【R15】専属執事に階段から突き落とされたのですが、どうも様子が変です。【完結】

ヨウカン

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Extra 5 乗船

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船のチケットは無事に買えたようで、フレディも私もすごくホッとした。


これで、本当に国外逃亡できる!


モンテリズベアがどんな所か分からないけれど、新しい生活を考えるだけでワクワクした。


「エリーゼ様、出航まであと1時間弱あります。
この先、暑い地域も通りますので服を買いましょう」


「はい!」


利用する人が多いのか、乗船場のすぐ隣に服屋さんがあった。


暖かそうな服から涼しそうな服まで、様々な気候に合わせた服がずらりと並んでいる。


「女性用の涼しそうな服はこの辺ですね」


軽い服がいいなと思っていたので、いくつか手に取ってみてみる。


「これが良いかな?フレディはどう思いますか?」


黄色いひらひらの袖の半袖と半ズボンのセットと、大きな花柄のワンピースを交互に自分に当ててみる。


「そうですね、エリーゼ様は大きい花柄も似合いますし、こちらの優しいクリームイエローもとても素敵です。両方買いましょう」


「本当?」


コメントがしっかり返ってくるのが嬉しい。


これが、昔のフレディだったら……


『はっ?小汚いブタのくせに、服なんて要ると思ってんのか?服に謝れよ』


くらい言いそうなのに。


面白くて、クスッと笑ってしまう。


「じゃあそうします」


「かしこまりました。
あと、船の場所によってはイブニングドレスが必要ですので……ああ、こちらです」


フレディに案内されたのは、華やかなドレスコーナー。


「なんか、露出が高いような……」


「ええ、イブニングドレスは露出があるほうが正装になりますので、そうですね、こちらはいかがですか?」


差し出されたのは、ツヤツヤした生地でできた淡いエメラルドグリーンのドレス。


「あ、確かに可愛いかも」


前の露出はそこまで高くなくて、背中だけ大きく開いているロングドレスだ。


「サテンドレスです。
とてもスタンダードな形で、見劣りもせず、様々なパーティーでも使いやすいですね。
淡い色合いもとてもお似合いです」


フレディが言うなら、そうなんだろう。


「そうなんだ、じゃあ、これにする」


「かしこまりました。
あとは、下着類を4セットほど選んでください。
私も服を調達してきます」


「うん、分かった」


ちょうど下着類が近くにあったので、物色する。


大人っぽい下着から、子供っぽい下着まで色々あるけど……


えっと、確かレイアに教えてもらった、私のサイズは……この辺かな。


A60と書かれたコーナーには色とりどりの下着がある。


うーん、どれにしよう。


下着なんだからなんでもいいんだけど。


白と水色と薄ピンクと……あ、これも可愛い。


薄い青と白のストライプ、すごい海っぽいな。


そんな感じでカゴに入れるとフレディと合流してお会計になった。


フレディは店の中にあったのだろうか、茶色いトランクも購入したようで、買ったものをトランクに詰めてもらっている。


「エリーゼ様のご決断が早くて助かりました。
これなら余裕で乗船に間に合いそうですね」


「それは良かったです」


そういえば服選びは全然迷わなかった。


レイアとの雑談の中で、なんとなくこういうのが似合うっていうイメージがあったのかもしれない。


「お食事は船にあるバーで食べましょう。
それでは、船に向かいましょうか」


「はい」


トランクを持ったフレディと一緒に乗船場に戻ると、すでに乗船が始まっていた。


その列に並んでタラップを渡り乗船する。


隣を見上げれば、短くなった髪のフレディがいる。


古い離れで隠れるように暮らしていた私が、まさか自分を10年虐め続けた執事と共に、夜の客船に乗り込むなんて、いまだに信じられないけど……


新しい人生が始まった。


どんなことが起きても、フレディと一緒ならなんとかなる気がする。


呪魔法を解いて、私も仕事ができるようになりたい!


そんな期待を胸に、私は船に乗り込むのだった。


ここから先は、きっと夢の続き……




Fin.












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