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一章

番外編 子竜にうっとり

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「はぁ……かわいい……かわいいなぁ……」

 ルフス様は膝の上に乗せた私をうっとりと見つめている。

「きゅ!」

 真っ白い子竜になっている私はちょっと居心地が悪いので両手で自分の尻尾を抱きしめる。
 今私に熱い視線を向けているのはルフス様だけじゃない。周囲には私を囲むようにハルトさんを筆頭とした学者さん達がいるのだ。
 本能がこの人達は危険じゃないって告げているけど、それでも落ち着かないです。
 自分の尻尾をぎゅむぎゅむしていると、周りの人々がさらにざわついた。

「リア!その仕草はかわい過ぎるぞ!!」

 尻尾をぎゅむぎゅむしてたらルフス様にぎゅむぎゅむっと抱きしめられました。

「ちょっと陛下!それじゃあ姫様のスケッチができないよ!!」
「きゅっ!?」
「ああすまん」

 スケッチ!?なんか書いてるなと思ったら、私スケッチされてたんですか!?
 自分の姿を描かれていると思ったらさらに居心地が悪くなってきた。

「きゅぅぅぅぅぅぅ~……」

 子竜の姿で感情が抑えづらくなっている私は両手でルフス様にしがみつく。私の尻尾はその感情を表すように自然と機嫌悪そうに振られている。こうなると制御できないんです。

「はぁ~リアかわいいかわいい」

 機嫌悪めの私のなにがいいのか、ルフス様は私の頭頂部に頬を擦り付けてくる。
 尻尾でばっしばっしとルフス様の太ももを叩いていると、呑気な声が割り込んできた。

「は~い、そろそろリアが限界そうだから一旦中断するわよ~」
「きゅっ」

 竜人の壁をかき分けてきた人型のお母さんが後ろから私を抱き上げた。ふわりと腕の絶妙なポジションに私を納めてくれる。

「よしよし、よくがんばったわねぇ」
「きゅ~!!」

 頭を撫でて褒めてくれるお母さんに、自然と甘えた鳴き声が出る。
 お母さんは本当に些細なことでも私を褒めてくれるんです。今だって私は居心地の悪さに我慢できず態度に出してしまったのに、よくがんばったと私を褒めてくれた。
 今まで会えてなかった分、お母さんは全力で私を甘やかしてくれる。お父さんもですど。

 お母さんが私を抱っこして歩いて行った先には子竜まみれになったお父さんがいた。お父さんは目尻を下げて子竜達を撫でている。

「ほんとにあなたは竜タラシねぇ。でもあんまり他の子ばかり可愛がってるとリアが嫉妬しちゃうわよ?」
「ごめんごめん。ほら、リアもおいで」
「きゅ!(はい!)」

 お母さんがお父さんのお膝に私を置こうとすると、お父さんの膝にいたリューンは自然と私の座るスペースを空けてくれた。子竜姿の私はリューンよりも小さいのでリューンは兄貴風を吹かせているのだ。

「きゅ!(おれもなでてやる!)」
「きゅ~」

 リューンが小さな手で私の頭を撫でてくれる。なんだか不思議な気分です。
 ついこの前までは私がリューンにミルクをあげてたんですよ!

「きゅ!」
「きゅ~?」

 私も片方の手でリューンの頭を撫でると、リューンは疑問そうに鳴いた。
 そのまま私達はお互いに頭を撫で合う。

「「「「グッ!!!」」」」
「「きゅ?」」

 頭上から複数のうめき声みたいなものが聞こえました。なんでしょう。
 顔を上げたら、ルフス様含めみんながこちらを見ていた。

「きゅ?」
「「「かわいいいいいいいい!!!」」」

 かわいいの大合唱と同時にお父さんにリューンごとぎゅ~っと抱きしめられる。

「きゅ!」

 ちょっと苦しいけど、とっても嬉しいです。










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