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終.そこにあった幸せ

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太郎はまだ行方が分からない。
夕日が差している。翔はずっとくだらないことを話している。明日の晩御飯を予想したり、鳥の中で1番羽が汚いのはなんの鳥かとか。
私の頬に涙が流れた。
「どうしたの?大丈夫?」翔の優しさが今は辛い。
もしも昨日に戻れたなら。昨日、太郎とたくさん話をしておけば良かった。くだらない話を翔と太郎と一緒にしてたくさん笑って。こうなるってわかってたら・・・
「また明日、一緒に太郎を探そう?今日はもう遅いから。ね?」
「翔。ごめん。」そう言って私は太郎の居そうなところに走り出した。
一緒に登った山。野良猫を始めて撫でた公園。みんなで釣りをした川。太郎を最後に見た坂。
探し回ったが見つからなかった。
その時私に一通のメールが届いた。
「始めてあったあの場所で」
これが太郎である保証はない。誰かの迷惑メールかもしれない。でも私はあの場所を予想し走った。途中で転んでしまった。でも走った。
洗濯物の近くにいた。そこは正真正銘始めてあった場所だった。
「久しぶり。」太郎は笑っていた。
「ふざけないで。どれだけ心配したかわかってるの?!」泣きながら叫ぶから声も全然出てこない。
「ごめん。」
その時私は太郎に抱きついた。
「私のところにいて。もういなくならないで。」
「わかった。」私には太郎の笑顔が眩しくて直視することが出来なかった。

太郎は今を懸命に生きていた。
翔は明日に進むために努力をしていた。
すぐそこにあった幸せを私は見つけた。
この物語は私と太郎と翔の物語。
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