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第七章「普遍的な日常こそ幸せ」
第35話 誰にも言えない性癖【R−15】
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「………やっちまった」
部屋に着いて購入したものを並べて、俺は未だかつてない後悔に襲われていた。
いくら冷静さを失っていたとはいえ、これはやり過ぎだ。こんなアダルトグッズを大量に購入して、一体どうするというのだろう?
「せっかくだから私、着ようか?」
「着なくていい! いや、これは単に勢いというか、その」
そう、偶然彼女の元カレと再会したり、突然ラブホに誘われたりしたせいだ。冷静さも失うのも仕方ない。
それにしても、何て性癖が溢れたラインナップだろう。
ブレザーの女子校生制服。ナース服、某アイドルグを沸騰させる衣装。そして卑猥に振動する大人のオモチャ達。
いくらお酒が入っていたとはいえ、これは救いようがない。
「箱に入れて封印しよう。これは俺の黒歴史だ」
「え、え? そんな……! わ、私も少し興味があるんだけど」
——え? 興味が?
もしかしてコスプレ? それとも大人のオモチャ? 何にしても興味を持たれても困る。
特にこの、大きく聳えるコレはオモチャと言えど嫉妬を覚える。それならなぜ買ったのだと言われるかもしれないが、完全に勢いだった。
だが自分のよりもコレがいいと言われた暁には、鬱になって死にたくなる未来が容易く予想される。
「流石に壱嵩さんが嫌がることは私もしたくないけど、でも……興味があったから買ったんだよね? 私、壱嵩さんがしたいことがしたい」
「俺がしたいこと?」
いや、俺は普通でいいんだけど?
今のままで十分満足しているし、頑張っているとすら思っていたのに、彼女は不満だったのだろうか?
「ち、違うの! その、私も飽きられたくないから! 壱嵩さんの好みを知っておきたくて」
「え? 俺の好み? 待って、イマイチ明日花さんが言っている意味が分からないんだけど」
うまく伝わらず、苛立ちが募る彼女。
この状況、元カノの時もあった気がする。デジャブだろうか?
「壱嵩さんって真面目で良い人だけど、こういうところが融通が利かないのが嫌」
痺れを切らしたように、彼女は俺をベッドに押し倒して跨って、そのまま激しく舌で唇を舐めた。耳回りの髪を掻き上げられ、そのまま塞がれて、音が遮断されてしまった。
もう、目の前の彼女のことしか目に入らない。
「壱嵩さんも気付いていると思うけど、私って普通の人よりも性欲が旺盛なんだと思う。それに、家事や料理が上手いわけじゃないし、特別に頭も良くないし、面白いわけじゃないし……。こういうことでしか壱嵩さんに尽くすことができないから」
「いや、待って。そんなことないから。明日花さんは十分、魅力的で」
彼女の良いところは沢山知っている。だから行為でしか尽くせないなんて言わないで欲しい。
なのに明日花さんは不満そうに頬を膨らませて、そのまま首筋に顔を埋めて強めに吸って痕を残していった。
「——それは建前。私、もっと壱嵩さんとエッチなことをしたいの。そんな、全部言わせないで……?」
恥ずかしそうに顔を隠して、必死に抗う仕草が可愛過ぎる。
もう、不満とかそんなのどうでもいい。
明日花さんに嫌われないようにする為には、薄っぺらいプライドなんて捨てるしかない。
「ちなみに明日花さんはどんなことを……?」
流石にマニアックなことは出来ないが、少しでも彼女の要望に応えられるように努力したい。やっと崩れ出した防壁に、彼女はそそくさとスマホを取り出して「こんな感じのことをしてみたいです」と教えてくれた。
それはR-18の同人マンガ。付き合いたてのカップルの濃厚な絡みが激しい内容だった。
——というよりも、こういうエッチな漫画を読むのかと新たな一面を知って興奮が抑えられなかった。同棲を始めて半年以上経つのに、いつ見ているんだろう?
「明日花さん、こういうのが好きなんだ」
身体を起こして、彼女を後ろから抱きしめるような形にして一緒にスマホ画面を見ていた。
提案の為とはいえ、自らの性癖を曝け出してしまった明日花さんは、恥ずかしそうに顔を背けながら必死に羞恥心と戦っていた。
「結構、俺達がしてるエッチに似てる気がするけど?」
「そ、そうなんだけど……その、私……もっと色んなところを触ってもらいたくて」
百聞は一見にしかずだろう。持っていたスマホを彼女に渡して、そのまま胸元を弄って服の中へと指を忍ばせた。
「い、壱嵩さ……っ!」
「シィ……、このマンガと同じことをしよっか」
そう言って、俺は彼女の唇に指を添えて咥えさせた。
——— 自主規制 ———
「んン……っ、壱嵩さん、もう無理」
完全に攻め切った俺達は、真冬にも関わらず汗だくで交わり合った。
それにしてもオモチャ、すご過ぎる。初めて使ったけれど、あんなにビクビクするものだとは思わなかった。
でも悪くない——むしろ新しい性癖の扉が開かれた気さえした。
「ズルい……、私ばかりこんな。今度は壱嵩さんの好きなのを教えてね?」
「いや、俺の場合は……明日花さんを気持ち良くさせれれば、それでいいというか」
「ダメ。それじゃ、今度は壱嵩さんが好きそうな漫画を一緒に探そ?」
いやいやいや、性癖バレることほど恥ずかしいことはないんだけど?
だが、結局彼女の押しに負けて、一緒にエロ動画を漁ることになったのは後日——……。
———……★
「イチャラブ、最高w」
部屋に着いて購入したものを並べて、俺は未だかつてない後悔に襲われていた。
いくら冷静さを失っていたとはいえ、これはやり過ぎだ。こんなアダルトグッズを大量に購入して、一体どうするというのだろう?
「せっかくだから私、着ようか?」
「着なくていい! いや、これは単に勢いというか、その」
そう、偶然彼女の元カレと再会したり、突然ラブホに誘われたりしたせいだ。冷静さも失うのも仕方ない。
それにしても、何て性癖が溢れたラインナップだろう。
ブレザーの女子校生制服。ナース服、某アイドルグを沸騰させる衣装。そして卑猥に振動する大人のオモチャ達。
いくらお酒が入っていたとはいえ、これは救いようがない。
「箱に入れて封印しよう。これは俺の黒歴史だ」
「え、え? そんな……! わ、私も少し興味があるんだけど」
——え? 興味が?
もしかしてコスプレ? それとも大人のオモチャ? 何にしても興味を持たれても困る。
特にこの、大きく聳えるコレはオモチャと言えど嫉妬を覚える。それならなぜ買ったのだと言われるかもしれないが、完全に勢いだった。
だが自分のよりもコレがいいと言われた暁には、鬱になって死にたくなる未来が容易く予想される。
「流石に壱嵩さんが嫌がることは私もしたくないけど、でも……興味があったから買ったんだよね? 私、壱嵩さんがしたいことがしたい」
「俺がしたいこと?」
いや、俺は普通でいいんだけど?
今のままで十分満足しているし、頑張っているとすら思っていたのに、彼女は不満だったのだろうか?
「ち、違うの! その、私も飽きられたくないから! 壱嵩さんの好みを知っておきたくて」
「え? 俺の好み? 待って、イマイチ明日花さんが言っている意味が分からないんだけど」
うまく伝わらず、苛立ちが募る彼女。
この状況、元カノの時もあった気がする。デジャブだろうか?
「壱嵩さんって真面目で良い人だけど、こういうところが融通が利かないのが嫌」
痺れを切らしたように、彼女は俺をベッドに押し倒して跨って、そのまま激しく舌で唇を舐めた。耳回りの髪を掻き上げられ、そのまま塞がれて、音が遮断されてしまった。
もう、目の前の彼女のことしか目に入らない。
「壱嵩さんも気付いていると思うけど、私って普通の人よりも性欲が旺盛なんだと思う。それに、家事や料理が上手いわけじゃないし、特別に頭も良くないし、面白いわけじゃないし……。こういうことでしか壱嵩さんに尽くすことができないから」
「いや、待って。そんなことないから。明日花さんは十分、魅力的で」
彼女の良いところは沢山知っている。だから行為でしか尽くせないなんて言わないで欲しい。
なのに明日花さんは不満そうに頬を膨らませて、そのまま首筋に顔を埋めて強めに吸って痕を残していった。
「——それは建前。私、もっと壱嵩さんとエッチなことをしたいの。そんな、全部言わせないで……?」
恥ずかしそうに顔を隠して、必死に抗う仕草が可愛過ぎる。
もう、不満とかそんなのどうでもいい。
明日花さんに嫌われないようにする為には、薄っぺらいプライドなんて捨てるしかない。
「ちなみに明日花さんはどんなことを……?」
流石にマニアックなことは出来ないが、少しでも彼女の要望に応えられるように努力したい。やっと崩れ出した防壁に、彼女はそそくさとスマホを取り出して「こんな感じのことをしてみたいです」と教えてくれた。
それはR-18の同人マンガ。付き合いたてのカップルの濃厚な絡みが激しい内容だった。
——というよりも、こういうエッチな漫画を読むのかと新たな一面を知って興奮が抑えられなかった。同棲を始めて半年以上経つのに、いつ見ているんだろう?
「明日花さん、こういうのが好きなんだ」
身体を起こして、彼女を後ろから抱きしめるような形にして一緒にスマホ画面を見ていた。
提案の為とはいえ、自らの性癖を曝け出してしまった明日花さんは、恥ずかしそうに顔を背けながら必死に羞恥心と戦っていた。
「結構、俺達がしてるエッチに似てる気がするけど?」
「そ、そうなんだけど……その、私……もっと色んなところを触ってもらいたくて」
百聞は一見にしかずだろう。持っていたスマホを彼女に渡して、そのまま胸元を弄って服の中へと指を忍ばせた。
「い、壱嵩さ……っ!」
「シィ……、このマンガと同じことをしよっか」
そう言って、俺は彼女の唇に指を添えて咥えさせた。
——— 自主規制 ———
「んン……っ、壱嵩さん、もう無理」
完全に攻め切った俺達は、真冬にも関わらず汗だくで交わり合った。
それにしてもオモチャ、すご過ぎる。初めて使ったけれど、あんなにビクビクするものだとは思わなかった。
でも悪くない——むしろ新しい性癖の扉が開かれた気さえした。
「ズルい……、私ばかりこんな。今度は壱嵩さんの好きなのを教えてね?」
「いや、俺の場合は……明日花さんを気持ち良くさせれれば、それでいいというか」
「ダメ。それじゃ、今度は壱嵩さんが好きそうな漫画を一緒に探そ?」
いやいやいや、性癖バレることほど恥ずかしいことはないんだけど?
だが、結局彼女の押しに負けて、一緒にエロ動画を漁ることになったのは後日——……。
———……★
「イチャラブ、最高w」
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