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二章
三人での暮らし
しおりを挟む一連の問題が片付き、人国から竜王国に帰ってきてすぐ、私達家族は三人でこの国に住むことにした。だけど、いざ住もうとなると一つ問題が生じる。
子竜姿の私を抱き上げたお母さんが眉尻を下げた。
「でも、どうしようかしら。私達誰もお金を持ってないわ」
そう、私達は誰もお金を持っていなかったのだ。私は無一文でこの国に来たし、両親の財産も叔父によって大分食い尽くされていた。
きゅ~、と情けない鳴き声を上げる私を抱っこしたお母さんが頬に手を当てて言う。
「あとは私が独身時代に住んでいた洞窟しかないわね。私とリアは竜の姿をとれるから比較的快適に過ごせるけど……」
「俺は洞窟でも全然大丈夫だ。家族と暮らせるだけで嬉しいからな」
そう言ってお父さんは私とお母さんを抱きしめた。
「ちょーっと待ったああああああああああ!!!」
「「「?」」」
早速荷物を纏めようかという雰囲気になった所で、ハルトさんが乱入してきた。
「あらハルトさんどうしたの?」
「ナチュラルに出ていこうとしないでよ!家なんていくらでも建てるから側にいて!!」
あまりにも必死なハルトさんに私達一家は疑問符を浮かべざるを得ない。
「なにもこれでお別れじゃなくて、またお礼も兼ねて会いに来るわよ? ……あ! もしかしてハルト君はリアが好きだから側にいてほしいのかしら。でもリアには陛下がいるし……」
「いや! 冗談でもそんな陛下に殺されるようなこと言わないで!!むしろ僕が興味あるのはオリビアさんの方だから!!」
「は?オリビアは俺の妻なんだが」
お父さんの背後にズモモモモというオーラが見えます。お父さんはお母さんを溺愛してますからね。
お父さんに睨まれたハルトさんは一瞬ビクンとした後、慌てて弁明をし出した。
「いやいやいや、興味てそういう意味じゃないから!研究対象って意味の興味だから!」
「俺の妻を研究対象だと?」
「う~っ! そうだけどそうじゃないよ!」
ハルトさん墓穴しか掘りませんね。誤解を生む表現しかしてませんよ。
「きゅきゅきゅっ(ハルトさんおちついてください)」
「姫様……言葉は分からないけど多分優しい言葉をかけてくれてるのは分かるよ」
「きゅ!」
伝わってなによりです!
「ええと、研究と言っても聖竜であるオリビアさんや姫様の観察とか、インタビューをさせてほしいだけなんだよ。もちろんプライベートとかには干渉しないし、非人道的なこともしないから。その代わりに家はこっちで建てさせてもらうし、協力してもらった分だけお礼金として対価を払わせてもらうから!!」
「……」
私達家族は顔を見合わせた。
最初に口を開いたのはお父さんだ。
「まあくれるって言うんならもらっとくか」
「そうねぇ。お城に近い方がエルゼリアちゃんにも会いやすいでしょうし。リアはどう思う?」
「きゅ! (賛成です!)」
家をぽんっともらうのはやっぱりちょっと気が引けますが、頑張って研究に協力することで恩返ししようと思います。 それに、ルフス様やエルゼリアが気軽に遊びに来れる場所に住めた方が嬉しいですしね。
こうして、私達家族はマイハウスを手に入れた。
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