1 / 8
小学6年生までの話
1
しおりを挟む
5月頃だった。
私の住んでいる町では毎年夏の前に陸上大会がある。町にある3つの小学校合同で行う町の陸上大会。小学5年生の部と小学6年生の部があって基本的に全員参加だった。
私のいた小学校は1学年1クラス30人弱の小さな学校で、(他の2校もそんなもんだけど)だいたいこの季節になると放課後に陸上大会に向けて練習をするようになった。大会に出場できるのは5、6年生からだけど練習はなぜか4年生から。3学年みんなでウォーミングアップをして、その後出場する種目の練習に入る。
ウォーミングアップ。準備運動をしたら校庭に引かれた100メートル走のラインの前に各学年4列に並ぶ。右から新体力テストの50メートル走が速い順になるように。毎年私は2列目の先頭にいる。そして毎年右隣は同じ人。最後の年である今年も、それは変わることはなかった。
渡辺光。ひーやん。彼は私の学年で誰よりも速く走ることができる。毎年、毎年私はあなたに敵わない。私はずっと2番目だった。
なんで走るのが速いというだけでこんなにも気になる存在になってしまうのだろう。私が唯一敵わない相手だからなのだろうか。とにかく私は今日も彼を目で追ってしまう。私の右のレーンで股関節回しをし、腿上げしている彼を感じてしまう。なんでなんだろう。恋だと気づくのにそう長くはかからなかった。
ウォーミングアップの最後は50メートルダッシュ。
「よーい、はい」
一列後ろの列の1番右側の人が(つまりひーやんの一個後ろの人)が手を叩くと、ひーやん、私、かけやん、ひなたが駆け出して行く。
あぁ、私はやっぱりあなたに敵わない。そう思うたびにやっぱり気になってしまう。
私の住んでいる町では毎年夏の前に陸上大会がある。町にある3つの小学校合同で行う町の陸上大会。小学5年生の部と小学6年生の部があって基本的に全員参加だった。
私のいた小学校は1学年1クラス30人弱の小さな学校で、(他の2校もそんなもんだけど)だいたいこの季節になると放課後に陸上大会に向けて練習をするようになった。大会に出場できるのは5、6年生からだけど練習はなぜか4年生から。3学年みんなでウォーミングアップをして、その後出場する種目の練習に入る。
ウォーミングアップ。準備運動をしたら校庭に引かれた100メートル走のラインの前に各学年4列に並ぶ。右から新体力テストの50メートル走が速い順になるように。毎年私は2列目の先頭にいる。そして毎年右隣は同じ人。最後の年である今年も、それは変わることはなかった。
渡辺光。ひーやん。彼は私の学年で誰よりも速く走ることができる。毎年、毎年私はあなたに敵わない。私はずっと2番目だった。
なんで走るのが速いというだけでこんなにも気になる存在になってしまうのだろう。私が唯一敵わない相手だからなのだろうか。とにかく私は今日も彼を目で追ってしまう。私の右のレーンで股関節回しをし、腿上げしている彼を感じてしまう。なんでなんだろう。恋だと気づくのにそう長くはかからなかった。
ウォーミングアップの最後は50メートルダッシュ。
「よーい、はい」
一列後ろの列の1番右側の人が(つまりひーやんの一個後ろの人)が手を叩くと、ひーやん、私、かけやん、ひなたが駆け出して行く。
あぁ、私はやっぱりあなたに敵わない。そう思うたびにやっぱり気になってしまう。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~
メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」
俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。
学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。
その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。
少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。
……どうやら彼は鈍感なようです。
――――――――――――――――――――――――――――――
【作者より】
九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。
また、R15は保険です。
毎朝20時投稿!
【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
シチュボ(女性向け)
身喰らう白蛇
恋愛
自発さえしなければ好きに使用してください。
アドリブ、改変、なんでもOKです。
他人を害することだけはお止め下さい。
使用報告は無しで商用でも練習でもなんでもOKです。
Twitterやコメント欄等にリアクションあるとむせながら喜びます✌︎︎(´ °∀︎°`)✌︎︎ゲホゴホ
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる