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ゑゐる

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170 ワウラの教会 (別視点)

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* 別視点 マリア side *


 ここは、ワウラの街にある孤児院。
 いま子供達に勉強を教えているのはマリア。孤児院の責任者である。
 そしてマリアは教会の司祭でもある。 

 突然、部屋に神官が入ってきた。


*    *    *


神官 「司祭様、大変です。すぐ来てください」
マリア「どうしたのですか?」
神官 「急いでください」
マリア「しばらく自由時間にします」

 私は、子供達にそうげて、隣にある教会に向かいました。
 神官は、かなりあわてています。一体何事でしょうか。
 向かった先は礼拝堂です。

 ああっ! 女神様!

 女神様の像が光り輝いています。
 私はすぐに女神様の像の前にひざまずき、こうべを垂れました。

 状況が理解できません。

 礼拝堂には、数名の神官と助祭のエバ、多くの信者がいます。
 みな祈りをささげています。

 なぜ女神様の像が光っているのでしょうか。
 女神様は何かを告げられたのでしょうか。
 神託、あるいは・・・・・・神罰でしょうか。
 気になります。

     *

 以前に女神様の像が光ったのは1ヶ月以上前です。
 その時は、アンナさんに対する狼藉ろうぜきが原因でした。
 そして神罰がくだり、貴族は行方不明になりました。
 あやうく国が滅亡するところでした。

     *

 どれくらいの時間が経ったでしょうか。時間がとても長く感じます。
 このままではらちが明きません。事態を把握する必要があります。

 私は覚悟を決めて、発言します。

マリア「女神様、お告げをお願いいたします」

 ・・・・・・・・・・

 返答がありません。

 私が来る前に、何かを告げられたのでしょうか。
 私は、隣にいる助祭のエバに小さな声で質問をしました。

マリア「エバ、お告げはありましたか?」(小声)
エバ 「いいえ」(小声)

マリア「女神様は、いつから光っているのですか?」(小声)
エバ 「司祭様が来られる少し前からです」(小声)

 女神様は、何をお考えなのでしょうか。

 私は、恐る恐る顔を上げて女神像のお顔を拝見しました。

 まさか、女神様は大変お怒りなのでは・・・
 もうすでに神罰は始まっているのではないか・・・
 この国が・・・この世界が滅びるのではないか・・・

 私はどうすれば・・・女神様・・・ローラ様・・・め・が・み・さ・・・ま・・・


 < 司祭マリアは失神して、その場に倒れた >
 < 女神ローラはこのとき、隣の敷地で手打ち野球をしていた >


*    *    *


 ここは? 応接室のソファー?

エバ 「司祭様、大丈夫ですか?」
マリア「私はどうなったのですか? 女神様は? お告げは?」
エバ 「司祭様は失神されました。女神様からのお告げはありません」
マリア「女神様の像は、どうなりましたか?」
エバ 「少し前に光りがおさまりました」
マリア「礼拝堂に行きます。」
エバ 「私もご一緒します。お体、大丈夫ですか?」
マリア「大丈夫です」

 寝ている場合ではありません。
 女神様の前で失神するとは、なんたる失態、自分が情けないです。

     *

 私は礼拝堂に入りました。中では十数名の信者が、お祈りをしています。
 私は女神様の像を見上げました。確かに光りは収まっています。
 私は跪き、頭を垂れ、祈ります。
 そして、先ほどの失態を心の中で謝罪しました。

     *

 お祈りをしている間、子供達の大きな声が聞こえます。

 女神様の像が光っていたときも、子供達の声が聞こえていたような気がします。
 子供達は、一体何をしているのでしょうか。

 私は、お祈りを終えて、立ち上がりました。

マリア「子供達のところに行きます」
エバ 「ご一緒します」

     *

 孤児院の庭に行くと、子供達が遊んでいます。私の知らない遊びです。
 あの天幕と黒板は、何かしら?

マリア「天幕と黒板はどうしたの?」
子供達「アンナさんにもらった」
マリア「アンナさんは、どこ?」
子供達「もういないよ。用事があるんだって」
マリア「アンナさんは、何をしに来たの?」
子供達「手打ち野球を教えてくれた」
マリア「今やっている遊びのこと?」
子供達「うん」
子供達「陽子さんとローラちゃん、すごかったよね」

 陽子さん? ローラちゃん?

マリア「その二人はアンナさんと一緒に来たの?」
子供達「うん」
マリア「二人はどういう人かしら?」
子供達「陽子さんは・・・メイドさんかな」
子供達「ローラちゃんは5歳くらいの女の子」
マリア「その二人は街の人かしら?」
子供達「知らない」

 陽子さんとローラちゃんは、アンナさんとどういう関係でしょうか。
 アンナさんが人を連れて来たことはありません。

 ローラちゃん? まさか・・・



 女神様と名前が同じですが、偶然・・・よね。
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