異世界ツアーしませんか?

ゑゐる

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162 恐竜ツアー3日目です 11

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 ここは、飛行島のコテージです。

 新種の恐竜を見た平原から、帰ってきました。

陽子 「お帰りなさいませ」
中村 「おう」
西川 「ただいま」
吉田 「ただいま」

 ルームシューズを履いて中に入ります。

西川 「僕、トイレ」
中村 「俺も」
吉田 「・・・」
アンナ「今日もテラスで夕食にします。あとで集まってください」

 皆さん、トイレに行きました。

マオ 「ミャー」

 マオが尻尾を立てながらトコトコ歩いてきました。そしてわたしの足元でスリスリします。

アンナ「マオ、ただいま。いい子にしていましたか」

 わたしはマオをだっこしました。わたしも顔をスリスリします。
 そのままリビングに向かい、マオを撫でながらカメラの撮影データをコピーしました。

     *

 三人がテラスに集合しました。
 わたしはマオを床に置いて、テラスに向かいました。
 そしてアイテムボックスからデザート以外の料理を出します。

     *

 夕食はトルコ料理です。
 ピデ、イズミルキョフテ、チョバンサラタス、カザンディビです。

ピデ
 イタリアのピザとほぼ同じ料理です。違いは、円形ではなく舟形や楕円だえん形です。
 具材がチーズやトマトソースに限定されないのが特徴です。
 ピデの歴史は古く、ピザの原型という説があります。
 今回は3種類のピデを焼きました。
 調味料は塩、香辛料、オリーブ油などです。トマトソースは使いません。

 サフランボル・ピデ(ほうれん草と挽肉)
 ペイネルリ・ピデ(チーズと玉子)
 パストゥマル・ピデ(パストゥマルとはパストラミのことですが、生ハムに近い加工肉です)

イズミル・キョフテ
 イズミルは港町の名前です。
 キョフテは、牛や羊の挽肉、刻んだ玉ネギとパセリ、香辛料などで作るハンバーグのような料理です。
 中東、東欧、南アジアなどの広い地域で食べられています。
 作り方は、まずねたキョフテを器に並べます。
 次に細切りのジャガイモ、玉ネギ、パプリカなどをキョフテの上にのせます。
 最後にトマトペースト、塩、香辛料、オリーブ油等でソースを作り、キョフテにかけます。
 それをオーブンで焼けば完成です。

チョバン・サラタス
 羊飼いのサラダという意味です。
 作り方は、トマト、キュウリ、パプリカ、玉ネギをさいの目に切ります。
 それを塩、オリーブ油、レモン汁でえます。最後に刻んだパセリをかければ完成です。
 
カザンディビ
 作り方は、まずフライパンにバターを塗り、粉砂糖を振りかけておきます。
 次に、フライパンとは別に深鍋を用意します。その中に牛乳、米粉、片栗粉、砂糖を入れて火にかけます。
 ドロリとしてきたら、それをフライパンに移します。
 フライパンを火に書けて、表面がモチモチになり、粉砂糖がカラメルになったら完成です。
 東洋の米粉と西洋のバターカラメルが融合ゆうごうした、トルコらしいお菓子です。

     *

アンナ「いただきます」
三人 「いただきます」

 ぱくぱく・・・

吉田 「美味しい」
西川 「美味しいね」
中村 「うまい」

 わたしは料理の説明をしました。

     *

吉田 「トルコ料理・・・」
西川 「ピザもハンバーグもうまい」

中村 「そういえば、なんで異世界ツアーに異世界の料理を
    出さないんだ?」
アンナ「わたしの知る限り、異世界には美味しい料理がありません。
    そのため食材は異世界のものを使い、調理は地球のレシピを
    参考にしています。そして日本人が知らない料理を出すことで、
    非日常感を演出しているわけです。」
西川 「異世界の料理がまずいのは、異世界小説のテンプレです」
中村 「まあ俺としては、うまければ何でもいいぜ」
西川 「僕もそう思います。」
吉田 「うん。私も」
アンナ「ありがとうございます」

     *

 料理が食べ終わったので、デザートを出しました。

アンナ「さあ、どうぞ」

 ぱくっ。

中村 「これ、うまいな」
西川 「はい。食感は餅なのに、味は西洋風なんですよね」
吉田 「うん。美味しい。」

アンナ「おかわりありますよ」
中村 「おかわりくれ」
西川 「僕も」
吉田 「私も」
アンナ「はい」

 デザートのカザンディビは好評です。
 ただ、中村さんがいつもより静かな感じがします。
 ツアー最後の料理なので思うところがあるのかもしれません。

     *

 夕食が終わりました。

アンナ「ごちそうさまでした」
三人 「ごちそうさまでした」

 わたしは食器類を片付けました。

アンナ「忘れないうちにこれを渡しておきます」

 わたしは中村さんに、撮影データが入ったメモリーを渡しました。

アンナ「差し上げます」
中村 「もらっていいのか?」
アンナ「はい。今は安く買えますから」
中村 「サンキュー」

アンナ「皆さん、アイテムボックスから私物を出して、
    魔道具を返却してください」

 三人はそれぞれバッグや靴などを出しました。わたしは魔道具を受け取ります。

アンナ「次に検疫を行います」

 わたしは、一人ずつクリーンと鑑定をしました。

アンナ「皆さん、問題ありません。検疫終了です」

アンナ「それでは靴を履いて、帰国の準備をしてください。
    ここでお別れします」

 三人は靴を履き、帰国の準備が出来ました。
 陽子さんがマオをだっこして、テラスに来ました。皆さんの見送りです。

アンナ「皆さんを日本に送還します」
中村 「待ってくれ。」

 ん?

中村 「アンナ・・・・・・・・・・俺と結婚してくれ!」(大きな声)

 吉田さんが固まっています。

アンナ「だめです。中村さんが好きなのは、わたしではなく、
    恐竜ですよね」
中村 「・・・・・・・・・・俺は日本に帰らないぞー!」(大きな声)
西川 「逃げた」

 中村さんが逃げましたが、ここは飛行島です。逃げるところはありません。

アンナ「送還」

吉田 「あれ? 会長は?」
アンナ「一足先に帰国しました。」

 わたしは惑星の裏側に転移させたりしません。

西川 「なんか・・・すみません」
吉田 「あの・・・会長・・・悪い人じゃありません・・・」
西川 「そうです。中村正義まさよし、名前のとおり正義感の強い人です」
アンナ「はい。わかっています。きっと日本に帰りたくないほど、
    ツアーが楽しかったということですよね。
    わたしとしては嬉しいです」

アンナ「あ、中村さんには渡しそびれましたが、これお土産です。
    中村さんにも渡してください。中にお菓子が入っています」

 わたしは、持ち手がついた紙製の箱を3個、西川さんと吉田さんに渡しました。
 中に入っているのは、恐竜型のアイシングビスケットです。

西川 「あの、異世界ツアー楽しかったです。こんなに楽しかったのは、
    人生で初めてかもしれない・・・また申し込みします」
アンナ「はい。」
吉田 「私も・・・楽しかった・・・こんなに・・・おしゃべりしたの
    ・・・初めて・・・また・・・異世界に・・・来たい・・・
    アンナさん・・・ありがとう」
アンナ「はい。こちらこそ、ありがとうございました」

アンナ「それでは、お二人を日本に送還します。よろしいですか?」

 二人がうなずきます。

アンナ「送還」

 西川さんと吉田さんは帰国しました。

 今夜も星がきれいです。

アンナ「陽子さん、中に入りましょう」
陽子 「はい」



 異世界恐竜ツアーは、無事に終了しました。
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