【R15】専属執事に階段から突き落とされたのですが、どうも様子が変です。【完結】

ヨウカン

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43 身代わり人形

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「でも、それを耐えれば、魔力が上がるんですよね?」


「はい、ですが……」


「だったら私、頑張って飲もうかと思います」


「いえ、それは……」


「ダメですか?」


「どんなに強い精神力で立ち向かっても、催淫効果に耐えることは難しいでしょう。
私は、エリーゼ様を守るためにおります。
エリーゼ様が催淫効果でもがき苦しむところを、私はお助けしてしまう可能性が高く、もしエリーゼ様からの命令でお助けしない場合は、エリーゼ様が壊れていくのをただ見ている……ということになってしまいます」


「そ、それは……」


どう転がっても、とても凄惨な現場になりそう。


「そうですね、何かいい方法があればいいのですが……」


フレディは考え込むけれど、答えは出ない。


「私が檻に入るとか?」


すかさずフレディは首を横に振る。


「ダメです、それでもエリーゼ様が壊れてしまいます」


壊れるというのは、精神的になのだろうか。


魔力が付いても、自我を失うのは嫌だ。


「エイママギサスを飲んだ直後に、睡眠薬を飲むとか?」


やはり、首を横に振る。


「他の薬との飲み合わせは、とても危険です」


まぁ、確かにそうかも。


「物理的な拘束もだめ、薬もだめ。
……だったら、魔法をかけてもらうとか?」


解毒魔法みたいなものがあったら良いんだけれど。


「魔法ですか……そうですね……
催淫に対抗できるような魔法は、無いと思います。
催淫効果を解くためには、その欲求を満たす必要がありますから」


「そう……ですか」


それじゃあ、やっぱり魔力1か2で生きるしかないってこと……だよね。


まぁ、もともとゼロだったから、あまり高望みをするのも良くない。


昨日フレディにもかなり迷惑をかけてしまったし、これ以上変な姿を見られるのも恥ずかしいし。


「いや、そうか……」


フレディはそのエメラルドの瞳を見開き、何か思いついたようだ。


「欲求を満たしつつ、純潔を守りながら、魔力を上げ続けられる……かも知れない方法がひとつだけあります」


「ほ、本当ですか?」


ほとんどフレディの真下から見上げるように迫ってしまう。


それを避けるように二、三歩下がって、フレディは咳払いを一つするのだった。


ちょっと、詰め寄りすぎたみたい。


「形代……という魔法道具があります」


「カタシロ?」


恐らく、初めて聞くものだと思う。


「はい、魔力を使って小さな身代わり人形を操作します。
他者からは、その魔力を流した小さな紙人形は本人の姿で認識されます」


「本人に見える紙人形?」


「はい、基本的には自分の身代わりにする魔法道具で、形代が攻撃を受けても本体に物理攻撃は届きません。
今回の場合、エイママギサスを飲んだエリーゼ様と同じ部屋に形代を置き、それを隣の部屋から私が操作します。
つまり、催淫状態に陥ったエリーゼ様を形代の私が対処する、ということです。
念の為、お互いの部屋に鍵をつけておいた方がいいでしょう」


「それって……隣の部屋にいるフレディは、どういう状態なんですか?」


「形代と感覚が繋がっておりますので、遠隔ではありますが、エリーゼ様を……見たり触れたり出来ているような感覚になるでしょう」


「なっ?!?!」


「ですから、かなり際どい方法ですので、エリーゼ様が無理ということでしたら、今のまま魔力1か2くらいでいるという選択肢もございます。
今のままでも、日常生活に差し支えはないかと思われます」


ど、どうしよう。


魔力は欲しい、魔法を使ってみたい。


魔力さえあれば、この家を出て外の世界で暮らせるようになるかもしれない。


でも、フレディにそんなことをさせるのも、かなり恥ずかしいし気が引ける。


フレディは私の意思を尊重してくれるみたい。


だけど、どうしよう!!











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