異世界ツアーしませんか?

ゑゐる

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 ここは、ヨーロッパアルプスに似た山脈の上空です。
 
加藤 「きれい」
志村 「雄大な景色ですね」

 二人は山の撮影をしています。

 もうすぐ夕方です。あまり時間がありません。

アンナ「日が暮れるので、急ぎます」


*    *    *


 そのあと私たちは、塩湖、滝、渓流、湖などを手短かに見学しました。
 いま夕陽の中をレッドドラゴンと一緒に飛行しています。

アンナ「飛行島に戻ります・・・転移」


*    *    *


 かすかに見える夕陽の中に飛行島のシルエットが浮かんでいます。
 わたしはコテージの前にMTVを着地させました。

アンナ「お疲れ様でした」

 私たちはMTVを降りてコテージに入りました。
 わたしは二人をダイニングに案内します。

アンナ「座って待っていてください。夕食にします」
志村 「はい」
加藤 「お腹すきました」

 わたしはダイニングの端にペットサークルを出しました。

アンナ「陽子さん、マオを入れてください」
陽子 「はい」

 ペットサークルに入ったマオはノビをしました。かわいいです。
 わたしはキャットフードとお水を用意しました。
 マオはすぐに食べ始めました。

 今度は私たちの夕食を用意します。
 わたしは二人がいるテーブルに料理を出します。

 夕食はドイツ料理です。
 シュバイネブラーテン、ツヴィーベルズッペ、カルトッフェルザラート、ミッシュブロート、クワルクトルテです。
 テーブルの中央に、ヴルスト(ソーセージ)、シンケン(ハム)、チーズの盛り合わせを置きました。
 ヴルストとシンケンは、ニックさんが作ったものです。

シュバイネブラーテン
 ドイツのローストポークです。
 まず鍋にコンソメと香味野菜を入れて豚ロースを煮込みます。
 煮汁が減ってきたら鍋ごとオーブンに入れてやきます。
 肉に火が通ったら、鍋に残った肉汁とスープでソースを作り、切った肉にかけます。
 付け合わせはザワークラウトです。

ツヴィーベルズッペ
 ドイツのオニオンスープです。
 刻んだ玉ネギを飴色になるまで炒めて、ブイヨンを加えます。調味料と香辛料で味を整えたら完成です。

カルトッフェルザラート
 ドイツのポテトサラダです。
 ポテトサラダはドイツが発祥だそうです。今回はマヨネーズを使わないレシピです。
 まずブイヨンとマスタード、お酢などを加えてコンソメを作ります。
 次に茹でたジャガイモの皮をむき、適当な大きさに切ります。それを器に入れ、上からコンソメをかけます。
 飴色玉ネギとカリカリベーコン、パセリを振りかけて完成です。
 冷やしても美味しいですが、今回は暖かいものをいただきます。

ミッシュブロート
 小麦粉とライ麦粉を半々で作るドイツのパンです。中はしっとりしていて、ほのかな酸味のあるパンです。
 うすくスライスしました。ハムやチーズをのせて食べると美味しいです。

クワルクトルテ
 ドイツのベイクドチーズケーキです。
 クワルクとは、ヨーグルトのようなフレッシュチーズです。
 今回はラズベリーソースをかけていただきます。

     *

 料理を並べたあと、二人は写真を撮っています。
 今回は陽子さんも一緒に食事をします。

アンナ「飲み物は、お好きなものをアイテムボックスから出してください」

アンナ「いただきます」
三人 「いただきます」

 ぱくぱく・・・

二人 「美味しい」

 わたしは料理の説明をしました。二人は食べながら聞いています。

     *

アンナ「異世界ツアーの下見はどうでしたか?」
加藤 「想像以上です。最初はテーマパークに行くものだと
    思っていました」
志村 「ぼくは、加藤先生がだまされていると思っていました」

加藤 「今日の出来事は、日本では・・・いえ、
    地球では体験できないことばかりです」
志村 「そうですね。魔法、魔物、恐竜・・・」
加藤 「生徒たちにも体験させたいです」

志村 「加藤先生、校長は修学旅行を検討すると言っていましたが、
    おそらく実施しないつもりです。校長に、今回の下見を報告
    して異世界修学旅行を実現させましょう。
    ぼくも一緒に説得します」
加藤 「あ、はい・・・志村先生は、校長の指示に従うはず
    でしたよね?」
志村 「気が変わりました。生徒たちにどうしても異世界を見せたい
    です。いい思い出になるはずです。
    それにウイルスに感染する心配がありません」
加藤 「そうですね。志村先生、一緒に報告書を作りましょう」
志村 「はい」

     *

 食事が終了しました。

アンナ「ごちそうさまでした」
三人 「ごちそうさまでした」

 わたしは魔法で食器を片付けました。

アンナ「それでは、お二人を日本に送ります」

 私たちは、玄関で靴の履き替えてコテージの外に出ました。

加藤 「うわー、星がきれい」
志村 「月がふたつありますよ」
加藤 「すごいですね」
志村 「この夜空も生徒に見せたいです」
加藤 「そうですね」

アンナ「魔道具の返却をお願いします」
加藤 「はい」
志村 「はい」

 わたしは二人から魔道具を受け取りました。

加藤 「今回は無料でいいんですか?」
アンナ「はい。下見なので無料で構いません」
志村 「なんだか申し訳ない」
アンナ「団体客誘致の先行投資です」

加藤 「今日は、とても楽しかったです。料理も美味しかった」
志村 「下見であることを忘れて、観光している気分でした」
加藤 「本当にそうですね」
志村 「修学旅行が実現できるように、がんばりましょう」
加藤 「はい」

アンナ「それでは、検疫を行います」

アンナ「クリーン・・・鑑定」

アンナ「ウイルスの感染はありません。
    お二人とも健康状態に問題ありません」

加藤 「お世話になりました」
志村 「お世話になりました」
アンナ「ありがとうございました」

アンナ「お二人を日本に送ります」

 わたしは転移先の新宿を千里眼で確認しました。

アンナ「送還」

 わたしは、二人を日本に送還しました。

 今夜も夜空がきれいです。



 異世界修学旅行の下見は無事に終了しました。
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