?」
「ああ、もちろん」
「ヴォルフス様もついて来てくれますか?」

 ヴォルフス様が一緒に行ってくれないと不安だ。街に行くのとでは訳が違う。
 私がそう言うと、ヴォルフス様は蕩けるような笑みを浮かべた。

「もちろん。是非お供させてくれ。さて、そうと決まれば着替えないとな」
「着替え?」
「ああ、せっかく学校に行くのなら制服を着ないとな」

 そう言って笑ったヴォルフス様が箱を開くと、そこには制服や靴一式が揃っていた。サイズが明らかに小さく、完全に私サイズだ。
 もしかして、このためだけに用意してくれたんだろうか。
 見上げると、ヴォルフス様はなんてことないようにニコリと笑った。




 せっかくの厚意を無下にするのもなんなので、早速制服に着替えてみた。
 サイズはピッタリだし生地もすごくしっかりしている。
 これはブレザーという制服らしく、紫を基調としたチェックのスカートが可愛らしい。

「シアラさんどうです?」

 シアラさんの前でくるりと回って制服を見せる。

「とっっっってもかわいいです! 早速陛下に見せに行きましょう!!」

 シアラさんにグイグイと背中を押され、私が着替えるのを待ってくれているヴォルフス様のところへと向かう。


「ヴォルフス様、どうですか?」
「かわいい!! リアかわいいなぁ!!」

 ヴォルフス様が私を高い高いし、その場でクルクル回る。

「かわいすぎる!!」
「えへへ。あ、子竜達も準備ができたみたいですよ?」
「子竜達?」

 ヴォルフス様がきょとんとして私が指さした方へ顔を向ける。

「!!!」
「きゅ」
「きゅる」
「きゅるるる~」

 ヴォルフス様の視線の先には、ネクタイとリボンを首に付けた子竜達。リューンとノヴァはネクタイでカノンがリボンだ。
 ヴォルフス様が知らなかったところを見るに、このネクタイとリボンはシアラさんがこっそり準備したのだろう。
 
 ヴォルフス様が私を地面に下ろす。

「リア、ちょっとそこに座ってみてくれ」
「はい」

 指示通りにクッションベッドへ腰かける。
 すると、ヴォルフス様が三頭を持ち、私の両隣にカノンとノヴァを、私の膝の上にリュズを乗せた。そして一つ頷くとヴォルフス様はクッションベッドから離れていく。

「見ろシアラ、この世のかわいいが全部集まってる。これは絵に残さなければ嘘だろう」
「まったく同意ですけれど、今それをやると学園を見学する時間がなくなりますよ? この光景を絵に残すのは本当に大賛成ですけど後日にしたらいかがでしょうか」

 ヴォルフス様とシアラさんが視線をこちらに固定したまま何やら話をしている。なんだか不思議な光景ですね。だって二人で話しているのにちっともお互いを見ないんですもん。二人ともひたすらこちらを見ている。
 あまりにもずっと見つめられるのが気まずいので膝上のリューンの手を取り、二人に向けて振ってみた。
 瞬間、二人が悶えだす。

 その反応が面白かったのか、ノヴァとカノンも進んで二人に手を振り始めた。すると当然、二人はさらに悶える。



 結局、私達が学園に向けて出発できたのはそれから三十分後のことだった。




 











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