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プール終わり
しおりを挟むプールバッグの中には明らかに男児向けではないパンツが入っていた。
水色と白のチェック柄。私は当然驚いた。
しかし、その直後、考えるよりも先に手が動いた。
私はそのパンツを穿いてしまった。
なぜそんなことをしたのか、自分でも分からない。
ただ、バッグの中に「女子のもの」が入っているのは
なんとなくマズイと感じたのかもしれない。
そこから先の時間は気が気じゃなかった。
私には妹がいた。
親が自分と妹のパンツを取り違えて入れていた。
この可能性がある。
これなら大問題にはならない。少なくともクラスの中では。
しかし、そうでなければ…。
このパンツがクラスの誰かのもので、それを誰かがイタズラで
私のバッグに…。
だとしたら今私が「このパンツ」を身に着けているのは致命的だ。
クラスメイトのパンツを穿いている。この事実は曲げようがない。
あとは社会的な死を待つのみとなっていた。
いつ、だれがどの瞬間で地獄に突き落としてくるのか。
クラスメイト全員が敵に見えた。
しかし、私の心配をよそに、ごくごく平和な一日が過ぎた。
私は少しホッとしつつも、問題は解決していないことに気づいた。
「このパンツ」をどう親に説明する?
頭の中がパンツでいっぱいの放課後、帰り道。
「私のパンツ、返してくれる?」
同じクラスの笹山さんが私の耳元で言ってきた。
私は隣に人がいたことにすら気づいていなかった。
驚く私を建物の陰に押しやり、にっこり微笑んだ。
私がパンツをバッグから取り出すのを待っているようだった。
私は動揺していた。
彼女がなぜ笑っているのか、分からなかった。
しばらくして私は無言でズボンに手をかけた。
彼女は少し驚いたような顔をしたが最後まで顔はそらさなかった。
私なりに丁寧に折りたたんでパンツを差し出すと、
彼女は受け取るよりも前に、スカートの中に手を入れた。
ずりおろされたそれは紛れもなく、私のものだった。
彼女は私からパンツを受け取ると、さっさと穿いてしまった。
彼女は私をみてにやりと笑うと、すたすたと行ってしまった。
私は何も言えず、しばらく動けなかった。
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