19 / 58
第四章「彼女がいないと、俺は朽ち果てる……」
第18話 キスはココから【R−15】
しおりを挟む
買い物を済ませて家に帰り着いた俺達は、食事を済ませてお風呂に入って、まったりとした時間を過ごしていた。
明日花さんは生足を曝け出して、足の爪にペディキュアを彩っていた。爪がオレンジとイエローのビタミンカラーに染まっていく。
一方、手持ち無沙汰だった俺は読みかけていた雑誌に視線を向けつつ、彼女のことが気になって仕方なかった。
お風呂上がりの乾かしたての柔らかい髪。頸の後れ毛が色っぽい。
それにしても素っぴんになっても可愛いって、どれだけ素材がいいのだろう。むしろ化粧っ気のない今の方が好きだ。
「壱嵩さん、どうしたの? もしかしてマニキュアの匂いがキツかった?」
「い、いや! 違うから気にしないで」
お風呂上がりの彼女に欲情していたなんて言えるわけがない。ただでさえ付き合った日からエッチをするという節操なしになっているのに、これ以上幻滅されたくない。
再び漫画雑誌を開いて読み始めたが、全く内容が入ってこない。一度スイッチが入ってしまうと悶々としてしまうのが情けない所だ。
雑念を払うように違うことを考え出した。明日の仕事の予定は、たしか田中さんは内科受診があるから——……。
「あの、壱嵩さん」
耳元で囁かれた声に、全身で反応した。
背中にシャツ越しの柔らかい感触が伝わってくる。腹部で交差する彼女の指。
突然のバックハグに思考が停止した。
「今日……壱嵩さんに甘えたいんですけど、甘えてもいいですか?」
「い、いいけど……」
首を捻って明日花さんの表情を覗き込むと、綻ぶような笑顔を浮かべて喜んでいた。
そして彼女の指が俺の腹部から胸元に移動して、首筋に唇を押し当てられた。
「今日は、私がたくさんキスしたいです」
吐息混じりの声。ゾクゾクして高揚した気持ちが収まらならい。耳元に聞こえる肌に吸いつく音が大きくなる。
これはヤバい、頭がバカになるヤツだ。
ゆっくりと捲り上げられたシャツ。汗ばんだ肌が、互いにくっついて離れない。摩擦と共に溢れる艶声が脳を刺激する。
「どこが好き? 壱嵩さんの気持ちいいところ……教えてください」
もう好きにしてください——!
全部良すぎて、もう何も言えなくなっていた。
なのに焦らされて勿体ぶらされて、次第に呼吸が荒くなる。彼女の細い指がどんどん濡れて、卑猥な音を立てる。
「待って、もう無理。これ以上は、もう」
「ダメ。だってこの前、壱嵩さんにもやめてって言ったのに、ずっと触ってたもん」
悪戯に笑う声に観念した。
こんな意地悪な一面ですら愛しく思ってしまうんだから仕方ない。
だけど、どうせなら一緒に気持ち良くなりたい。自分だけなんて嫌だ。
俺は彼女の太ももに手を乗せて、そのまま内腿に滑らせた。指の動きと共に「ひゃっ!」と小さな悲鳴が聞こえたが、無視して弄んだ。
次第に大きくなる艶めかしく耐える声。互いに顔が見えないまま卑猥な行為を続ける。
「ダメ……っ、もう。壱嵩さん、キスしたい」
先に諦めたのは明日花さんだった。ねだるように舌を出して、そのまま正面を向き合ってキスを交わし合った。
温かくて柔らかい感触が脳を溶かす。
そして半裸になっていた俺達は、衣服を脱ぎ去って甘い一時を堪能しあった。
「——ヤバい、全然自重できない。今日は控えようと思っていたのに」
毎晩毎晩、獣のように盛る自分に嫌気がさす。きっと男の俺よりも明日花さんの方が負担が大きいのに、どうして我慢ができないのだろう。
「でも、今回のは私からお願いしたことだし」
「だとしても……! いや、分かっているんだけど、俺が鉄の意志を持てば解決することは」
実際、控えないと仕事に支障が出てしまう。
社会人としてあるまじき事態なので、対応策を練るべきだろう。
「でもヤッてる人は毎晩のようにしてると思うし」
「人は人。俺達は俺達のペースでしましょう。その、俺としては休みの前の日が助かるんだけど、明日花さんはどう?」
「私は毎晩でもしたい」
うん、希望は自由でいい……!
けれど、俺の仕事は体力が必要なのだ。ここは少し協力をお願いしたいです。
「……キスとハグをされると安心するから、それは毎日して欲しいです。あと、胸を触って欲しい時もあるから、休みの前以外でもお願いしたいかも」
「——分かった。明日花さんが望むなら善処します」
「それと壱嵩さんが悶えている姿を見るのも好きなので、今日みたいなこともしたいです」
「それは勘弁してください! 無理無理、さっきのお願いですら我慢できる自信ないのに、俺のを触られでもしたら!」
クスクスと笑う彼女を見て揶揄われたことに気付いた。
くっ、明日花さんもこんな冗談を言ったりするのか。
だが、いつもと違う笑い方に喜びを覚えながら、俺達は色んなことを話しながら腕枕をして眠りについた。
明日花さんは生足を曝け出して、足の爪にペディキュアを彩っていた。爪がオレンジとイエローのビタミンカラーに染まっていく。
一方、手持ち無沙汰だった俺は読みかけていた雑誌に視線を向けつつ、彼女のことが気になって仕方なかった。
お風呂上がりの乾かしたての柔らかい髪。頸の後れ毛が色っぽい。
それにしても素っぴんになっても可愛いって、どれだけ素材がいいのだろう。むしろ化粧っ気のない今の方が好きだ。
「壱嵩さん、どうしたの? もしかしてマニキュアの匂いがキツかった?」
「い、いや! 違うから気にしないで」
お風呂上がりの彼女に欲情していたなんて言えるわけがない。ただでさえ付き合った日からエッチをするという節操なしになっているのに、これ以上幻滅されたくない。
再び漫画雑誌を開いて読み始めたが、全く内容が入ってこない。一度スイッチが入ってしまうと悶々としてしまうのが情けない所だ。
雑念を払うように違うことを考え出した。明日の仕事の予定は、たしか田中さんは内科受診があるから——……。
「あの、壱嵩さん」
耳元で囁かれた声に、全身で反応した。
背中にシャツ越しの柔らかい感触が伝わってくる。腹部で交差する彼女の指。
突然のバックハグに思考が停止した。
「今日……壱嵩さんに甘えたいんですけど、甘えてもいいですか?」
「い、いいけど……」
首を捻って明日花さんの表情を覗き込むと、綻ぶような笑顔を浮かべて喜んでいた。
そして彼女の指が俺の腹部から胸元に移動して、首筋に唇を押し当てられた。
「今日は、私がたくさんキスしたいです」
吐息混じりの声。ゾクゾクして高揚した気持ちが収まらならい。耳元に聞こえる肌に吸いつく音が大きくなる。
これはヤバい、頭がバカになるヤツだ。
ゆっくりと捲り上げられたシャツ。汗ばんだ肌が、互いにくっついて離れない。摩擦と共に溢れる艶声が脳を刺激する。
「どこが好き? 壱嵩さんの気持ちいいところ……教えてください」
もう好きにしてください——!
全部良すぎて、もう何も言えなくなっていた。
なのに焦らされて勿体ぶらされて、次第に呼吸が荒くなる。彼女の細い指がどんどん濡れて、卑猥な音を立てる。
「待って、もう無理。これ以上は、もう」
「ダメ。だってこの前、壱嵩さんにもやめてって言ったのに、ずっと触ってたもん」
悪戯に笑う声に観念した。
こんな意地悪な一面ですら愛しく思ってしまうんだから仕方ない。
だけど、どうせなら一緒に気持ち良くなりたい。自分だけなんて嫌だ。
俺は彼女の太ももに手を乗せて、そのまま内腿に滑らせた。指の動きと共に「ひゃっ!」と小さな悲鳴が聞こえたが、無視して弄んだ。
次第に大きくなる艶めかしく耐える声。互いに顔が見えないまま卑猥な行為を続ける。
「ダメ……っ、もう。壱嵩さん、キスしたい」
先に諦めたのは明日花さんだった。ねだるように舌を出して、そのまま正面を向き合ってキスを交わし合った。
温かくて柔らかい感触が脳を溶かす。
そして半裸になっていた俺達は、衣服を脱ぎ去って甘い一時を堪能しあった。
「——ヤバい、全然自重できない。今日は控えようと思っていたのに」
毎晩毎晩、獣のように盛る自分に嫌気がさす。きっと男の俺よりも明日花さんの方が負担が大きいのに、どうして我慢ができないのだろう。
「でも、今回のは私からお願いしたことだし」
「だとしても……! いや、分かっているんだけど、俺が鉄の意志を持てば解決することは」
実際、控えないと仕事に支障が出てしまう。
社会人としてあるまじき事態なので、対応策を練るべきだろう。
「でもヤッてる人は毎晩のようにしてると思うし」
「人は人。俺達は俺達のペースでしましょう。その、俺としては休みの前の日が助かるんだけど、明日花さんはどう?」
「私は毎晩でもしたい」
うん、希望は自由でいい……!
けれど、俺の仕事は体力が必要なのだ。ここは少し協力をお願いしたいです。
「……キスとハグをされると安心するから、それは毎日して欲しいです。あと、胸を触って欲しい時もあるから、休みの前以外でもお願いしたいかも」
「——分かった。明日花さんが望むなら善処します」
「それと壱嵩さんが悶えている姿を見るのも好きなので、今日みたいなこともしたいです」
「それは勘弁してください! 無理無理、さっきのお願いですら我慢できる自信ないのに、俺のを触られでもしたら!」
クスクスと笑う彼女を見て揶揄われたことに気付いた。
くっ、明日花さんもこんな冗談を言ったりするのか。
だが、いつもと違う笑い方に喜びを覚えながら、俺達は色んなことを話しながら腕枕をして眠りについた。
10
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
【R18 大人女性向け】会社の飲み会帰りに年下イケメンにお持ち帰りされちゃいました
utsugi
恋愛
職場のイケメン後輩に飲み会帰りにお持ち帰りされちゃうお話です。
がっつりR18です。18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる