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ゑゐる

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077 カレーです 2

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 ここは、飛行島のコテージです。

 わたしはダイニングで、マオにミルクをあげています。

 夕食が出来たようです。

アンナ「夕食はアイテムボックスに入れてください」
陽子 「はい。わかりまし。」

 わたしは、マオをペットサークルに入れました。

 カレー作りを始めます。

陽子 「料理を作るのですか」
アンナ「はい。陽子さんはカレーという料理を知っていますか」
陽子 「いいえ。知りません」

 カレーが日本で普及したのは、戦後だったはずです。
 前世のわたしが知らない料理です。

アンナ「これからカレーを作ります。調理を覚えてください」
陽子 「はい」

 わたしはアイテムボックスから、レトルトカレーを 4つ出しました。
 100円コンビニでお取り寄せしたものです。

 それぞれ器に入れて、魔法で温めます。
 パッケージは残しておきます。
 味見をしました。味がまろやかなもの、スパイシーなものなど、違いがあります。

 サンプルのカレーは一旦収納して実際にカレーを作っていきます。
 具材は、牛肉、じゃが芋、ニンジン、玉ねぎです。
 それらを鍋で炒めます。次に水を加えるのですが、今回ルウは使わないので、ブイヨンで煮込みます。

 その間に、ルウを作ります。
 フライパンにバターを入れて弱火で溶かし、小麦粉を入れて、ヘラでかき混ぜます。
 なめらかになったらカレーの香辛料を加えてかき混ぜ、香りが出たら火を止めて冷まします。

     *

 具材に火が通ったので、火を止めて食べてみました。うす味のポトフです。

 わたしは、小さな片手鍋にスープ、具材、ショウガ、ニンニク、ルウを入れて、火にかけました。
 とろみがついたら完成です。
 味見をしました。
 味がうすいので、調味料を少しずつ加えます。

 何かが足りません。味に深みがありません。
 わたしはレトルトパッケージの原材料を確認して、まだ入れていないものを探します。
 ありました。

 フォンドボー、ローストオニオン、チャツネ。

 フォンドボーを入れれば美味しいのはわかります。
 しかしこれを作るには、丸二日煮込む必要があります。
 ザックさんにそんなことさせられません。

 ローストオニオンは飴色玉ねぎのことでしょうか。
 チャツネがわからないのでネットで検索しました。
 果物や野菜を煮詰めたジャムのようなものと書かれていました。
 マンゴー、バナナ、りんごなどを使うようです。
 わたしは入手しやすいりんごで作ることにしました。

 玉ねぎはみじん切り、りんごはすりおろして、火にかけて煮詰めていきます。
 ハチミツも加えました。甘いにおいがします。

     *

 チャツネが出来ました。カレーに入れて、味見をします。

 美味しいですが、やや甘みが強いです。
 わたしは、無糖のココアと調味料を少し加えて味を整えました。完成です。

アンナ「陽子さん、食べてください」

 ぱくっ。

陽子 「カレー、美味しい、作り方、記録しました」

     *

 遅くなりましたが、夕食にしましょう。
 夕食はカレー・・・ではなく、陽子さんが作った和食です。
 献立は、カジキの煮付け、きんぴらごぼう、ほうれん草の胡麻和え、なめこの味噌汁です。

アンナ「いただきます」
陽子 「いただきます」

 美味しいです。これからは、異世界で毎日和食が食べられます。贅沢ですね。

     *

 夕食が終りました。

アンナ「ごちそうさまでした」
陽子 「ごちそうさまでした」


*    *    *    *    *


 翌日の朝です。

 わたしは猫耳亭の前に転移して、中に入りました。

アンナ「ノエルちゃん、おはようございます」
ノエル「おはようございます。」
アンナ「お父さんは厨房ですか?」
ノエル「うん」

 わたしは厨房に向かいました。

アンナ「ザックさん、おはようございます」
ザック「おはよう、アンナさん」
アンナ「カレーを作りに来ました」
ザック「楽しみだ」

 ザックさんは、少年のような笑顔です。

 それではカレーを作ります。

アンナ「量はどれくらい作りますか?」
ザック「昼食に出したい。多めに作ってほしい」
アンナ「わかりました」

 最初に、材料と手順の説明をしました。
 次に、具材をブイヨンで煮込み、ごはんを炊く準備をします。
 そのあとチャツネとルウを作りながら、ごはんを炊き始めます。

アンナ「チャツネとルウは日持ちするので、
    事前に作っておけば、調理の手間が省けます」
ザック「それはいい」

 具材に火が通ったので、チャツネとルウを入れます。

エマ 「いいにおいがするわね。なあに?」

 エマさんとノエルちゃんが厨房に入って来ました。

アンナ「カレーライスです」

 カレーが完成しました。
 わたしはカレーをすくって小皿に入れました。

アンナ「ザックさん、味見してください」

ザック「うまい。最高だよ」
ノエル「ノエルもたべたい」
ザック「少し早いがみんなでお昼を食べるか」
ノエル「やった」



 私たちは、昼食にします。
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