異世界ロマンス

Kashiwa

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2度目の世界

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とある高校に須川章介という一人の男がいた。
クラスの中心ではなさそうなその男の髪型はおしゃれには程遠く、顔は普通で、扁平足な男
この物語は、ロマンの物語。一人の青年の、成長のお話

キーンコーンカーンコーン…
「はい、では数学の授業はこれで終わりです。みんな復習やっておくんだぞ~」
この学校では今、6時間目の授業を終えこれからホームルームに入る所である。
「須川~起きろ~」
「へ?…あ!やっべ寝ちゃった!」
この友人に起こされた男が須川である。得意科目は体育であり、苦手な教科は数学だ。今日その数学が6時間目に当たってしまい、訳も分からずに聞いていたら、先生の話し言葉が子守唄になり寝てしまった。
「まぁ、授業も終わったことだし、帰りますか」
須川は至って陽気な男だが、ビビリで怖がりだった。いつも窓際の隅っこで、インキャ3人組で、最近のアニメやゲームのことなどを熱く語り合うのが、彼の休み時間の楽しみであり、唯一の癒しだったのだ。
友人は主に2人、黒山君と、飯村君である。2人ともアニメ好きで、入学当初からすぐに仲良くなって行った。
「黒山も飯村も昨日からスタートしたアニメ見た?俺見れていなくてさ~」
「あ~あの話題に上がっていたアニメか、確かに作画は良かったんだがなぁ…後半から失速しそうな予感しかしないぞ?なぁ?飯村」
「いや~あのサンケイアニメーションがオリジナルで脚本を考えたんだろ?ならば絶っ対に主要キャラ1人は5話くらいで死んでるだろ。」
今日も3人で昨日やっていたアニメの感想などを語り合っている。毎日は華やかでは無いが、決してみずほらしく無い。とても楽しい日々だと、この時須川は思っていた…今日で終わりとも知らずに。
その日の放課後、また3人で一緒に帰っていた。
「今日帰ったら絶対言ってたアニメ見るわ」
「寝落ちすんなよ?お前しきりに寝落ちすんだから」
「毎回お前が寝落ちすっから俺の家のビデオに撮っといてあるぞ。今度うち来る?」
「賛成賛成!行こう!行こう!」
いつも通りの話をしゃべりながら帰って行っていた。帰り道、いつもと一緒の道で帰り、横断歩道の赤信号でとまり、青になることを待っていた。須川たちはいつも通りスマホをいじり倒し、普通に過ごしていた
「!?」
気づいた時にはもう遅かった、誰かが…須川の背中を押した。かなり力強く。
須川はバランスを崩しながら前の方へよろけてしまった。
『プーーー!』スピード違反気味の白い車がクラクションを鳴らして急いで止まった時には、白い車には赤い模様が入っていた。
「須川…?須川!須川!」
どれだけよんだところで須川はもう起きるわけがない。
そこに倒れていたのはもはや須川では無い顔の潰れた誰かであった。須川は、死んだ。

パアアと明るくなったと思い目を開けると、海の中なのか、地上なのか、とにかく明るいところへついた。
「うん…あ?」
見渡してもただ明るく神々しい景色が広がり、ただただ広い空間には、須川ともう1人、神であった。
「だ、だあ!?ででででけえでけえでけえ!かか、かみさま!?」
「そうです。あなた方の世界ではそのように言われているものです♪本来ならば、あなたはここで死ぬような人間ではなかった。しかし…死んでしまいましたねぇ…今ごろもうあなたの遺体は火葬されていますし、ちょっと帰るのは無理ですねぇ」
「ちょっと色々理解が追いつかないんですけど…ぼくは死んだんですか!?」
「はい」
「さらっというなぁ…」
「でもまだ方法はありますよ?転生すればいいのです。異世界というやつに!どうです?したいですかね?」
「え!?異世界!?そりゃしたいさ!」
「おお!がっついてきた!よかったよかった。それでは転生させますねの前に」
「前に?」
「あなたが行く世界の名前は2度目の世界という所です。」
「2度目の世界?」
聞いたことない名前だ。なんたらワールドとかそんな感じかと思っていたので、無理はない。神は得意げにこう話す。
「あなたがいたのは1度目の世界、次から行くのは2度目の世界です。先に言って起きますが、2度目の世界はやり直しの世界。赤ちゃんから転生ということはできませんがあなた方が見ているようなアニメの世界に行き、そして戦うのです!」
「一体何で戦うんだ?俺は武術なんて習ったことないんだぞ?」
「だから用意してますよ、特殊能力」
さらりとこう返されたが、須川はやっぱり、
「特殊能力!?はいはいはいー!もらいやすもらいやす~!」
やっぱこうなる。
神が言う特殊能力というのは一体化である。なんらかの物や概念と一体化し、その能力をつかえるというものであった。例えば、火と一体化すれば体から火を出すことができ、電気と一体化すれば電撃を放てる。ただし、一体化しても、個人個人によって性質も違ってくるため、同じ火でも人によって能力の種類はバラバラである。
実際、同じ電気でも、雷になったり、静電気なったりと、実際は選べないのだ。
「じゃあ選べないってことですか?」
「そうですよ?」
須川は気を落としたが、神は笑いながら
「そんなに気を落とさなくても、弱い能力なんて渡しませんよ」
と、きっぱり言い切った。
「は、はぁ…」
まだ須川は信じていないようなので、早速須川と一体化する物質を言うことにした。そして大きく息を吸って神は言った。
「あなたが一体化してもらうのは…」
「のは…?」
「と、言いたいところなのですが、あなたに最も一体化に合うというものが、まだあなたでは使えないのですよ…」
「ええ!?じゃあどうするのさ!?」
「大丈夫、そんなあなたには一応能力を渡しておきます。」
「つ、使い方は!?」
「それはまだ言えませんね、ただあなたはそれを絶対に使う運命にあります。そしてその能力は、進化すると、本来一体化するはずだった物と一体化できるのです。」
「そんなもんかなぁ」
「まぁ、頑張ってください、応援してます!まぁそうですね、ひとつ言うならば…」
すると急に神は怖い顔になってこう言った。
「ひとつ言うならば、なんの成果もあげられず死んだ場合、天国へはいけないと、覚悟してください…地獄の方の世界に行ってしまうので…気をつけて。」
そこで須川はようやく並々ならぬ狂気を今そこで初めて感じ取った。
「それじゃ、いってらっしゃーーい」
神様の対応で須川の頭には引っかかり続けたが、そんなことはもう考えないことにしていた。
そうして須川はまた光に包まれていった。
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