異世界ツアーしませんか?

ゑゐる

文字の大きさ
上 下
80 / 243

080 猫耳亭1 (別視点)

しおりを挟む
* 別視点 パティ side *
 
 ここは、ワウラの街の入口。

 パティは、猫耳亭ザックの妹。隣街のカーサに住んでいる。猫獣人20歳。
 パティの夫ソニーはカーサの食堂で働いている。客は減る一方。

 最近、ワウラ料理のうわさがカーサの街に届く。
 パティは、夫からワウラの街を見てくるように言われた。
 3歳の娘ミラと共に馬車でワウラの街にやって来た。


*    *    *


パティ「街に着いたのに、まだ入れないのかしら」

 ミラは疲れて、眠っているわ。

 馬車の乗客が料理の話をしているわね。
 そんなに美味しいのかしら。ワウラの料理。

 他に、スプーン? トイレ? 透明窓? 一体なんの話かしら。
 透明窓は、板ガラスのことよね。

     *

 やっと街に入れたわ。

パティ「馬車を降りるわよ。ミラ」

 にぎやかで、人が多いわね。
 それに街がきれいね。ごみが落ちていないわ。

     *

 女神様? 神罰? 貴族? なんの話かしら。

 とにかく兄さんの宿に行きましょう。

     *

 猫耳亭に着いたわ。少し休みたいわね。

パティ「兄さん、入るわよ」
ザック「パティ、いいところに来た。あとで厨房手伝ってくれ」
パティ「なに? いきなり」

エマ 「パティさん、お久しぶりね」
パティ「お久しぶりです。エマさん」
エマ 「2年ぶりかしら。ミラちゃん大きくなったわね」
パティ「ノエルちゃんも大きくなりましたね」

エマ 「ノエル、パティ叔母おばさんとミラちゃんよ」
ノエル「こんにちは」
パティ「こんにちは。ノエルちゃん」
エマ 「いまお茶いれるから、座って」
パティ「はい」

ノエル「ミラちゃん、おかしあげる。おばちゃんもどうぞ」
パティ「ありがとう。かわいいお菓子ね」

 ぱくっ。

パティ「美味しい」

 何かしら。ビスケットの中身。初めて食べる味ね。

パティ「ミラ、これ美味しいわね」
ミラ 「うん」
パティ「エマさん、このお菓子の中身何ですか?」
エマ 「チョコレートよ」
パティ「ちょこれーと?」

 初めて聞く名前ね。
 このチョコレートどうやって作ったのかしら。想像できないわね。
 ワウラ料理のうわさは、これのことね。きっと。

エマ 「さあ、どうぞ。カフェオレよ。砂糖を入れた方が美味しいわ。
    ミラちゃんは、ミルクココアね」

 砂糖を入れる飲み物、贅沢ね。いい匂い。

パティ「美味しい」

 初めて飲む味ね。

パティ「ミルク以外に何が入っているんですか?」
エマ 「コーヒーよ」

 こーひー? 何かしら?
 ミラが飲んでいるのは、別物よね。

パティ「ミラ、お母さんにちょっとちょうだい」

ごくっ。

パティ「美味しい。何が入っているんですか?」
エマ 「ココアよ。飲むチョコレートと言った方が早いかしら」

 コーヒー、チョコレート。絶対、高級食材だわ。

パティ「どこから仕入れているんですか?」
エマ 「アンナさんから買っているわ」

 アンナさん?

エマ 「いまザックに料理を教えている人よ」

 ???

パティ「兄さんが料理を教えているのよね」
エマ 「逆よ。ザックが教わっているの」

 本当に? あの子、私より年下よね。
 やっぱり意味が・・・え?

 いま気が付いたわ。

パティ「エマさん、窓にガラス入れたの?」
エマ 「それガラスじゃないの。キララって言うのよ」

 きらら? また知らない単語ね。近く見たいわ。

パティ「高かったでしょう?」
エマ 「さあ、知らないわ。アンナさんが改装してくれたから」

 アンナさん?
 透明窓って、これのことね。

 ん? 裏庭のアレ何かしら?

パティ「エマさん、あの小さな小屋は何ですか?」
エマ 「トイレよ。見て来ていいわよ」

 といれ?
 興味あるわ。行ってみましょう。

 これ物置かしら? この小さな階段は意味があるの?
 中は・・・イス? ここに座るの?
 使い方がわかったわ。
 でもこれ、貴族が使うものかしら。初めて見るわ。
 戻って聞いてみましょう。

パティ「エマさん、アレ、どうしたんですか?」
エマ 「アンナさんが作ってくれたわ。」

 また、アンナさん?



 アンナさんって、何者かしら?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し

gari
ファンタジー
 突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。  知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。  正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。  過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。  一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。  父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!  地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……  ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!  どうする? どうなる? 召喚勇者。  ※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。  

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~

丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。 一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。 それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。 ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。 ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。 もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは…… これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

RD令嬢のまかないごはん

雨愁軒経
ファンタジー
辺境都市ケレスの片隅で食堂を営む少女・エリカ――またの名を、小日向絵梨花。 都市を治める伯爵家の令嬢として転生していた彼女だったが、性に合わないという理由で家を飛び出し、野望のために突き進んでいた。 そんなある日、家が勝手に決めた婚約の報せが届く。 相手は、最近ケレスに移住してきてシアリーズ家の預かりとなった子爵・ヒース。 彼は呪われているために追放されたという噂で有名だった。 礼儀として一度は会っておこうとヒースの下を訪れたエリカは、そこで彼の『呪い』の正体に気が付いた。 「――たとえ天が見放しても、私は絶対に見放さないわ」 元管理栄養士の伯爵令嬢は、今日も誰かの笑顔のためにフライパンを握る。 大さじの願いに、夢と希望をひとつまみ。お悩み解決異世界ごはんファンタジー!

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

処理中です...