花の色は無味無臭

花の色は無味無臭

ある日、町の中心にある花屋さんに変わった花が並べられていた。

「皆さん、今日は新しい花を取り扱いました!これがその花です。」

店主が示したのは、見たこともないような奇妙な色の花だった。その花はまるで透明なようで、見る角度によっては頼りなく浮かんでいるようにも見える。その花の株の横には大きな看板が掲げられていた。

「新感覚の花!無味無臭!」

「これが、新感覚の花、”ミナミムシュクシュ”です!」

「なんだその名前?よくわからないな。」
お客さんはそう言いつつも立ち止まる。

「まぁまぁ、名前なんてどうでもいいじゃないですか。大事なのはその見た目と香りです。」

「でも、無味無臭って…」

「まさにその通り!この花は見た目も香りも何もない、まさに無味無臭なんです!」

「なるほど…でもそれってどうやって育てるの?」

「それは…えっと…普通の花を育てるのとはちょっと違うかもしれないですね。」

「それじゃあ、水や肥料を与える必要がないんですか?」

「そうなんです!全く与える必要がないんです!」

「なるほど…でも、それって家で飾ってもしょうがないじゃないですか。」

「そ、そうなんですね…でも、それがこの花の特徴なんです!」

「特徴って…まさか価格が高いんじゃないでしょうね?」

「その通り!この花は他の花とは違い、特別価格で販売されています!」

「特別価格…それっていくらくらいですか?」

「それは…一万円です!」

「一万円!?まさか冗談でしょう?」

「冗談じゃないんです!この花は他の花とは違って、特別なんです!」

「うーん…でも無味無臭の花に一万円って…」

「理解できないかもしれませんが、これは新感覚の花なんです!」

「まあ、花屋さんも一つぐらい変わった花を取り扱うのもいいかもしれませんね。」

「そうですね!ぜひ、皆さんにこの新感覚の花、”ミナミムシュクシュ”をお試しいただきたいんです!」

「うーん…ちょっと考えてから決めますね。」

その日から、街の人々は不思議な花、”ミナミムシュクシュ”に興味津々だった。果たして、その花は本当に無味無臭なのか?そして、人々は一万円という高価な価格を払ってその花を買うのか?

それは今後のお楽しみだ…
24h.ポイント 0pt
0
小説 193,858 位 / 193,858件 キャラ文芸 4,413 位 / 4,413件

あなたにおすすめの小説

国民的アイドルを目指していた私にとって社交界でトップを取るなんてチョロすぎる件

にわ冬莉
キャラ文芸
駆け出しのアイドルグループ「マーメイドテイル」のメンバーだった私、水城乃亜(みずきのあ)は、ある日、誰かにナイフで刺された。 目が覚めると知らない世界で、婚約破棄をされたばかりのリーシャ・エイデルという伯爵令嬢に転生していたのだった。 婚約破棄を申し出たアルフレッドは、妹のアイリーンとの結婚を望んでいるようだが、そんなのどうでもいい。 とにかくダンスを! 歌を! 大人しいリーシャを執拗に追い詰めるアイリーン。 だけど私、やられっぱなしで黙っていられるタイプじゃないの! 正々堂々、受けて立つわ! いつしか周りを巻き込んで、リーシャ(乃亜)は道を切り開く!

紹嘉後宮百花譚 鬼神と天女の花の庭

響 蒼華
キャラ文芸
 始まりの皇帝が四人の天仙の助力を得て開いたとされる、その威光は遍く大陸を照らすと言われる紹嘉帝国。  当代の皇帝は血も涙もない、冷酷非情な『鬼神』と畏怖されていた。  ある時、辺境の小国である瑞の王女が後宮に妃嬪として迎えられた。  しかし、麗しき天女と称される王女に突きつけられたのは、寵愛は期待するなという拒絶の言葉。  人々が騒めく中、王女は心の中でこう思っていた――ああ、よかった、と……。  鬼神と恐れられた皇帝と、天女と讃えられた妃嬪が、花の庭で紡ぐ物語。

落ちる恋あれば拾う恋だってある

秋葉なな
恋愛
「今からキスしちゃうかもよ?」 意地悪な笑みを浮かべて私の手を引くこの人からはどうにも逃げられない。 「君を好きでいることもだめなの?あいつに取られる前に強引にでも俺のものにすればよかった」 そんなことを言われたら奥手な私は落ちるしかありません。 恋愛に戸惑う地味OL × イケメン観葉植物リース会社社員

午後の紅茶にくちづけを

TomonorI
キャラ文芸
"…こんな気持ち、間違ってるって分かってる…。…それでもね、私…あなたの事が好きみたい" 政界の重鎮や大御所芸能人、世界をまたにかける大手企業など各界トップクラスの娘が通う超お嬢様学校──聖白百合女学院。 そこには選ばれた生徒しか入部すら認められない秘密の部活が存在する。 昼休みや放課後、お気に入りの紅茶とお菓子を持ち寄り選ばれし7人の少女がガールズトークに花を咲かせることを目的とする──午後の紅茶部。 いつも通りガールズトークの前に紅茶とお菓子の用意をしている時、一人の少女が突然あるゲームを持ちかける。 『今年中に、自分の好きな人に想いを伝えて結ばれること』 恋愛の"れ"の字も知らない花も恥じらう少女達は遊び半分でのっかるも、徐々に真剣に本気の恋愛に取り組んでいく。 女子高生7人(+男子7人)による百合小説、になる予定。 極力全年齢対象を目標に頑張っていきたいけど、もしかしたら…もしかしたら…。 紅茶も恋愛もストレートでなくても美味しいものよ。

憑拠ユウレイ

音音てすぃ
キャラ文芸
ーーー憑拠ユウレイーーー 「音希田君、あなたが最後の一人なんですよ!」 その一言から僕は新聞部(オカルト研)に入ることになった。 部員に振り回されながらも不思議な体験をする主人公、音希田 廻(おときた まわる)の一年間の物語。 ーーー 涼味エイプリル ーーー まだ涼しい四月。奇妙な噂と奇抜な手紙。 この物語が僕の高校生活の全ての基盤となる。 ちょっと短い物語。 ーーー 殺人チェーンソー ーーー 僕も高校生になり、五月になりました。 涼しい四月はどこへ行ったのだろう。 葛城が連れてきたある人物により、僕は事件に巻き込まれる。 ちょっと残念な友情の物語。 ーーー 体育リバース ーーー 六月となり体育大会がはじまる。 そんな中、葛城から語られる不思議な話。 忘れられた人達のちょっと悲しい物語。 ーーー 爪痕アクター ーーー 初めての長期休暇、夏休みが始まった。 七月末まで僕はパシリ。 現代が引き起こす脅威とは。 ちょっと血なまぐさい物語。 ーーー 花火コンテニュー ーーー ある日、巡に誘われた花火大会。 僕が忘れていた中学の後輩と過ごす奇妙な時間。 ちょっと綺麗な物語。 ーーー 秋空メモリー ーーー 高校生活初めての文化祭。 しなければいけないことと、したいことが多すぎて、困ってしまう。 そんな中で起こる 不思議なこととは。 ちょっと寂しい物語。 ーーー忘却ゴーストーーー 十一月になり誕生日を祝ってもらえず、いじけて外に散歩に出かけた廻君。 そこで出会う足を失った少女。 ちょっとやるせない物語。 ーーー憑拠リスタートーーー 十二月、まだ雪は降らない。 僕以外の家族は揃ってお出かけ。 そんな中起こる黒幕との最終戦。 ちょっと死ぬ物語。 ーーー自分コメントーーー 初めての小説です。楽しんで書いています。 タイトルに「ユウレイ」とありますが、ホラー要素は四割ほどです。 日常を少しオカルト風にアレンジしたような作品にしようと頑張っています! 少し暴力シーンがあります。そこらへん気を付けてください。 注意!転生もしません。異世界もあんまりありません。 各章終わり方がスッキリしないと思いますが、それもこのお話の特徴だと思っていただきたいです。 物語は、全てを通してフィクション?です。

Comet has passed

縹船シジマニア
キャラ文芸
かつて、ここ橋武から南西に約50キロメートル離れたところに、中羽という妖と人が共存した集落があった……。 あの日までは……。 「速報です。集落に彗星が落ちました。今日午後十一時過ぎ、浦山県鴨雪市中羽にタメヌニアン彗星が落ちました。死者百数十名、妖怪学の権威、湧石一樹博士が含まれて……」 あれから、八年。 これは少女達の日常、よく遊び、時に争い、たまに敵に立ち向かう。 やがて、それは彗星の謎へと繋がる。 少女達と彗星の軌跡を、歩め! カクヨムで既に連載していて、小説家になろうでは11月中旬頃連載を開始します。

声劇台本置き場

ツムギ
キャラ文芸
望本(もちもと)ツムギが作成したフリーの声劇台本を投稿する場所になります。使用報告は要りませんが、使用の際には、作者の名前を出して頂けたら嬉しいです。 台本は人数ごとで分けました。比率は男:女の順で記載しています。キャラクターの性別を変更しなければ、演じる方の声は男女問いません。詳細は本編内の上部に記載しており、登場人物、上演時間、あらすじなどを記載してあります。 詳しい注意事項に付きましては、【ご利用の際について】を一読して頂ければと思います。(書いてる内容は正直変わりません)

【完結】王太子妃の初恋

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
カテリーナは王太子妃。しかし、政略のための結婚でアレクサンドル王太子からは嫌われている。 王太子が側妃を娶ったため、カテリーナはお役御免とばかりに王宮の外れにある森の中の宮殿に追いやられてしまう。 しかし、カテリーナはちょうど良かったと思っていた。婚約者時代からの激務で目が悪くなっていて、これ以上は公務も社交も難しいと考えていたからだ。 そんなカテリーナが湖畔で一人の男に出会い、恋をするまでとその後。 ★ざまぁはありません。 全話予約投稿済。 携帯投稿のため誤字脱字多くて申し訳ありません。 報告ありがとうございます。

処理中です...