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第六章「お母さんとの約束」
第30話 甘いだけの時間【R−15】
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壱嵩side……
明日花さんの家族との挨拶も済ませ、本格的な同棲をスタートした俺達は、ベッドの上で正座をして向かい合っていた。
「あの、不束者ですがよろしくお願いいたします」
「こちらこそ……! 改めてよろしくお願いします」
互いに恥ずかしがりながら笑い合って、はにかむ表情が可愛くて口元が緩んでしまう。毎度のことだが、この瞬間が幸せで生きていて良かったと神様に感謝したくなる。
「壱嵩さん、明日は休みだよね? もし良かったら今日はたくさんキスをしてもいいかな?」
明日花さんはモジモジと身体をクネらせて、上目で覗き込んできた。こんなに可愛くねだられて、断る奴がいたらツラを拝んでみたい。
ベッドの上で跨るように乗って、とても魅惑的な体勢だ。彼女のシャンプーの匂いが鼻腔を刺激する。色素の薄い唇が口角にそっと触れた。
この俺にだけ甘える仕草が堪らない。
「キスだけでいい? 他にご要望は?」
「とりあえずはキスだけで……。あとは後々」
と、言いつつも、パジャマからのぞいて見える胸の谷間につい視線がいってしまう。
その柔肌に顔を埋めたくなるし、下半身は下半身で、この密着具合はおそらく確信犯だ。
だが、このあざとさ嫌いじゃない。
むしろ好きだ。
彼女の首筋、頸の辺りにキスを落として、続いて耳たぶのあたりを甘噛みする。猫のように鳴いた声に身体が熱を帯びる。
「エッチって、すればするほどマンネリして飽きるものなのかな? それともどんどん好きになるのかな?」
「人によって様々じゃないかな? 俺はこんなにたくさん肌を重ねたのは明日花さんだけだけど、もっとしたくなるよ」
「私も元々飽きっぽい性格なのに、壱嵩さんのことはもっともっと好きになっちゃう」
チュッチュと小鳥がついばむように何度もキスを重ねて、次第に濃厚なキスへと変えていった。擦り寄ってくる身体の誘惑にも勝てるわけもなく、裾に手を忍ばせて膨らみに重ねた。
「ンっ、んン……ッ」
焦らすように大きく掴んで、そのまま——……
——— 自主規制 ———
——眼福だった。やっぱり色っぽく悶える彼女は可愛くて、つい苛めたくなってしまう。
「あのね、ちょっと気になっていたことがあるんだけど聞いてもいいかな?」
肩の付け根に頭を乗せて、身体を寄り添えて横になった明日花さんが尋ねてきた。そんな彼女の額に唇を当てながら、愛しく後頭部を撫でる。
情事の後の余韻もなかなか悪くないと思えるのも、きっと相手が彼女だからなのだろう。
「何? どうした?」
「——うん、あのね漫画を見て不思議に思ったんだけど……男の人って一晩で何回くらいデキるの?」
——ん?
おっと、聞き間違いだろうか?
「だって、最近見た漫画で一晩で何回もヤッてるのをみたから、もしかして壱嵩さんも我慢してるのかなと思って」
「いや、俺は全然我慢なんて! 一晩で何回もって、それ余程の絶倫だと思うよ? オナニーでも五、六回が限界だから、エッチとなると体力が持たないし」
ヤリたい願望と実際にデキる回数は違うんだ。
こうして裸で抱き合って胸を触ってる方が余程気持ちがいいと俺は思う。
「それを言ったら女の人もだよ。何回でもイケるもんなの? イキ地獄とかあるけど」
「え、いや……あんな漫画みたいに何回もイキ続けるとか無理だと思う。人それぞれかもしれないけど、私は三回くらいイッたら疲れてイケなくなるし」
「そう……なんだ」
勘違いしてたかもしれない。
男と違って女性は何度もイケると思っていたけど、言われてみればそうだ。やっぱり漫画の世界と現実を一緒にしたらダメだなと改めて痛感した。
「ゴメン。多分しつこかったよね、前戯とか。とにかく明日花さんを気持ち良くさせてあげたいと思ってたけど」
いくら経験者のアドバイスを参考にしていたとはいえ、鵜呑みにしていた自分が情けない。悔いるように目を瞑ったが、彼女はフルフルと顔を振って否定してくれた。
「私、壱嵩さんとのエッチ、すごく好き。エッチの前も、その後も……全部気持ちいいし大事にしてくれているのが分かるから、私は嬉しいよ? むしろ……私の方がちゃんとデキてるか不安だし。甘えてばっかり……」
いや、こんな可愛い子が彼女ってだけで、幸せすぎるくらいだし!
自己肯定の低い俺達は、半年経った今でも未だにこんな状況だった。
自分の場合は劣等感まみれだから、いつ別れを切り出されるか不安がつきまとうし、嫌われたくなくて常に一杯一杯だ。
「——そんな言ったら私の方が不安だよ。だって私は面倒な障害者。きっと健常者と付き合った方が、壱嵩さんもストレス感じないって思うかも」
それは……っ、俺は明日花さんと一緒にいて、ストレスだと思うことはない。
確かに約束を忘れられたり、ゴミの捨て忘れだったり、たまに会話が噛み合わないこともあるけれど、原因が判明しているので納得ができる範囲内だ。
むしろ健常者と言われている人でも、何を考えているのか分からなくて胃が痛くなることもある。
俺からしてみれば、明日花さんの方がよっぽど分かりやすくて、一緒にいて楽しい人だ。
「——俺は、明日花さんと一緒にいて楽しいよ。ずっと一緒にいたい」
「あは、一緒だね。私も壱嵩さんとずっとずっと一緒にいたい」
再び鼻頭を擦らせて、キスをして。俺達は互いの存在を確かめ合って眠りについた。
明日花さんの家族との挨拶も済ませ、本格的な同棲をスタートした俺達は、ベッドの上で正座をして向かい合っていた。
「あの、不束者ですがよろしくお願いいたします」
「こちらこそ……! 改めてよろしくお願いします」
互いに恥ずかしがりながら笑い合って、はにかむ表情が可愛くて口元が緩んでしまう。毎度のことだが、この瞬間が幸せで生きていて良かったと神様に感謝したくなる。
「壱嵩さん、明日は休みだよね? もし良かったら今日はたくさんキスをしてもいいかな?」
明日花さんはモジモジと身体をクネらせて、上目で覗き込んできた。こんなに可愛くねだられて、断る奴がいたらツラを拝んでみたい。
ベッドの上で跨るように乗って、とても魅惑的な体勢だ。彼女のシャンプーの匂いが鼻腔を刺激する。色素の薄い唇が口角にそっと触れた。
この俺にだけ甘える仕草が堪らない。
「キスだけでいい? 他にご要望は?」
「とりあえずはキスだけで……。あとは後々」
と、言いつつも、パジャマからのぞいて見える胸の谷間につい視線がいってしまう。
その柔肌に顔を埋めたくなるし、下半身は下半身で、この密着具合はおそらく確信犯だ。
だが、このあざとさ嫌いじゃない。
むしろ好きだ。
彼女の首筋、頸の辺りにキスを落として、続いて耳たぶのあたりを甘噛みする。猫のように鳴いた声に身体が熱を帯びる。
「エッチって、すればするほどマンネリして飽きるものなのかな? それともどんどん好きになるのかな?」
「人によって様々じゃないかな? 俺はこんなにたくさん肌を重ねたのは明日花さんだけだけど、もっとしたくなるよ」
「私も元々飽きっぽい性格なのに、壱嵩さんのことはもっともっと好きになっちゃう」
チュッチュと小鳥がついばむように何度もキスを重ねて、次第に濃厚なキスへと変えていった。擦り寄ってくる身体の誘惑にも勝てるわけもなく、裾に手を忍ばせて膨らみに重ねた。
「ンっ、んン……ッ」
焦らすように大きく掴んで、そのまま——……
——— 自主規制 ———
——眼福だった。やっぱり色っぽく悶える彼女は可愛くて、つい苛めたくなってしまう。
「あのね、ちょっと気になっていたことがあるんだけど聞いてもいいかな?」
肩の付け根に頭を乗せて、身体を寄り添えて横になった明日花さんが尋ねてきた。そんな彼女の額に唇を当てながら、愛しく後頭部を撫でる。
情事の後の余韻もなかなか悪くないと思えるのも、きっと相手が彼女だからなのだろう。
「何? どうした?」
「——うん、あのね漫画を見て不思議に思ったんだけど……男の人って一晩で何回くらいデキるの?」
——ん?
おっと、聞き間違いだろうか?
「だって、最近見た漫画で一晩で何回もヤッてるのをみたから、もしかして壱嵩さんも我慢してるのかなと思って」
「いや、俺は全然我慢なんて! 一晩で何回もって、それ余程の絶倫だと思うよ? オナニーでも五、六回が限界だから、エッチとなると体力が持たないし」
ヤリたい願望と実際にデキる回数は違うんだ。
こうして裸で抱き合って胸を触ってる方が余程気持ちがいいと俺は思う。
「それを言ったら女の人もだよ。何回でもイケるもんなの? イキ地獄とかあるけど」
「え、いや……あんな漫画みたいに何回もイキ続けるとか無理だと思う。人それぞれかもしれないけど、私は三回くらいイッたら疲れてイケなくなるし」
「そう……なんだ」
勘違いしてたかもしれない。
男と違って女性は何度もイケると思っていたけど、言われてみればそうだ。やっぱり漫画の世界と現実を一緒にしたらダメだなと改めて痛感した。
「ゴメン。多分しつこかったよね、前戯とか。とにかく明日花さんを気持ち良くさせてあげたいと思ってたけど」
いくら経験者のアドバイスを参考にしていたとはいえ、鵜呑みにしていた自分が情けない。悔いるように目を瞑ったが、彼女はフルフルと顔を振って否定してくれた。
「私、壱嵩さんとのエッチ、すごく好き。エッチの前も、その後も……全部気持ちいいし大事にしてくれているのが分かるから、私は嬉しいよ? むしろ……私の方がちゃんとデキてるか不安だし。甘えてばっかり……」
いや、こんな可愛い子が彼女ってだけで、幸せすぎるくらいだし!
自己肯定の低い俺達は、半年経った今でも未だにこんな状況だった。
自分の場合は劣等感まみれだから、いつ別れを切り出されるか不安がつきまとうし、嫌われたくなくて常に一杯一杯だ。
「——そんな言ったら私の方が不安だよ。だって私は面倒な障害者。きっと健常者と付き合った方が、壱嵩さんもストレス感じないって思うかも」
それは……っ、俺は明日花さんと一緒にいて、ストレスだと思うことはない。
確かに約束を忘れられたり、ゴミの捨て忘れだったり、たまに会話が噛み合わないこともあるけれど、原因が判明しているので納得ができる範囲内だ。
むしろ健常者と言われている人でも、何を考えているのか分からなくて胃が痛くなることもある。
俺からしてみれば、明日花さんの方がよっぽど分かりやすくて、一緒にいて楽しい人だ。
「——俺は、明日花さんと一緒にいて楽しいよ。ずっと一緒にいたい」
「あは、一緒だね。私も壱嵩さんとずっとずっと一緒にいたい」
再び鼻頭を擦らせて、キスをして。俺達は互いの存在を確かめ合って眠りについた。
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