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次にハッと目が覚めたときにいたのは、誰かの家のベッドの布団の中で、見回しても誰もいない。それなのに、床には私が着ていたスーツが散らかっていて、布団をペラと捲ると、全身すっぽんぽんの状態だった。部屋の趣味的にあからさまに、女性の家なことだけはわかった。
携帯を手に取り、時刻を見ると15時。半日以上も記憶が飛んでたらしい。
とても喉が痛く、水を飲みたくて、知らない家のキッチンへと向かう。1kの部屋で1つ扉を開けたら左側のところにあった。
水道の蛇口を捻り、ゴクゴクとたらふく飲む。すっぽんぽんで水道の水を飲む姿は、傍から見ればとても滑稽な姿ではあるので、誰もいなくて良かったと思いながらも、まだまだ、ゴクゴクと飲み続ける。
そうしたら、とりあえずスーツを着た。
どうせ、私のお客の家だろうと思い、グータラしながら携帯を触ると、沢山のメッセージの中で1つ私の中では1番目立つものがあった。
夏海からのメッセージで、
「起きたら、連絡下さい。午後から授業なので家を空けてます。」
と来ていた。
脳内にクエッションマークが出て、すぐにはわからなかったが、10秒ほど経つとわかる。私は夏海の家にいる。
おいおい、と自分の行動に意味がわからなかった。
「起きた。」
夏海にこれだけを送り、状況の確認をする。とりあえず、どうやってきたのかわからなかったので、癖で必ずレシートや領収書を財布にしまう私は、財布にその証拠があると思い、中身を見ると、タクシーを使い、ここまできたことが確認出来た。距離にして300km以上はあるこの場所に15万円以上の値段を支払ったようだ。
頭をガシガシと掻いて、やばいだろ…、と声を出すくらいには驚いた。
そうしていると、携帯から着信が鳴る。画面を見ると夏海からの着信だった。
「もしもし。」
『もしもしー、今授業が終わったので帰るんですが、なにか要りますか?』
「安いのでいいから服とパンツ、あとはお腹空いた。それと、お風呂使っていい?」
『服とパンツに食べ物ですね。お風呂はどうぞ。タオルは洗面所の横にあります。多分、2時間ほどで帰りますね。』
「ありがとう。気をつけて。」
電話の向こうの夏海は案外普通だった。かなりしっかりしているのか、それとも慣れているのか。一人暮らしの大学生なので、慣れているのだろう。そんなものか、と思い、お風呂へと向かう。
お風呂から出た私は、タオルで全身を拭き、ドライヤーで髪の毛を乾かして、独立洗面台の横の棚に置いてあったヘアアイロンのコンセントをさす。お風呂上がりの髪の毛がボサっとしている私にとっては、ヘアアイロンは必ずしなければならない行為の1つだ。
そこまで終わらせたら、また部屋へと戻りベッドに腰掛ける。
身辺整理もしなければいけないな、と思いつつも、ベッドに腰掛けてたはずがそこに横になっていた私は、そのまま、また眠っていた。
「まちかさん、起きてください。」
トントンと肩の部分を叩きながら、そう声をかけてくる。ゆっくりと目を開けると、そこに夏海がいた。
私は第一声に「おかえり」そう伝えると、夏海は「ただいま」と言った。それが私にとっては幸せで、なぜだか笑ってしまった。
夏海が買ってきてくれた、パンツと服を着ると、牛丼屋で持ち帰りしたのだろう牛丼が机に置いてあって、それを2人で食べながら、色々と話しを聞いた。
夏海は深夜2時頃寝ていたら、携帯から着信が鳴り出し、支離滅裂な言葉を言う私と電話をしたそう。
何を言ってるのか、何がしたいのかわからなかったが、夏海の家に今から行く、と言うことだけは間違いなかった様子。
わかりました、と伝え電話を切り、どうせ来ないだろうと思いつつも念の為に家の住所を送り眠りについたが、5時間後の朝7時に家の呼び鈴が鳴り確認したらスーツ姿の私がいた、との事。
まぁ、支離滅裂にもなるだろう。夜の記憶がないのだから。自分でも今ここに居ること自体が不思議だ。お酒は飲んでも飲まれるな。よく言うよ。
「それで、もう1つ大事な事があるのです」
夏海がその言葉に続けて言う。
「今朝、まちかさんが来てから私を襲うように抱いて、言ってたんです。何度も、何度も、好きだと。私はとてもそれが嬉しかったのですが、覚えますか?」
心臓がキュッとなった。覚えてはいないが、どうせそんな事だろう、と分かっていた。
「俺は今朝の事を残念ながら覚えてなくて、好きと言ったことすらも覚えてないんだ。」
「そうですか…」
少し悲しそうにする、夏海を見て更に愛おしくなった。
「でも、覚えてなくても、俺は夏海の事が好き。好きって感情は間違いないから。多分それを伝えたくて、ここまで俺は来たんだと思うから。」
私は照れることなく伝える。これは本当の私の気持ちだから。それを伝えたら、夏海が
「ありがとうございます。私もまちかさんの事、好きですよ。だから、付き合いますか?」
付き合う、そのセリフを待ってた、と私はすぐに答える。
「そうだね、付き合おうか。めっちゃ好きだ。」
こうして、こんな軽い感じで私と夏海は恋人になった。
大好きな人と一緒にいれるのはとても幸せなことだと言う事を思い出した。
携帯を手に取り、時刻を見ると15時。半日以上も記憶が飛んでたらしい。
とても喉が痛く、水を飲みたくて、知らない家のキッチンへと向かう。1kの部屋で1つ扉を開けたら左側のところにあった。
水道の蛇口を捻り、ゴクゴクとたらふく飲む。すっぽんぽんで水道の水を飲む姿は、傍から見ればとても滑稽な姿ではあるので、誰もいなくて良かったと思いながらも、まだまだ、ゴクゴクと飲み続ける。
そうしたら、とりあえずスーツを着た。
どうせ、私のお客の家だろうと思い、グータラしながら携帯を触ると、沢山のメッセージの中で1つ私の中では1番目立つものがあった。
夏海からのメッセージで、
「起きたら、連絡下さい。午後から授業なので家を空けてます。」
と来ていた。
脳内にクエッションマークが出て、すぐにはわからなかったが、10秒ほど経つとわかる。私は夏海の家にいる。
おいおい、と自分の行動に意味がわからなかった。
「起きた。」
夏海にこれだけを送り、状況の確認をする。とりあえず、どうやってきたのかわからなかったので、癖で必ずレシートや領収書を財布にしまう私は、財布にその証拠があると思い、中身を見ると、タクシーを使い、ここまできたことが確認出来た。距離にして300km以上はあるこの場所に15万円以上の値段を支払ったようだ。
頭をガシガシと掻いて、やばいだろ…、と声を出すくらいには驚いた。
そうしていると、携帯から着信が鳴る。画面を見ると夏海からの着信だった。
「もしもし。」
『もしもしー、今授業が終わったので帰るんですが、なにか要りますか?』
「安いのでいいから服とパンツ、あとはお腹空いた。それと、お風呂使っていい?」
『服とパンツに食べ物ですね。お風呂はどうぞ。タオルは洗面所の横にあります。多分、2時間ほどで帰りますね。』
「ありがとう。気をつけて。」
電話の向こうの夏海は案外普通だった。かなりしっかりしているのか、それとも慣れているのか。一人暮らしの大学生なので、慣れているのだろう。そんなものか、と思い、お風呂へと向かう。
お風呂から出た私は、タオルで全身を拭き、ドライヤーで髪の毛を乾かして、独立洗面台の横の棚に置いてあったヘアアイロンのコンセントをさす。お風呂上がりの髪の毛がボサっとしている私にとっては、ヘアアイロンは必ずしなければならない行為の1つだ。
そこまで終わらせたら、また部屋へと戻りベッドに腰掛ける。
身辺整理もしなければいけないな、と思いつつも、ベッドに腰掛けてたはずがそこに横になっていた私は、そのまま、また眠っていた。
「まちかさん、起きてください。」
トントンと肩の部分を叩きながら、そう声をかけてくる。ゆっくりと目を開けると、そこに夏海がいた。
私は第一声に「おかえり」そう伝えると、夏海は「ただいま」と言った。それが私にとっては幸せで、なぜだか笑ってしまった。
夏海が買ってきてくれた、パンツと服を着ると、牛丼屋で持ち帰りしたのだろう牛丼が机に置いてあって、それを2人で食べながら、色々と話しを聞いた。
夏海は深夜2時頃寝ていたら、携帯から着信が鳴り出し、支離滅裂な言葉を言う私と電話をしたそう。
何を言ってるのか、何がしたいのかわからなかったが、夏海の家に今から行く、と言うことだけは間違いなかった様子。
わかりました、と伝え電話を切り、どうせ来ないだろうと思いつつも念の為に家の住所を送り眠りについたが、5時間後の朝7時に家の呼び鈴が鳴り確認したらスーツ姿の私がいた、との事。
まぁ、支離滅裂にもなるだろう。夜の記憶がないのだから。自分でも今ここに居ること自体が不思議だ。お酒は飲んでも飲まれるな。よく言うよ。
「それで、もう1つ大事な事があるのです」
夏海がその言葉に続けて言う。
「今朝、まちかさんが来てから私を襲うように抱いて、言ってたんです。何度も、何度も、好きだと。私はとてもそれが嬉しかったのですが、覚えますか?」
心臓がキュッとなった。覚えてはいないが、どうせそんな事だろう、と分かっていた。
「俺は今朝の事を残念ながら覚えてなくて、好きと言ったことすらも覚えてないんだ。」
「そうですか…」
少し悲しそうにする、夏海を見て更に愛おしくなった。
「でも、覚えてなくても、俺は夏海の事が好き。好きって感情は間違いないから。多分それを伝えたくて、ここまで俺は来たんだと思うから。」
私は照れることなく伝える。これは本当の私の気持ちだから。それを伝えたら、夏海が
「ありがとうございます。私もまちかさんの事、好きですよ。だから、付き合いますか?」
付き合う、そのセリフを待ってた、と私はすぐに答える。
「そうだね、付き合おうか。めっちゃ好きだ。」
こうして、こんな軽い感じで私と夏海は恋人になった。
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