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49 甘い
しおりを挟む恥ずかしいことを言われているのに、その言葉すら快感に変わってしまう。
「あっ……」
なぜが分からないけれど、脚がむずむずしてきて、気が付けば内腿をすり寄せていた。
身体の奥底から渦巻く、堪えようのない衝動が湧き上がってくる。
フレディに触られたい
フレディにくっつきたい
フレディに……
だめ……おかしくなってる……何かに侵食されていく……
気づけばフレディにぴったりと身を寄せていた。
はだけたままのパジャマで、フレディに身をこすりつけるようにしている。
自分の哀れな乱れように困惑するけれど、身体は止まってくれない。
「エリーゼ様、これも媚薬の効果ですから、恥ずかしがらなくて良いんですよ」
それに気づいたのか、フレディは私の髪を優しく撫でて、あやすように背中を撫でて、そのまま下に下がっていき腰を撫でた。
「っあ!」
痺れるような感覚が、ツンっと足裏まで響いてしまう。
気づけば、横になって抱き合っているフレディの肩に顎を乗せて、はぁはぁと息をしていた。
肩越しの視界に広がるのは、美しいエメラルドグリーンの長髪。
「エリーゼ様、夜は甘えていいですよ。
毎晩こうして差し上げますから」
低く通るその声は、それはどこまでも甘やかに響いた。
その逞しい腕に抱かれて、何かが溶かされ満たされていく。
どこかに残っていた警戒心がいつの間にか消えていった。
……このまま、フレディに身を委ねてしまいたい。
大きな手が脇腹に触れ、素肌をなぞり脇の下から胸やお腹を撫でていく。
敏感な全身をまさぐられる感覚に腰が浮き、足をバタつかせ、いよいよ意識が朦朧としてきた。
「エリーゼ様……可愛いですよ」
耳に熱い息が掛かったかと思えば、耳の縁に唇が当たり、そのまま甘噛みされる。
「っああっ!!!」
反射的に背中をのけぞせて声を上げた。
噛まれた部分に、じっとりと舌が這う。
だめ……!
なんかきちゃう!!
全身にむず痒さが走り、あっという間にそれは登り詰めた。
っあ…………!!
意識が曖昧になり、耳がキーンと遠くなり、ふわふわと浮くような感覚になっていく。
「エリーゼ様……私だけの……」
何か聞こえた気がしたけれど、よく分からない。
そのまま意識は落ちていった。
柔らかな光で目が覚める。
ふと体を起こすと、ひらひらと一枚の人型の紙切れが落ちた。
「あ……」
一瞬で思い出す昨晩の記憶。
私がいやらしくも縋っていたのは、この紙切れが見せてくれた幻。
もちろん、フレディ本人が魔力を流して操っていたのに間違いはないんだけど、どこか寂しくもある。
すると、ドアがノックされた。
ーーコンコン
急いで乱れた髪だけを整える。
「どうぞ」
「失礼いたします」
入ってきたのはレイアだった。
「エリーゼ様おはようございます。
お加減はいかがですか?」
「おはよう、レイア。
体はとても元気だよ」
すると赤毛のポニーテールを揺らして笑顔を見せてくれる。
「良かったです。
ですが、月のものも来ておりますので、ご無理はされないでくださいね。
こちらお白湯です」
トレーに乗った温かいカップを渡してくれる。
「うん。ありがとう」
月のものを見ても動揺しなくなったのは、こうしてレイアがサポートしてくれているおかげだ。
レイアに手を引かれ、ハイテーブルの席に着くと、今日も朝の美容が始まる。
「あれ、エリーゼ様。
心なしか少し背が伸びましたね」
「え?ほんと?」
「はい、体つきも少し大きくなった感じがします。
きっと、成長期ですね」
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