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25 意識
しおりを挟む朝日が差して、また起きる。
なんだか、変な夢を見ていた気がする。
ぺったんこの胸が大人の胸になっている、そんな変な夢……
ーーコンコン
ぼんやりしていると、ノック音が響く。
「は、はい」
「おはようございます、エリーゼ様」
入ってきたのは、執事服のフレディ。
「起きていらっしゃったんですね」
目が合った私を見て、彼はそう言った。
「……はい」
昨日と同じようにフレディは私のベッドサイドに来てお嬢様のように起こされる。
けれど、握る手や背中に当たる手を妙に意識してしまう。
「エリーゼ様?」
昨日切ったばかりのショートカットの髪の寝癖を手で直しながら、フレディを見上げた。
フレディが私に優しくなったからって、今までの仕打ちを忘れることなんて出来ない。
でも……この優しさに安心できたのも、確かだ。
だから、私はフレディのことを……
視線が絡み合い、複雑な気持ちがぐるぐると回っていく。
「どうかなさいましたか?」
訝しむフレディに、口籠る私。
「……な、なんでもないです」
ふいっと視線を逸らした。
どう考えたって挙動がおかしいと分かっていても、どうしようもない。
すると、フレディはそっと私の髪に触れ、手櫛で寝癖を直してくれる。
「エリーゼ様、とても可愛いですよ、この髪型」
ーーゾクッ
フレディの手が耳に触れ、全身が粟立つ。
思わず身を固くして、布団を握りしめた。
心臓が煩い、フレディに対する緊張感が全身に巡って行く。
「エリーゼ様?」
「あの、レイアを呼ぶことはできますか?」
「ええ、もちろんです。
すぐに呼んで参ります」
ーーバタン
と、ドアが閉まる音を聞くと、はぁぁぁと大きな溜息をついた。
なんだろう、なんか、変だ。
よくわからないけれど、全然落ち着かない。
なんなの、これ。
どうして、どう見ても子供の私が、意地悪な大人のフレディにドキドキしてしまうの?
あんなに最低な事ばかり言ってきたフレディに。
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