【R15】専属執事に階段から突き落とされたのですが、どうも様子が変です。【完結】

ヨウカン

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51 魔法のお勉強

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そして始まる魔法のお勉強。


「エリーゼ様、今日は魔法書の基礎である生活魔法を使ってみましょう。
今日読んでいただくのはこちらです」


机の上に置かれたのは小さな羊皮紙で、少しだけ文字が書いてある。


「一番上の行に、なんて書いてあるか読めますか?」


「……ライト?」


「はい、そうです。
これは光を出す魔法です。
主に暗いところを照らすために使います」


「ほう!」


「その下の行には、ライトを使うための説明文が書いてあります。
まずは読んで、その意味を理解してみてください」


その文字を指でなぞりながら、慎重に読んでいく。


「えっと……空間に光を出すためには、身体の中の光魔法を外に発現させる必要がある。
身体の中の魔力を光魔法に変換して、ライトと唱える……光魔法の属性値は1から使用可能?」


えっと……?


よく分からない。


「魔力を光魔法にするというのはイメージで構いません。
具体的に何かしているわけではないですから、そうしたいと思ってライトと唱えてみてください。
人は皆、光魔法の属性1以上で生まれますので、最後の一文はあまり気にされなくて大丈夫です」


「うーん……なんとなく、分かりました。
えっと、イメージして唱えるんですよね?」


不安げにしていると、フレディはにっこり微笑む。


「まずは、私がお手本をお見せしましょうか?」


「お願いします!」


見せてくれるのはありがたい。


「ライト」


すると、フレディの頭上に小さな光の玉が浮いた。


「おお~!すごい!」


眩い光を放つ球体は綺麗だった。


これが生活魔法……!


回復魔法以外を目にすることが無かったので、感動してしまう。


「この魔法は一定時間経過すると勝手に消えます。
消費魔力は1なので、恐らくエリーゼ様でも使えるはずです」


「やってみます!」


嬉しさに胸が高鳴る。


初めて魔法が使えるかもしれない!


そんな日が来るなんて、夢みたいで……


「えっと……」


集中して、自分の魔力を光魔法に変えるイメージを持って……


「ライト!」


そう唱えた瞬間、私の視界は真っ黒に塗りつぶされた。



























「……リーゼ様、エリーゼ様……!」


身体をゆすられて、目が覚める。


「え…………?」


「ああ、良かった。
目が覚めたのですね」


何が起きたの?


あたりを見てみると、ベッド脇に安堵の表情を浮かべるフレディがいる。


なんで私、ベッドに寝ているの?


服は水色のワンピース。


「あれ?私……」


「魔法の勉強中に倒れられました」


「あ……!」


唱えた瞬間から後の記憶がない。


「エリーゼ様に、先程起こったことをお伝えしなければなりません。
ですが、とてもショックな内容なので、心の準備をしておく必要があります」



「え……」



ここで、なんとなく分かった。


やっぱり私には、魔法が使えなかったんだって。



「そっか……大丈夫です。
なんとなく、分かってます」

 

私は、ダメだったんだ。


「先に一つだけ、伝えたいことがあります。
私はエリーゼ様にだけお仕えしています。
決してアイネリス家に仕えているわけではありません」


「え?急にどうしたんですか?」


思いもよらない話だった。


「いえ、それを知っておいていただきたかったのです。
その上で、聞いていただきたい」


「わ……かりました」


「エリーゼ様が魔法を唱えた瞬間に、首と両手首と両足首に何かの模様が浮かびました。
そして、鎖骨の下の胸の中心にある術式が浮かび上がったのです」


「え……?」


想像としていたのと違う。


ただ魔法が使えないってことじゃないの?


「私には、それがなんだか理解できました。
実物は初めて見ましたが、魔術書にそれらしき術式を見たことがあります」


「え、術式が?
私の体に浮かんだんですか?」


「はい……
それは……魔封じの呪いです。
つまり、エリーゼ様は魔力が0だから、魔法が使えないという訳では無かったのです。
恐らく今の魔力は2か3で間違いはないのですが、それだけが原因では無かった」


「どういうことなんですか?」


フレディはふぅと大きく息を吐いて、決意したかのように話す。


「エリーゼ様は、その身に呪魔法の術式を受けて、魔法が使用できないように縛られています。
元々のお持ちの魔力も共に封印されている可能性があります」


「え………………?」


封印?


私の魔法が縛られてる?


魔力まで?


え?
 

なんで?


理解できない。


そんなの、理解できない。



フレディは、何を言っているの……?










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