生贄令嬢は怠惰に生きる~小動物好き竜王陛下に日々愛でられてます~

雪野ゆきの

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二章

子竜まみれのルフス様

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 畑を作り終わった後、私達子竜組は一旦ミルクタイムを挟み、その後お昼寝に入った。
 自然と一か所になって竜団子状態になる私達。安心感が半端じゃないです。
 お団子になってすぴょすぴょと眠る私達を見て大人組は悶えていたとか。

 どのくらい寝てたかは分からないけど、起きたらリューンの尻尾を枕にしていて、ノヴァの尻尾がお腹に乗っていた。道理で寝心地がよかったわけです。
 くぁ~とあくびをして起き上がる。すると周りの子竜達も続々と起き上がってきた。

「きゅ~」

 カノンが短い手足を伸ばして毛伸びをし、ポテッと後ろに倒れた。ノヴァとリューンはまだ寝ぼけている。

「きゅ?」

 急に後ろから手を脇に差し込まれて抱き上げられた。

「お、あったかい」
「きゅっ(ルフス様)」

 私を抱き上げたのはルフス様だった。温もりを感じるように頬をスリスリしてくる。

「きゅ~?」
「ん?」

 鳴き声がして下を見れば、ルフス様のズボンの裾をリューンが掴んでいた。小さいおててでクイクイッとズボンの裾を引っ張っている。
 上目遣いのリューンを見てデロンとルフス様の表情が蕩けた。ルフス様がしゃがむ。

「どうしたんだリューン?」
「きゅ!」

 よじよじとルフス様によじ登ってくるリューン。そんなリューンに触発されたのか、ノヴァとカノンもポテポテと歩いてきてルフス様によじ登り始めた。

「? どうしたんだ?」

 疑問符を浮かべつつも頬を緩めるルフス様。
 リューンは自力でよじ登ってルフス様の腕の中に納まった。そして満足そうに眼を瞑る。

「ぷぅ」

 おお、聞いたことのない鳴き声が出ました。ルフス様が悶える。
 私とリューンが抱かれている腕の中に、追加でノヴァとカノンが入ってこようとする。

「おお……っ!」
「きゅっ」

 ついにノヴァとカノンもルフス様の腕の中に入ってきた。みっちみちです。

「ははは、みんなかわいいなぁ」

 いくら一頭一頭は軽い子竜でも四頭集まったら結構重いと思うんですけど、ルフス様は軽々と抱っこしてくれている。腕力がすごいです。安定感もありますし。
 ルフス様は私達四頭をゆっさゆっさと上下に揺さぶる。

「きゅ?」
「きゅ~!」
「きゅっ」
「きゅきゅっ!」

 これ、楽しいです。

「お? みんな大喜びだな」

 はしゃぐ私達に応えて、ルフス様がさらに私達を揺すってくれた。


***


 散々ルフス様に遊んでもらった後、三頭の子竜達はそれぞれの母竜に連れられて竜舎に帰って行った。

 私も一旦人型になる。すると、子竜の時には感じなかった恥ずかしさが一気にやってきた。手で覆って赤味を帯びた頬を隠す。

「あんな、赤ちゃんみたいにはしゃぐなんて……」
「かわいかったぞ。リアは人型の時は遠慮して甘えてくれないから、子竜の時くらいは存分に甘えておけばいいんだ」

 子竜に対するのと同じように甘いルフス様。
 いたたまれなくて、私はまだ竜姿でいたお母さんの懐に隠れた。




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