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140 恐竜ツアー初日です 8(別視点)
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* 別視点 大学生 side *
ここは飛行島にあるコテージ2階の客室。
西川と吉田は風呂が終わり、三人で話をしている。
中村「恐竜の映像を確認するぞ」
西川「はい」
吉田「はい」
中村「スマホの空き容量が少ない。まずいな」
西川「僕、ノートPC持ってきました。データを移しましょう。」
中村「そうか、よかった。吉田もスマホのデータを移せ」
吉田「はい」
中村「データを全て移し終えたら、パソコンの画面で見るぞ」
西川「はい」
*
中村「これでスマホのストレージに余裕ができた。
よし、アンナが撮影した映像を再生してくれ」
西川「はい」
再生。
西川「よく撮れてますね」
中村「ああ、色々なアングルから撮影している。見ているだけで
楽しいし、資料価値も高い。さすがだな」
*
三人は、視聴、考察、反省会などを2時間ほど行い、終了した。
吉田は1階の客室に向かった。
三人は、それぞれベッドに入った。
* * *
* 別視点 西川 side *
今日は楽しかった。充実した1日だった。高校生ときは、こんなにワクワクすることはなかった気がする。大学にもそれほど期待はしていなかった。
恐竜同好会に入ってよかったよ。異世界に来ることが出来たし、本物の恐竜を間近で見ることも出来た。
僕は元々遺伝学や生命進化に興味があった。恐竜だけに関心がある訳ではなかった。
大学に入学して少し経ったある日、恐竜同好会の中村会長に勧誘された。その時、会長の隣に吉田さんがいた。可愛いと思った。吉田さんがいるなら同好会に入ってもいいかな。そう思った。恐竜にも少しは興味あったし。
同好会に入って、想定外だったのは吉田さんに関して。吉田さんは無口だ。会話が続かない。間が持てない。でも中村会長の彼女ではないので安心した。会話が少なくても吉田さんと一緒にいるだけで楽しかった。
吉田さんは、いわゆるコミュ障だ。僕は吉田さんとの会話の仕方を色々と変えてみた。そして彼女が返事をするだけで済むように会話を工夫した。少しずつ吉田さんの笑顔が増えた気がする。僕はうれしかった。
吉田さんは、僕のことをどう思っているのかな。
今日は恐竜に夢中であまり話せていない。明日は今日より余裕が持てると思う。積極的に吉田さんへ声をかけよう。明日が楽しみだ。
* * *
* 別視点 吉田 side *
今日は楽しかった。まさか本当に異世界に来ることができるとは思っていなかったよ。お金を準備していて正解だった。それに恐竜同好会に入ってよかった。同好会に入っていなければ、異世界に来ることも恐竜を見ることもできなかった。
今日、間近で見た恐竜は本当にすごかったよ。中村会長が熱く語る気持ちが初めてわかった。
私は元々恐竜に興味はなかった。大学に入学したのだって、親がうるさいから仕方なく受験しただけ。不合格になれば親は諦めるだろうと思ったけど、受験は合格した。いま思えば合格してよかったよ。
興味がない恐竜同好会に入ったきっかけは、中村会長の勧誘だった。入学式の直後に声をかけられた。会長は一方的に恐竜のことを熱く語った。私が無言でもお構いなし。家族以外で私に長時間話しかけた人は会長が初めてよね。高校生のときに、こんな人はいなかった。高校は本当に辛かった。授業は話を聞くだけだから楽だけど、休み時間はいやだった。いつもトイレの中にいた。
高校に比べれば大学はとても楽しい。同好会では二人が普通に話しかけてくれる。授業以外に私の居場所がある。
実は、私がおしゃべりなのは家族以外知らない。ただし脳内会話をしているだけ。あと脳内での独り言。声に出しての会話は勇気がいる。相手にどう思われるのか不安だし、何より怖い。同好会の二人は、私が無口でも全然気にしない。男子は素直だから会話は楽ね。女子は裏表があったりするから、なんだか怖い。恐竜同好会が男子だけで本当によかった。
最近、私も恐竜に興味が湧いてきた。中村会長の影響ね。会長はティラノサウルスなどの肉食恐竜が好きだけど、私が好きなのは草食恐竜。特に好きなのは、ステゴサウルスとトリケラトプス。なんか全体の形が好き。
中村会長の話を聞いていると勉強になる。でも、恐竜以外の会話もしたい。普通の男女がする、普通の会話。
中村会長は私のこと、どう思っているのかな。
私の方から会長に声をかけるにはどうすればいいかな。
私は客室を魔法ですこし明るくした。スマホを取り出して、質問や会話の内容を入力した。これを見ながら会話をすればいい。文章を読むように、スマホを見ながら中村会長と会話をしてみよう。
普通の男女みたいな会話ができるかもしれない。明日が楽しみ。
* * *
* 別視点 中村 side *
今日はマジで楽しかった。本物の恐竜だぜ。異世界半端ねえ。こんなに充実した日は初めてかもしれないな。恐竜オタクの変な先輩が卒業して、俺にも運が向いて来た。
しかし異世界ツアーが本物だとは夢にも思わなかったぜ。
ああ、こんなことなら集合時間を変更するんじゃなかった。異世界ツアーは詐欺だと思っていたからな。朝早く起きるのが面倒だった。だから集合時間を6時から10時に変更してもらった。俺はバカだった。ちくしょう、4時間も損をした。タイムマシンで朝に戻って呑気に寝ているオレを叩き起こしてやりたい。
でも過ぎてしまったことを悔やんでも仕方がない。まだ2日ある。残りの2日間は思いっきり楽しむぞ。
明日はどんな恐竜な会えるのか、楽しみだぜ。
* * *
ツアー客の三人は、明日を期待しながら眠りについた。
恐竜ツアー初日が終了した。
ここは飛行島にあるコテージ2階の客室。
西川と吉田は風呂が終わり、三人で話をしている。
中村「恐竜の映像を確認するぞ」
西川「はい」
吉田「はい」
中村「スマホの空き容量が少ない。まずいな」
西川「僕、ノートPC持ってきました。データを移しましょう。」
中村「そうか、よかった。吉田もスマホのデータを移せ」
吉田「はい」
中村「データを全て移し終えたら、パソコンの画面で見るぞ」
西川「はい」
*
中村「これでスマホのストレージに余裕ができた。
よし、アンナが撮影した映像を再生してくれ」
西川「はい」
再生。
西川「よく撮れてますね」
中村「ああ、色々なアングルから撮影している。見ているだけで
楽しいし、資料価値も高い。さすがだな」
*
三人は、視聴、考察、反省会などを2時間ほど行い、終了した。
吉田は1階の客室に向かった。
三人は、それぞれベッドに入った。
* * *
* 別視点 西川 side *
今日は楽しかった。充実した1日だった。高校生ときは、こんなにワクワクすることはなかった気がする。大学にもそれほど期待はしていなかった。
恐竜同好会に入ってよかったよ。異世界に来ることが出来たし、本物の恐竜を間近で見ることも出来た。
僕は元々遺伝学や生命進化に興味があった。恐竜だけに関心がある訳ではなかった。
大学に入学して少し経ったある日、恐竜同好会の中村会長に勧誘された。その時、会長の隣に吉田さんがいた。可愛いと思った。吉田さんがいるなら同好会に入ってもいいかな。そう思った。恐竜にも少しは興味あったし。
同好会に入って、想定外だったのは吉田さんに関して。吉田さんは無口だ。会話が続かない。間が持てない。でも中村会長の彼女ではないので安心した。会話が少なくても吉田さんと一緒にいるだけで楽しかった。
吉田さんは、いわゆるコミュ障だ。僕は吉田さんとの会話の仕方を色々と変えてみた。そして彼女が返事をするだけで済むように会話を工夫した。少しずつ吉田さんの笑顔が増えた気がする。僕はうれしかった。
吉田さんは、僕のことをどう思っているのかな。
今日は恐竜に夢中であまり話せていない。明日は今日より余裕が持てると思う。積極的に吉田さんへ声をかけよう。明日が楽しみだ。
* * *
* 別視点 吉田 side *
今日は楽しかった。まさか本当に異世界に来ることができるとは思っていなかったよ。お金を準備していて正解だった。それに恐竜同好会に入ってよかった。同好会に入っていなければ、異世界に来ることも恐竜を見ることもできなかった。
今日、間近で見た恐竜は本当にすごかったよ。中村会長が熱く語る気持ちが初めてわかった。
私は元々恐竜に興味はなかった。大学に入学したのだって、親がうるさいから仕方なく受験しただけ。不合格になれば親は諦めるだろうと思ったけど、受験は合格した。いま思えば合格してよかったよ。
興味がない恐竜同好会に入ったきっかけは、中村会長の勧誘だった。入学式の直後に声をかけられた。会長は一方的に恐竜のことを熱く語った。私が無言でもお構いなし。家族以外で私に長時間話しかけた人は会長が初めてよね。高校生のときに、こんな人はいなかった。高校は本当に辛かった。授業は話を聞くだけだから楽だけど、休み時間はいやだった。いつもトイレの中にいた。
高校に比べれば大学はとても楽しい。同好会では二人が普通に話しかけてくれる。授業以外に私の居場所がある。
実は、私がおしゃべりなのは家族以外知らない。ただし脳内会話をしているだけ。あと脳内での独り言。声に出しての会話は勇気がいる。相手にどう思われるのか不安だし、何より怖い。同好会の二人は、私が無口でも全然気にしない。男子は素直だから会話は楽ね。女子は裏表があったりするから、なんだか怖い。恐竜同好会が男子だけで本当によかった。
最近、私も恐竜に興味が湧いてきた。中村会長の影響ね。会長はティラノサウルスなどの肉食恐竜が好きだけど、私が好きなのは草食恐竜。特に好きなのは、ステゴサウルスとトリケラトプス。なんか全体の形が好き。
中村会長の話を聞いていると勉強になる。でも、恐竜以外の会話もしたい。普通の男女がする、普通の会話。
中村会長は私のこと、どう思っているのかな。
私の方から会長に声をかけるにはどうすればいいかな。
私は客室を魔法ですこし明るくした。スマホを取り出して、質問や会話の内容を入力した。これを見ながら会話をすればいい。文章を読むように、スマホを見ながら中村会長と会話をしてみよう。
普通の男女みたいな会話ができるかもしれない。明日が楽しみ。
* * *
* 別視点 中村 side *
今日はマジで楽しかった。本物の恐竜だぜ。異世界半端ねえ。こんなに充実した日は初めてかもしれないな。恐竜オタクの変な先輩が卒業して、俺にも運が向いて来た。
しかし異世界ツアーが本物だとは夢にも思わなかったぜ。
ああ、こんなことなら集合時間を変更するんじゃなかった。異世界ツアーは詐欺だと思っていたからな。朝早く起きるのが面倒だった。だから集合時間を6時から10時に変更してもらった。俺はバカだった。ちくしょう、4時間も損をした。タイムマシンで朝に戻って呑気に寝ているオレを叩き起こしてやりたい。
でも過ぎてしまったことを悔やんでも仕方がない。まだ2日ある。残りの2日間は思いっきり楽しむぞ。
明日はどんな恐竜な会えるのか、楽しみだぜ。
* * *
ツアー客の三人は、明日を期待しながら眠りについた。
恐竜ツアー初日が終了した。
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