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132 同好会 (別視点)
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* 別視点 大学生 side *
ここは、某大学の食堂。昼過ぎ。
三人の学生がスマホを見ながら話をしていた。
恐竜同好会
中村正義 大学3年生 (同好会の会長)
西川隆史 大学1年生
吉田美加 大学1年生
中村「プレシオサウルスは恐竜じゃない、首長竜だ。
プテラノドンも恐竜じゃない、翼竜だ。
こいつら恐竜の定義も知らねえのか。
まったく、これだから素人は困るんだ」
西川「会長、情報の出どころがわかりました」
中村「見せろ・・・異世界ツアー? なんだこれ?
恐竜と花嫁? 恐竜なめてんのか、こいつら」
西川「滝の写真を見てください」
中村「またウェディングドレスだよ」
西川「写真の足元を見てください」
中村「なんだこれ? 足元に地面がねえぞ。
へったくそな合成しやがって」
西川「このアンナっていう人がツアーガイドをしているみたいです」
中村「なにがアンナだ。こいつ絶対オッサンだろ」
西川「そうなんですか?」
中村「若い女のふりして、人を騙してんだよ」
西川「どうします?」
中村「申し込みしろ。三人で」
吉田「わ、私も?」(小声)
中村「そうだ。女がいれば相手は油断する」
吉田「・・・・・・」
中村「恐竜で人を騙すのは許せん。
捕まえて化けの皮を剥いでやる」
* * *
数日後。
恐竜型の遊具がある公園。午前9時55分。
ウイルス流行中なので、公園にいるのはマスクを着けた大学生三人のみ。
中村「本当にここで待ち合わせなのか?」
西川「はい」
中村「10時に現れるのは、どうせオッサンだろ」
西川「緊張しますね」
吉田「・・・・・・」
*
午前10時。
アンナ「ようこそ、異世界へ。
わたしは、異世界ツアーガイドのアンナと申します。
皆さんを異世界へご案内します」
三人 「ああああああ・・・」
中村 「後ろー、後ろー」
アンナ「後ろにいるのは、ティラノサウルスです。
魔法の結界があるので大丈夫ですよ」
恐竜 「グォー・・・」
三人 「・・・・・・・・」
アンナ「それより、撮影しないんですか?」
三人 『はっ!』(無言)
中村 「スマホを出せ。すぐに撮影しろ。動画だ」
西川 「はい」
中村 「西川、もっと前に行け。
恐竜だけ撮っても大きさがわかんねえだろ」
西川 「でも・・・」
中村 「結界があるから平気だ。いいから行け」
西川 「はい」
中村 「吉田、おまえは違うアングルで撮れ」
吉田 「はい」(小声)
中村 「すげえ。でけえ。人と比べると大きさがよくわかる」
*
10分後。
中村 「ティラノが逃げるぞ。追いかけろ」
西川 「ダメです。結界があるので向こうに行けません」
中村 「しょうがねえ・・・集まれ。動画を確認するぞ」
西川 「はい」
中村 「西川、再生しろ」
西川 「はい」
中村 「皮膚の質感や各部位もよく撮れてる」
西川 「茶色の皮膚は、予想の範囲内ですね」
中村 「ティラノに羽毛は無かったな」
西川 「はい」
中村 「それから、ティラノ、吠えたな」
西川 「はい。恐竜は爬虫類なので吠えない
という説がありましたが、吠えましたね」
中村 「ああ。恐竜は鳥に近いからな。
吠える可能性があると俺は思っていた」
アンナ「よろしいでしょうか」
中村 「今いいとこなんだよ。待ってくれ」
アンナ「先ほどの撮影時に、勝手ながら検疫を実施しました。
三人共、ウイルスの感染がありませんので、
マスクを外しても大丈夫ですよ」
中村 「そうか」
アンナ「それから、この異世界ツアーは前金制になっております。
代金の支払いをお願いしま。」
中村 「代金・・・」
西川 「前金制ですね。わかりました」
中村 「おまえら、カネを持って来たのか?」
西川 「はい」
吉田 「 」(無言で頷く)
中村 「・・・・・・」
アンナ「西川さんと吉田さん、それぞれ15万円ずつ
確かにいただきました。ありがとうございます。
中村さんも代金を用意していますよね」
中村 「カネは・・・その・・・」
アンナ「お金を用意していないと言うことですか?」
中村 「カネは・・・用意してない」
アンナ「そうですか。それでは、今回の異世界恐竜ツアーは、
お二人ということで、中村さんには帰国していただきます」
中村 「ちょ、ちょっと待ってくれー」
ここは、某大学の食堂。昼過ぎ。
三人の学生がスマホを見ながら話をしていた。
恐竜同好会
中村正義 大学3年生 (同好会の会長)
西川隆史 大学1年生
吉田美加 大学1年生
中村「プレシオサウルスは恐竜じゃない、首長竜だ。
プテラノドンも恐竜じゃない、翼竜だ。
こいつら恐竜の定義も知らねえのか。
まったく、これだから素人は困るんだ」
西川「会長、情報の出どころがわかりました」
中村「見せろ・・・異世界ツアー? なんだこれ?
恐竜と花嫁? 恐竜なめてんのか、こいつら」
西川「滝の写真を見てください」
中村「またウェディングドレスだよ」
西川「写真の足元を見てください」
中村「なんだこれ? 足元に地面がねえぞ。
へったくそな合成しやがって」
西川「このアンナっていう人がツアーガイドをしているみたいです」
中村「なにがアンナだ。こいつ絶対オッサンだろ」
西川「そうなんですか?」
中村「若い女のふりして、人を騙してんだよ」
西川「どうします?」
中村「申し込みしろ。三人で」
吉田「わ、私も?」(小声)
中村「そうだ。女がいれば相手は油断する」
吉田「・・・・・・」
中村「恐竜で人を騙すのは許せん。
捕まえて化けの皮を剥いでやる」
* * *
数日後。
恐竜型の遊具がある公園。午前9時55分。
ウイルス流行中なので、公園にいるのはマスクを着けた大学生三人のみ。
中村「本当にここで待ち合わせなのか?」
西川「はい」
中村「10時に現れるのは、どうせオッサンだろ」
西川「緊張しますね」
吉田「・・・・・・」
*
午前10時。
アンナ「ようこそ、異世界へ。
わたしは、異世界ツアーガイドのアンナと申します。
皆さんを異世界へご案内します」
三人 「ああああああ・・・」
中村 「後ろー、後ろー」
アンナ「後ろにいるのは、ティラノサウルスです。
魔法の結界があるので大丈夫ですよ」
恐竜 「グォー・・・」
三人 「・・・・・・・・」
アンナ「それより、撮影しないんですか?」
三人 『はっ!』(無言)
中村 「スマホを出せ。すぐに撮影しろ。動画だ」
西川 「はい」
中村 「西川、もっと前に行け。
恐竜だけ撮っても大きさがわかんねえだろ」
西川 「でも・・・」
中村 「結界があるから平気だ。いいから行け」
西川 「はい」
中村 「吉田、おまえは違うアングルで撮れ」
吉田 「はい」(小声)
中村 「すげえ。でけえ。人と比べると大きさがよくわかる」
*
10分後。
中村 「ティラノが逃げるぞ。追いかけろ」
西川 「ダメです。結界があるので向こうに行けません」
中村 「しょうがねえ・・・集まれ。動画を確認するぞ」
西川 「はい」
中村 「西川、再生しろ」
西川 「はい」
中村 「皮膚の質感や各部位もよく撮れてる」
西川 「茶色の皮膚は、予想の範囲内ですね」
中村 「ティラノに羽毛は無かったな」
西川 「はい」
中村 「それから、ティラノ、吠えたな」
西川 「はい。恐竜は爬虫類なので吠えない
という説がありましたが、吠えましたね」
中村 「ああ。恐竜は鳥に近いからな。
吠える可能性があると俺は思っていた」
アンナ「よろしいでしょうか」
中村 「今いいとこなんだよ。待ってくれ」
アンナ「先ほどの撮影時に、勝手ながら検疫を実施しました。
三人共、ウイルスの感染がありませんので、
マスクを外しても大丈夫ですよ」
中村 「そうか」
アンナ「それから、この異世界ツアーは前金制になっております。
代金の支払いをお願いしま。」
中村 「代金・・・」
西川 「前金制ですね。わかりました」
中村 「おまえら、カネを持って来たのか?」
西川 「はい」
吉田 「 」(無言で頷く)
中村 「・・・・・・」
アンナ「西川さんと吉田さん、それぞれ15万円ずつ
確かにいただきました。ありがとうございます。
中村さんも代金を用意していますよね」
中村 「カネは・・・その・・・」
アンナ「お金を用意していないと言うことですか?」
中村 「カネは・・・用意してない」
アンナ「そうですか。それでは、今回の異世界恐竜ツアーは、
お二人ということで、中村さんには帰国していただきます」
中村 「ちょ、ちょっと待ってくれー」
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