67 / 77
第10章 第2話 エリア700 リカのこれから
しおりを挟む
「いい町でしょ?」
「ここがいい町なら、何でリカちゃんは003に来たのかな?」
「学校でトラブルを起こしちゃって…引っ越す事になったんだ」
「それは…気の毒だったね」
リカは親との仲が悪い事も、鼎と桃香に話した。今の彼女は学校に通いながら、ブラックエリアで金を稼いでいるらしい。
「さて、2人ともお腹空いてるでしょ?続きは夜ご飯食べながらにしよ」
ーー
「ここは…」
「ラーメン屋だね」
リカが案内した店は、路地裏のラーメン屋だった。鼎はこの町にはラーメン屋が多い事を、事前に調べていた。
「この店が一番オススメかな」
桃香も鼎も他にレストランを探すつもりはなかったので、リカと一緒に店に入った。店内は雑然としていて、旧時代のラーメン屋の雰囲気だった。
「どれが一番オススメ?」
「醤油豚骨」
結局鼎も桃香も、リカが頼んだものと同じメニューを注文した。出てきたラーメンは、ごく普通の豚骨醤油ラーメンだった。
「うん、中々美味しい」
「チャーシューもいい感じだね」
鼎も桃香も、この店のラーメンを高く評価した。どうやらこの辺りのラーメンも、エリア003に負けていないみたいだ。
「そう言えば、エリア666で何が起きてるか知ってる?」
「金持ちの娘がテロ組織と戦うとか言い出してる話でしょ」
「桃香も知ってるんだ…」
「アナザーアースにログインしてても現実世界のニュースは流れてくるよ」
エリア666は2120年において、特に発展しているエリアの一つだった。仮想現実アナザーアースに出資している企業や資産家も多い。
「このサリアンって人だね。金持ちの娘らしいけど」
「現実が見えてない、正義感だけがあるタイプだと思うな」
桃香とリカは好き放題言っていたが、鼎も止める気にはなれなかった。鼎の目から見ても、サリアンはただの理想主義者だったのだ。
「そう言えばブラックエリアのテロ組織が大人しくなってるよね。この女にビビってるのかな?」
「そんな訳ないでしょ。何か別の準備があるんだと思うよ」
桃香とリカの話を聞きながら、鼎はアナザーアース内の情報をチェックした。確かにブラックエリア内での、犯罪組織やテロ組織の活動があまり確認されなくなっている。
「リカ、あなたは何でブラックエリアの連中が大人しくなっているのか知ってる?」
「知らなーい。これから大変な事が起こるんじゃないの?」
天宮リカはアナザーアースで何が起きてもどうでもいいらしい。鼎も桃香も、彼女が適当に返事をしている事が分かった。
「あなたはブラックエリアにあまり興味がないの?」
「うん、しばらくアナザーアースから離れる事にしたから。桃香ちゃんの妨害も流石に現実世界ではする気ないし」
リカは鼎と桃香に、淡々とした様子で話していた。鼎も桃香も、リカは嘘をついてる訳ではなさそうだと思った。
「あなたはこれからどうするつもり?」
「もう一度だけ、この町と向き合ってみるよ。駄目ならさっさと003に戻ればいいし」
「ボクはせいせいしてるよ。いきなり襲われても困るし」
「はいはい…じゃあね、桃香ちゃん」
ーー
「やっぱりボクはエリア内の方が落ち着くな~」
「まぁ、外よりずっと安全なのは確かね」
この日、鼎達はエリア700内のホテルに泊まる事にしていた。安い部屋だったが、部屋にはユニットバスが付いていた。
「疲れたしさっさと寝たいんだけど…」
「私は…エリア666で何が起きてるか、詳しく調べてみる」
「ここがいい町なら、何でリカちゃんは003に来たのかな?」
「学校でトラブルを起こしちゃって…引っ越す事になったんだ」
「それは…気の毒だったね」
リカは親との仲が悪い事も、鼎と桃香に話した。今の彼女は学校に通いながら、ブラックエリアで金を稼いでいるらしい。
「さて、2人ともお腹空いてるでしょ?続きは夜ご飯食べながらにしよ」
ーー
「ここは…」
「ラーメン屋だね」
リカが案内した店は、路地裏のラーメン屋だった。鼎はこの町にはラーメン屋が多い事を、事前に調べていた。
「この店が一番オススメかな」
桃香も鼎も他にレストランを探すつもりはなかったので、リカと一緒に店に入った。店内は雑然としていて、旧時代のラーメン屋の雰囲気だった。
「どれが一番オススメ?」
「醤油豚骨」
結局鼎も桃香も、リカが頼んだものと同じメニューを注文した。出てきたラーメンは、ごく普通の豚骨醤油ラーメンだった。
「うん、中々美味しい」
「チャーシューもいい感じだね」
鼎も桃香も、この店のラーメンを高く評価した。どうやらこの辺りのラーメンも、エリア003に負けていないみたいだ。
「そう言えば、エリア666で何が起きてるか知ってる?」
「金持ちの娘がテロ組織と戦うとか言い出してる話でしょ」
「桃香も知ってるんだ…」
「アナザーアースにログインしてても現実世界のニュースは流れてくるよ」
エリア666は2120年において、特に発展しているエリアの一つだった。仮想現実アナザーアースに出資している企業や資産家も多い。
「このサリアンって人だね。金持ちの娘らしいけど」
「現実が見えてない、正義感だけがあるタイプだと思うな」
桃香とリカは好き放題言っていたが、鼎も止める気にはなれなかった。鼎の目から見ても、サリアンはただの理想主義者だったのだ。
「そう言えばブラックエリアのテロ組織が大人しくなってるよね。この女にビビってるのかな?」
「そんな訳ないでしょ。何か別の準備があるんだと思うよ」
桃香とリカの話を聞きながら、鼎はアナザーアース内の情報をチェックした。確かにブラックエリア内での、犯罪組織やテロ組織の活動があまり確認されなくなっている。
「リカ、あなたは何でブラックエリアの連中が大人しくなっているのか知ってる?」
「知らなーい。これから大変な事が起こるんじゃないの?」
天宮リカはアナザーアースで何が起きてもどうでもいいらしい。鼎も桃香も、彼女が適当に返事をしている事が分かった。
「あなたはブラックエリアにあまり興味がないの?」
「うん、しばらくアナザーアースから離れる事にしたから。桃香ちゃんの妨害も流石に現実世界ではする気ないし」
リカは鼎と桃香に、淡々とした様子で話していた。鼎も桃香も、リカは嘘をついてる訳ではなさそうだと思った。
「あなたはこれからどうするつもり?」
「もう一度だけ、この町と向き合ってみるよ。駄目ならさっさと003に戻ればいいし」
「ボクはせいせいしてるよ。いきなり襲われても困るし」
「はいはい…じゃあね、桃香ちゃん」
ーー
「やっぱりボクはエリア内の方が落ち着くな~」
「まぁ、外よりずっと安全なのは確かね」
この日、鼎達はエリア700内のホテルに泊まる事にしていた。安い部屋だったが、部屋にはユニットバスが付いていた。
「疲れたしさっさと寝たいんだけど…」
「私は…エリア666で何が起きてるか、詳しく調べてみる」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。
空虚な時計塔 -Broken Echo Tides-
るてん
SF
SF小説です。タイムリープというありきたりな設定を踏襲しつつちょっと変わった感じを目指してます。
設定が荒っぽい部分もあるので、そのあたりはご了承下さい・・・
二部編成を予定していますが、分量はあまり長くしないつもりです。
あらすじ(仮
核戦争後の荒廃した2100年代。絶滅の危機に瀕した人類は、北極圏の小さな生存圏で細々と生き延びていた。人類最後の天才科学者と呼ばれた男は、不完全なシンギュラリティと評した科学の限界を超え、滅亡を回避する方法を探る。しかし、その道はあまりにも無謀で危険な賭けだった――。

専業ネカマの生態
magnet
SF
36歳プロヒキニートが推しの宣伝によりゲームを始めることを決意。コツコツお金を貯め一ヶ月遅れでようやくゲームを始めるも、初心者狩りにカモられ、キャラを削除されてしまう。そんな失意の中、復習に燃える主人公(デブメガネオタク)は二度目のログイン時に前回には無かったキャラクリエイト画面を発見する。そこでは詳細な顔だけでなく、生体認証により選択できなかった性別すら変更可能で……
人生オワコン男性による怒涛の人生逆転劇!

【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】
一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。
しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。
ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。
以前投稿した短編
【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて
の連載版です。
連載するにあたり、短編は削除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる