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119 代官 1(別視点)
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* 別視点 代官ポール side *
ここはワウラの街、馬車の中。
馬車に乗っているのは新任の代官ポール。
ポールは、カベスカ公爵家のの三男、21歳。
王城からこの街に派遣され、先日、代官として着任したばかりであった。
ポール・カベスカは、馬車で冒険者ギルドに向かっている。
* * *
ここが冒険者ギルドか。行くとしよう。
ヒルダ「お代官様でしょうか?」
ポール「そうだ」
ヒルダ「奥の部屋にご案内いたします」
ポール「その前に掲示板が見たい」
ヒルダ「かしこまりました。ご案内いたします」
ヒルダ「こちらでございます」
ギルドの掲示板を見れば街のことがよくわかると友人から聞いていたから、見ておく必要がある。
ポール「宿、食堂、大工の求人が多いな」
ヒルダ「はい。街を訪れる人が増えたので、どこも忙しいです。
それと宿が足りないので、現在数件の宿を建築しております」
ポール「そうか」
ポール「清掃の依頼は、前の領主が出したものか?」
ヒルダ「いいえ。アンナという女性冒険者の依頼です」
ポール「アンナ? ひょっとして黒髪の女性か?」
ヒルダ「はい。そうです」
ポール「・・・・・・」
ポール「魔物討伐の依頼が少ない」
ヒルダ「はい。アンナさんが定期的に討伐しているので、
魔物の被害はほとんどありません」
ポール「そうか」
ヒルダ「詳しい話は後ほど」
ポール「わかった。ギルドマスターと話がしたい」
ヒルダ「はい。ご案内します」
*
コン、コン、コン。
ヒルダ「お代官様をお連れしました」
テッド「どうぞ」
テッド「ギルドマスターのテッドです」
ポール「代官のポール・ベスカだ」
テッド「おかけください。」
私は国家の方針をギルドマスターに説明をした。
ワウラ伯爵が廃爵になったこと。この領が王家の直轄領になったことなど。
ポール「この街について、話を聞きたい」
私はギルドマスターから街の状況を聞いた。
*
コン、コン、コン。
ヒルダ「ヒルダです」
テッド「入れ」
ヒルダ「失礼いたします。コーヒーとお菓子です」
ポール「コーヒー? 随分黒い」
ヒルダ「苦味がありますので砂糖とクリームを入れて、お飲みください」
紅茶とは全く違う香りだ。
ごくっ。
ポール「うまい」
ヒルダ「ありがとうございます」
ポール「これは焼き菓子か」
私は猫の形をした菓子を食べた。
うまい。
ポール「これはチョコレートの菓子か?」
ヒルダ「はい。そうです。」
ポール「この菓子はどこで手に入れた?」
ヒルダ「街の宿屋、猫耳亭です。
チョコレートは商業ギルドでも取り扱っております」
ポール「そうか。わかった」
アンナ、チョコレート・・・なるほど。
王都では幻の菓子と呼ばれているチョコレートが、この街では簡単に手に入るようだ。
私はコーヒーと菓子を堪能しながらテッドの話を聞いた。
*
ポール「次は、街の治安と盗賊について聞きたい。」
テッド「はい。治安は良くなりました。
以前いた不良の集団は、いなくなりました。
街道の盗賊はアンナが捕縛して以降、
出没したという話を聞きません」
ポール「そうか。聞きたいことは以上だ。ギルドから何かあるか?」
デッド「はい。領主様が失踪してから、
衛兵の給金を冒険者ギルドが立て替えております」
ポール「そうか。屋敷に請求書を回してくれ」
デッド「はい。お願いします」
ポール「領主不在の間、よくやってくれた。感謝する」
冒険者ギルドの話でこの街のことはある程度わかった。
次は商業ギルドに向うとするか。
* * *
ここが商業ギルドか。訪れる人が多い。扉の外にまで行列ができている。
アポイントメントは取ってある。行列に並ぶ必要はない。中に入るか。
マギー「お代官様でしょうか?」
ポール「そうだ」
マギー「ご案内いたします」
ポール「たのむ」
*
コン、コン、コン。
マギー「お代官様をお連れしました」
ジーナ「どうぞ」
ジーナ「ギルドミストレスのジーナです」
ポール「代官のポール・カベスカだ」
ジーナ「どうぞ。おかけください」
ポール「商業ギルドを訪れる人が多いが、まずはそれから話を聞きたい」
私は、ジーナから街の状況や技術特許、料理のレシピについての説明を聞いた。
どおりで人が多いわけだ。
*
コン、コン、コン。
マギー「マギーです」
ジーナ「どうぞ」
ワゴンで茶菓子が運ばれてきた。
マギー「失礼します。コーヒーとお菓子をお持ちしました」
ポール「コーヒーは、先ほど飲んだので知っているが、
その菓子はなんだ?」
マギー「チーズケーキでございます」
ポール「チーズ? あの臭い乳製品で菓子が作れるのか?」
ジーナ「とても美味しゅうございます」
ポール「そうか」
ジーナ「その小さなアンナスプーンで切って、お召し上がりください」
ポール「わかった」
ぱくっ。
ポール「うまい・・・」
ここはワウラの街、馬車の中。
馬車に乗っているのは新任の代官ポール。
ポールは、カベスカ公爵家のの三男、21歳。
王城からこの街に派遣され、先日、代官として着任したばかりであった。
ポール・カベスカは、馬車で冒険者ギルドに向かっている。
* * *
ここが冒険者ギルドか。行くとしよう。
ヒルダ「お代官様でしょうか?」
ポール「そうだ」
ヒルダ「奥の部屋にご案内いたします」
ポール「その前に掲示板が見たい」
ヒルダ「かしこまりました。ご案内いたします」
ヒルダ「こちらでございます」
ギルドの掲示板を見れば街のことがよくわかると友人から聞いていたから、見ておく必要がある。
ポール「宿、食堂、大工の求人が多いな」
ヒルダ「はい。街を訪れる人が増えたので、どこも忙しいです。
それと宿が足りないので、現在数件の宿を建築しております」
ポール「そうか」
ポール「清掃の依頼は、前の領主が出したものか?」
ヒルダ「いいえ。アンナという女性冒険者の依頼です」
ポール「アンナ? ひょっとして黒髪の女性か?」
ヒルダ「はい。そうです」
ポール「・・・・・・」
ポール「魔物討伐の依頼が少ない」
ヒルダ「はい。アンナさんが定期的に討伐しているので、
魔物の被害はほとんどありません」
ポール「そうか」
ヒルダ「詳しい話は後ほど」
ポール「わかった。ギルドマスターと話がしたい」
ヒルダ「はい。ご案内します」
*
コン、コン、コン。
ヒルダ「お代官様をお連れしました」
テッド「どうぞ」
テッド「ギルドマスターのテッドです」
ポール「代官のポール・ベスカだ」
テッド「おかけください。」
私は国家の方針をギルドマスターに説明をした。
ワウラ伯爵が廃爵になったこと。この領が王家の直轄領になったことなど。
ポール「この街について、話を聞きたい」
私はギルドマスターから街の状況を聞いた。
*
コン、コン、コン。
ヒルダ「ヒルダです」
テッド「入れ」
ヒルダ「失礼いたします。コーヒーとお菓子です」
ポール「コーヒー? 随分黒い」
ヒルダ「苦味がありますので砂糖とクリームを入れて、お飲みください」
紅茶とは全く違う香りだ。
ごくっ。
ポール「うまい」
ヒルダ「ありがとうございます」
ポール「これは焼き菓子か」
私は猫の形をした菓子を食べた。
うまい。
ポール「これはチョコレートの菓子か?」
ヒルダ「はい。そうです。」
ポール「この菓子はどこで手に入れた?」
ヒルダ「街の宿屋、猫耳亭です。
チョコレートは商業ギルドでも取り扱っております」
ポール「そうか。わかった」
アンナ、チョコレート・・・なるほど。
王都では幻の菓子と呼ばれているチョコレートが、この街では簡単に手に入るようだ。
私はコーヒーと菓子を堪能しながらテッドの話を聞いた。
*
ポール「次は、街の治安と盗賊について聞きたい。」
テッド「はい。治安は良くなりました。
以前いた不良の集団は、いなくなりました。
街道の盗賊はアンナが捕縛して以降、
出没したという話を聞きません」
ポール「そうか。聞きたいことは以上だ。ギルドから何かあるか?」
デッド「はい。領主様が失踪してから、
衛兵の給金を冒険者ギルドが立て替えております」
ポール「そうか。屋敷に請求書を回してくれ」
デッド「はい。お願いします」
ポール「領主不在の間、よくやってくれた。感謝する」
冒険者ギルドの話でこの街のことはある程度わかった。
次は商業ギルドに向うとするか。
* * *
ここが商業ギルドか。訪れる人が多い。扉の外にまで行列ができている。
アポイントメントは取ってある。行列に並ぶ必要はない。中に入るか。
マギー「お代官様でしょうか?」
ポール「そうだ」
マギー「ご案内いたします」
ポール「たのむ」
*
コン、コン、コン。
マギー「お代官様をお連れしました」
ジーナ「どうぞ」
ジーナ「ギルドミストレスのジーナです」
ポール「代官のポール・カベスカだ」
ジーナ「どうぞ。おかけください」
ポール「商業ギルドを訪れる人が多いが、まずはそれから話を聞きたい」
私は、ジーナから街の状況や技術特許、料理のレシピについての説明を聞いた。
どおりで人が多いわけだ。
*
コン、コン、コン。
マギー「マギーです」
ジーナ「どうぞ」
ワゴンで茶菓子が運ばれてきた。
マギー「失礼します。コーヒーとお菓子をお持ちしました」
ポール「コーヒーは、先ほど飲んだので知っているが、
その菓子はなんだ?」
マギー「チーズケーキでございます」
ポール「チーズ? あの臭い乳製品で菓子が作れるのか?」
ジーナ「とても美味しゅうございます」
ポール「そうか」
ジーナ「その小さなアンナスプーンで切って、お召し上がりください」
ポール「わかった」
ぱくっ。
ポール「うまい・・・」
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