異世界ツアーしませんか?

ゑゐる

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243 秋です 9

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 ここは飛行島、コテージの前です。

 わたしは、ローラ、陽子さんと一緒に陶芸工房を見て、温泉に入り、帰ってきました。

アンナ「お疲れ様でした。中に入りましょう」

 私たちはコテージに入り、ダイニングに向かいます。

アンナ「マオもお疲れ様」

 わたしはマオを床に降ろしました。

アンナ「夕食の準備をします」
ローラ「昼間の親子丼が食べたいわ」
アンナ「親子丼ですか・・・」

アンナ「洋風ではなく、日本の親子丼はどうですか?」
ローラ「いいわね」
アンナ「陽子さんは日本の親子丼を知っていますか?」
陽子 「いいえ、知りません」

 前世のわたしが知らない料理ですね。
 明治の終わり頃か、大正時代にはあったはずですが、普及したのは戦後でしょうか。

アンナ「これから親子丼を作ります。
    陽子さんも調理を覚えてください」
陽子 「はい」

 わたしは陽子さんとキッチンに入ります。ローラもついてきました。
 丼鍋どんなべは持っていないので、スキレットで調理します。

     *

親子丼の作り方
 スキレットに出汁だし、醤油、調味料、鳥肉、玉ネギを入れて加熱します。
 今回はキノコも入れます。ある程度加熱したら、火を止めて水溶き片栗粉を入れます。
 わたしはとろみがある方が好きです。ごはんがべちゃっとしません。
 次に溶き卵と三つ葉を入れてふたをします。
 卵が半熟になるまで加熱すれば完成です。
 ちなみに卵は、ファームで採れた無菌のものです。生食でも平気です。

     *

 調理しているとマオがわたしの足元に来ました。鳥肉が食べたいのかもしれません。
 わたしはマオのために、出汁と鳥肉で卵とじを作ります。

 完成しました。

 夕食は親子丼以外に、アイテムボックスから豚汁とカボチャのコロッケを出します。
 マオのごはんは、鳥肉の卵とじです。

 ダイニングのテーブルに夕食の準備が出来ました。

三人 「いただきます」

 パクパク・・・

ローラ「これが日本の親子丼ね。美味しいわ」
陽子 「親子丼、美味しい、記録しました」
ローラ「マオちゃんも美味しそうに食べているわ」

 マオは普段キャットフードを食べています。
 鑑定魔法でマオの健康状態をみながら、時々私たちと同じものをあげるのもいいかもしれません。

ローラ「いま豚汁に入れたのは何かしら?」
アンナ「七味ななみ唐辛子です。好みで少し入れると美味しいですよ」

 ローラは豚汁に七味唐辛子を入れました。

ローラ「美味しい。
    みそと唐辛子が合うのは知らなかったわ」

 今回の豚汁は具沢山ぐだくさんなので、食べ応えがあります。
 七味唐辛子はネットで材料を調べて自作しました。

ローラ「カボチャのコロッケは初めて食べたわ。
    衣はさっくり、中ほホクホク、甘くて美味しいわね」
アンナ「カボチャは野菜ですが、パイやプディングなどの
    レシピがあります。今度お菓子を作りますね」
ローラ「楽しみね」

     *

 食事が終わったので、陽子さんが日本茶をれてくれました。
 わたしはデザートを出します。焼き芋のアイスクリーム添えです。

ローラ「氷屋で話していたのは、これね」
アンナ「はい」

 ぱくっ。

ローラ「美味しいー、熱いのと冷たいの、一緒に食べる発想が面白いわ」
アンナ「はい、それにサツマイモと乳製品は相性がいいです。
    今度、サツマイモ入りのアイスクリームを作ってみます」
ローラ「それも美味しそうね」

     *

 デザートが終わりました。

三人 「ごちそうさまでした」

ローラ「今日は楽しかったわ。またね、おやすみ」
アンナ「おやすみなさい」
陽子 「おやすみなさいませ、ローラ様」

 ローラは天界に帰っていきました。

アンナ「陽子さんも特にすることがなければ休んでください」
陽子 「はい、失礼します」

 陽子さんはマオをだっこして自分の部屋に向かいました。

 わたしはリビングに行って、ビーズクッションに座りました。
 そして一日を振り返ります。
 今日は秋を楽しむ一日でした。
 異世界の紅葉もきれいです。秋の味覚も美味しかったです。
 今日は朝から食べてばかりでした。
 わたしは食事制限ダイエットをする気はありません。運動をやめると大変なことになりますね。

     *

 さて、スマホで異世界ツアーのサイトを確認しましょう。

 サイトを見ると、明らかな冷やかしは減りました。
 そして、まともな申し込みと問い合わせが増えました。
 比較的に多いのは、新婚旅行、修学旅行、恐竜ツアーの申し込みと問い合わせです。
 これはツアー客による書き込みの宣伝効果ですね。

 他には・・・

 『冒険者になってドラゴンを討伐したい』・・・却下です。ドラゴンは討伐対象ではありません。

 『ダンジョンの攻略がしたい』・・・ダンジョンはありますが、難易度設定が大変そうです。保留ですね。

 『植物を採取して、持ち帰りたい』・・・却下です。

 変わった申し込みがありました。

 『宇宙ステーションをレンタルしたい』・・・情報が早いですね。個人ではなく企業からです。
 無重力空間で新素材の研究と開発がしたいと書かれています。

 わたしは、ツアー客と一緒に楽しめる内容がいいです。

 気になる申し込みがありました。
 わたしは、その人と連絡を取りました。そして数日間やり取りをして話を詰めていきました。
 連絡を取り始めて2週間が経ちました。


*    *    *


 ここは飛行島、コテージの前です。

 異世界ツアー当日の朝です。時刻は5時55分です。
 わたしは、マオをスリングに入れてたすき掛けにしています。隣には陽子さんがいます。
 地球では、待ち合わせの場所にツアー客がいます。皆さんウイルス対策のマスクをしています。
 そして期待と不安が入り交じった表情です。
 新たなツアーの始まりです

 6時になりました。

アンナ「召喚」

 ツアー客がコテージ前に現れました。



アンナ「ようこそ、異世界へ・・・」
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