異世界ツアーしませんか?

ゑゐる

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004 異世界ツアー初日です 2

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 ここは街の外壁から出た、小さな丘の上です。

アンナ「みなさん、少し落ち着きましょう」

 わたしはアイテムボックスから、日除けの天幕、テーブル、
 人数分の椅子を出しました。

令奈 「なに? どうやったの?」
アンナ「アイテムボックスです。そこから出しました」
菜々子「すごい」
アンナ「皆さん、座ってください」

令奈 「ここ本当に異世界なのよね?」
アンナ「そうですよ」
令奈 「この世界、名前ってあるの?」
アンナ「あ・・・アウローラ、です」
秋恵 「忘れてた、みたいね」
アンナ「すみません。忘れていました。
    ちなみに、アウは世界という意味で、
    ローラは女神様の名前です」
美波 「女神様いるんだ」
アンナ「いますよ。普段は天界にいて、地上には降りてこないと思います」
菜々子「ねえ、私達も魔法が使えるの?」
アンナ「皆さんは魔力がないので本来は無理ですが、
    魔道具があれば魔法が使えます。
    その魔道具は後でお貸しします」
秋恵 「やった!」
美波 「面白そう」

 わたしはアイテムボックスから腕輪型魔道具を取り出しました。
 皆さんに配り、それぞれ名前を聞いて自己紹介を終えました。

アンナ「具体的な使い方は後で説明します。
    それまで魔法は使わないでください」
菜々子「これって、買ったらいくらするの?」
アンナ「日本円に換算すると1億円です」(うそ)
4人 「えー!」
アンナ「国宝級のアイテムですから」(うそ)
4人 「・・・・・・・・」

 『お土産にほしい』そう言うかもしれないので、うそをつきました。

アンナ「さて皆さん、異世界ツアーを開始する前に、
    魔法で健康状態を診察します。最初は、令奈さんからです」
令奈 「はい。」
アンナ「座ったままで結構です。最初にクリーンの魔法を使います。
    その際、お化粧も落ちてしまいます。すみません」

 わたしは、令奈さんに近づきます。
 
アンナ「あと、ちょっとだけ、くすぐったいです。」 

 わたしは、令奈さんに手をかざしながら・・・

アンナ「クリーン・・・鑑定」

 えっ・・・体温は36度2分ですが、いきなりですか。

アンナ「令奈さんはウイルスに感染しています」
令奈 「うそでしょう」

アンナ「令奈さんはご自分に、他の人は、令奈さんを魔道具で
    鑑定してみてください。強くイメージすれば、魔法が発動します」

四人 「鑑定」
令奈 「本当だ。感染してる」
菜々子「これが鑑定魔法。すごい」
令奈 「どうしよう」
アンナ「大丈夫です。魔法で治療できます」
令奈 「よかった」

 わたしは、令奈さんを魔法で治療するために、手をかざします。
 免疫細胞を活性化するイメージで・・・

アンナ「身体強化」

 令奈さんの体内に存在するウイルスは数が少ないです。
 わたしは、アイテムボックスから密封されたガラスの小瓶を取り出します。
 この瓶は、検疫のためにわたしが用意したものです。
 しかし早めに治療を終えたいので転移魔法も併用します。

 ウイルスに意識を集中、小瓶の中に・・・

アンナ「転移」

アンナ「治療が終わりました。皆さんもう一度鑑定してみてください」

四人 「鑑定」
菜々子「ウイルスが無くなってる」
秋恵 「すごい」
美波 「よかったね」
令奈 「よかった」

 わたしは、令奈さんにかけた身体強化の魔法を解除しました。
 そのあと、他の三人も鑑定しましたが、平熱で健康でした。
 ウイルス感染はありません。検疫終了です。
 小瓶は魔法で熱処理して、片付けました。

アンナ「これで皆さん、ウイルスに感染していないことが
    確認できました。マスクをはずしても大丈夫です」

 皆さん、マスクをはずして喜んでいます。

アンナ「ところでみなさん。ツアーの代金は用意されていますよね。
    こちらの世界は基本的に前金制になっております」

 もしお金がなければ、残念ですが強制送還するしかありません。

令奈 「みんな、おカネを出して」

 わたしは四人からおカネを受け取りました。代金を確認します。

    *

アンナ「お一人様15万円、4人分で合計60万円いただきました。
    ありがとうございます」

 異世界で初めての日本円現金収入です。

アンナ「ところで皆さん、朝食はお済みですか?」
令奈 「あたしは、食べてない」
菜々子「私も」
秋恵 「うちも」
美波 「ワタシも」

アンナ「簡単な朝食なら用意できますが、皆さん、どうしますか?」
四人 「食べたい」

 わたしは朝食を用意することにしました。実は、わたしもまだ朝食を食べていません。

     *

 朝食は、イングリッシュブレックファストと紅茶です。

 ベーコン、ソーセージ、スクランブルエッグ、フライドポテト、
 トーストを一つの皿にのせました。
 フォークだけで食べられるように、具材は切ってあります。

アンナ「一緒に食べましょう・・・いただきます」
四人 「いただきます」

 ぱくぱく・・・

菜々子「美味しい」
令奈 「美味しいね」
秋恵 「ホテルの朝食みたい」
美波 「カフェテラスで食べてるみたい」


 ポロロ、ポロロ、ポロロ・・・
 電話です。

四人 「????」
アンナ「ちょっと失礼します」

 わたしは退席します。

ローラ「その朝食、私も食べたいわ」
アンナ「普通の朝食ですよ」
ローラ「だって、楽しそうに食べているから、美味しそうなんだもの」
アンナ「わかりました」

 今日の朝食は、自分用にまとめて作ったものです。余分に作ってあるので大丈夫です。
 わたしは、アイテムボックスから料理を出しました。

アンナ「ローラは、アイテムボックスから直接料理を召喚できますか?」
ローラ「できるわよ」
アンナ「料理は余分に作っておきます。
    今後はアイテムボックスから直接料理を召喚してください」
ローラ「わかったわ」

 料理が消えました。召喚されたようです。わたしは席に戻ります。

令奈 「なんで異世界なのに電話が通じるの?」
アンナ「・・・これは通信魔法の一種なんです」
秋恵 「うちも電話・・・いや、やめておく」
美波 「そうだよ。せっかく旅行に来てるんだから、
    電話に振り回されたくないよ」
アンナ「そう言って頂けると助かります」

アンナ「食事の後は、魔道具で魔法を使ってみましましょう」
令奈 「魔法?」
四人 「やったー!」



 異世界でやってみたいこと。その1・・・「魔法」ですよね。
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