異世界ツアーしませんか?

ゑゐる

文字の大きさ
上 下
167 / 243

167 野球です 1

しおりを挟む
 ここは教会の隣、孤児院です。

 ここの子供達は午前中に街の清掃や教会のお手伝いをしています。
 街の清掃は、わたしがギルド経由で報酬を支払っています。
 午後は勉強をしたり、遊んだりしているそうです。

 子供の数は男の子6人、女の子6人、計12人です。
 年齢は、下が5歳、上は10歳です。

 ここの孤児院は、わたしが異世界ツアーを実施する際、検疫の練習に協力してもらいました。
 そのお礼の意味で、教会に寄付をしたり、建物の補修、キララ窓の改装、トイレの設置を行いました。
 それ以外に、食材、古着、文房具などの提供もしています。

 孤児といえば一般的に貧しいイメージですが、ここの子供達は人並みの生活をしています。

     *

 わたしは今日、陽子さんに街を見せて回っています。幼女ローラも一緒です。

アンナ「ローラ、マオを降ろしてください。ペットサークルを出します」
ローラ「わかったわ」

 わたしはペットサークルとひんやりシート、お水を出しました。
 そして、ひんやりシートの上にマオをのせます。涼しくて気持ちいいと思います。
 マオは早速、お水を飲んでいます。

     *

 さて、今日は晴れていますが、雲が多いのであまり気温は上昇していません。
 湿度も日本のように高くないので、スポーツをしても大丈夫です。

 わたしはアイテムボックスからバスケットを出します。
 中には、柔らかい樹脂製のカラーボールが10個入っています。
 このボールは、わたしが天然樹脂から作ったものです。カラフルな着色をしてあります。

アンナ「皆さんに、これから手打ち野球を教えます」

 わたしはイラストを見せながら子供達にルールを説明しました。

 手打ち野球とは、1チーム5人以上でプレイする野球です。ピッチャーとキャッチャーは、いません。
 打者は自分でボールを持ち、握りこぶしでボールを打ちます。ほかのルールは普通の野球とほぼ同じです。
 自由にボールが打てるので、三振とホームランはありません。盗塁もありません。
 自分の手で打つので、手打ち野球と言います。バットとグラブが不用なので、気軽に遊ぶことができます。

     *

陽子 「手打ち野球、ルール、記録しました」
ローラ「私も、やりたい」
アンナ「わかりました。陽子さんも参加してください」
陽子 「はい」

 わたしは、男女混合にして適当に7人ずつのチームをつくりました。
 次にダイヤモンドとベースを土魔法で描きました。

アンナ「皆さん、集まってください」

アンナ「陽子さんは内野に、ローラは1塁についてください」
陽子 「はい」
ローラ「わかったわ」

 二人が守備に着きました。

 わたしはバッターボックスで打ち方の見本を見せます。

アンナ「右利きの人は、左手でボールを軽く上げて、右手で打ちます」

 ぽん。

 わたしはボールを打って、1塁に走ります。

 セーフ

アンナ「ボールより早くベースに着けばセーフ、遅れたらアウトです。
    皆さん、二人一組になって、ボールを投げる、取る、打つ、
    の練習をしましょう」

 わたしはボールを配りました。
 子供達は練習を開始します。

ローラ「陽子ちゃん、一緒にやりましょう」
陽子 「はい」

 その間に攻撃陣のベンチを用意します。
 わたしは天幕に人数分のイスを一列に並べました。
 テーブルの上には、スポーツドリンクと人数分のコップを用意します。

 次はスコアボードです。
 前もって作っておいた長方形の黒板とチョークを用意しました。
 チーム名はリーダーの名前がいいですね。あとで聞きましょう。

     *

 10分経ちました。

アンナ「チームごとに集まってください」

 二つのチームに分かれました。

アンナ「キャプテンを決めてください」

     *

 キャプテンが決まりました。
 10歳の男の子ケンと10歳の女子メリーです。

アンナ「皆さんで話し合って、打順と守備位置を決めてください」

     *

 決まりました。

アンナ「ジャンケンで先攻と後攻を決めてください」

 この世界にもジャンケンがあります。

 ジャン・ケン・ポン。

 ケンが勝ちました。

アンナ「先攻、後攻、どちらにしますか?」
ケン 「先攻で」
アンナ「わかりました」

アンナ「ケンチームはベンチに、メリーチームは守備についてください」

アンナ「最初の打者は打席に入ってください」

 ちなみに、ローラはケンチーム、陽子さんはメリーチームです。
 わたしは審判とルールのアドバイザーをします。

 試合は9回だと長いので、今回は5回にしました。
 5回あれば打順が2回以上回ってきます。

     *

 両チーム共、準備が整いました。

アンナ「ケンチーム対メリーチーム、5回行います」

アンナ「プレイボール!」



 試合が始まりました。



*********************************

 余談

筆者は子供のころ、手打ち野球をして遊びました。
子供達の間では「手打ち」と呼ばれていました。

大人になって、昔のことを思い出し、ネットで「手打ち」を検索したところ、表示されたのは、手打ちうどん、手打ちそばです。ちょっとショックでした。
今まで横浜だけのローカルな遊びだと、ずっと思っていました。
ところが先日、日本だけではなく、世界中に手打ち野球の競技者がいることを知り、驚愕しました。

皆さんは手打ち野球をご存知ですか?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し

gari
ファンタジー
 突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。  知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。  正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。  過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。  一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。  父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!  地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……  ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!  どうする? どうなる? 召喚勇者。  ※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。  

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~

丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。 一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。 それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。 ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。 ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。 もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは…… これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

RD令嬢のまかないごはん

雨愁軒経
ファンタジー
辺境都市ケレスの片隅で食堂を営む少女・エリカ――またの名を、小日向絵梨花。 都市を治める伯爵家の令嬢として転生していた彼女だったが、性に合わないという理由で家を飛び出し、野望のために突き進んでいた。 そんなある日、家が勝手に決めた婚約の報せが届く。 相手は、最近ケレスに移住してきてシアリーズ家の預かりとなった子爵・ヒース。 彼は呪われているために追放されたという噂で有名だった。 礼儀として一度は会っておこうとヒースの下を訪れたエリカは、そこで彼の『呪い』の正体に気が付いた。 「――たとえ天が見放しても、私は絶対に見放さないわ」 元管理栄養士の伯爵令嬢は、今日も誰かの笑顔のためにフライパンを握る。 大さじの願いに、夢と希望をひとつまみ。お悩み解決異世界ごはんファンタジー!

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

僕と精霊〜The last magic〜

一般人
ファンタジー
 ジャン・バーン(17)と相棒の精霊カーバンクルのパンプ。2人の最後の戦いが今始まろうとしている。

処理中です...