花の色は無味無臭

和田亜那留

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その日、私は友人の誕生日プレゼントを買うために街に出かけた。彼女は花が好きなので、花屋に立ち寄って何か良いものを見つけようと思っていた。店に入ると、様々な色とりどりの花が並んでいて、目移りしてしまった。しかし、その中で私の目を引いたのは一本の花だった。それは無味無臭の花「ミナミムシュクシュ」だ。

その花は地味な色合いであり、他の花と比べると華やかさには欠けていたが、何となく引き寄せられるような魅力があった。私はその花を手に取り、店員に尋ねた。「この花は何ですか?」

店員は微笑みながら、「これは『ミナミムシュクシュ』という名前の花です。その名の通り、無味無臭の花です。しかし、その代わりに心を癒す効果があると言われています。」

私はその花についての詳細を聞き、友人にプレゼントすることを決めた。心を癒す効果があるというのは、友人がストレスを抱えていることを考えるとぴったりだったからだ。

誕生日当日、私は友人に「ミナミムシュクシュ」をプレゼントした。彼女はその花を見て感激し、「こんな地味な花がこんなに美しいとは思わなかったわ。ありがとう。」と言ってくれた。

それからしばらくして、友人から手紙が届いた。手紙には「ミナミムシュクシュ」を飾ってから心が落ち着いたと書かれていた。友人は忙しい日々の中で、その花を見るたびに心が癒やされたと綴っていた。

それを読んで、私も嬉しくなった。プレゼントが喜んでもらえたこと、そしてその花が友人の心を癒やしてくれていることが嬉しかった。地味ながらも、その花には大きな力があるのだと実感した。

今でも、友人宅には「ミナミムシュクシュ」が飾られている。そして、私たちの友情が花開いたように、その花もまた心をつなげてくれているような気がするのだ。
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