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第9章 第1話 作戦開始
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「やっほー鼎サン。オフィスなんかに呼び出すなんて珍しいね」
「以前、姉を目覚めさせようとしてた子がいたの覚えてる?」
「今思い出した。汐音チャンだっけ」
「花野汐音の姉が目覚めない原因を突き止めた」
鼎は巴やエンシャント財団と協力して、013のアナザーアースのユーザーが昏睡状態に陥っている原因を突き止めた。だが本人は渋い顔をしていて、ここから先も大変である事は間違いなかった。
「アナザーアース運営が想定していない形で、ユーザーにリミッターがかかってしまったみたい」
「ログアウト出来なくして記憶を封じるリミッター…013の無法者なら作りそうだね」
エリア013の犯罪組織の勢力は、他のエリアとは比べ物にならないほど大きい。013の大手企業も、彼らには逆らえないという話もある。
「うーん…じゃあ組織を潰すといっても、そう簡単にはいかないか…」
「アナザーアース上の拠点は、あなたなら潰せるでしょ」
賭場の経営をしている桃香は、ブラックエリアの領土にいるならず者の動きをある程度コントロールできる。桃香が保持している戦力なら、敵対組織の拠点を潰す事も十分可能である。
「現実の犯罪組織そのものはどうにも出来ないよ」
「そっちはエンシャント財団が何とかするって話になってる」
エンシャント財団はエリア015で、文化保全を行なっている組織だ。経済発展にも尽力していて、地域住民からの評判も高い。
「よりにもよって013と関わりを持って大丈夫なの?」
「巴や…後は花江も013出身だし、以前から有用な人材を色んなエリアで探してる。今回はそれとは別問題だけどね」
財団はエリア013の外側からプレッシャーをかけるのが目的だった。013としても犯罪組織が跳梁跋扈している現状は隠していたいだろう。
「それじゃあボクはブラックエリアに行って、拠点襲撃の準備をするよ。鼎サンはどうする?」
「一度ログアウトして、エンシャント財団の状況を確認する」
ーー
「巴、そっちの状況は?」
「交渉する職員は男って事になってる」
最初は財団代表である秋亜が自ら赴くと言っていたが、周りに説得されて代わりに行く職員を選ぶ事になった。013の治安を考えれば、こういう時は男性職員に任せた方が良いという方向性で話が進んでいる。
「花江も私も、013に関する有益な情報は特に持ってないし…」
巴は先祖が残した家と財産を頼り、花江はとにかくエリア013を出たかった。彼女達は今暮らしている015に関しては詳しくなっていた。
「外部から圧力をかける作戦は上手くいくと思う。それよりも桃香の方は大丈夫なの?」
「平気…だと思う」
ーー
桃香は賭場に自分の領土にいるならず者達を集めていた。だが全く統制が取れておらず、桃香は困惑し呆れていた。
「えーとぉ…みんな聞いてるぅ?」
「てめぇの人望の無さが明らかになったな」
誰が何を言っているのか分からない惨状で、ならず者達は暴れていた。これがブラックエリアの日常という事ではあるが。
「これから013の犯罪組織の拠点を襲撃しに行くんだけど…」
「うるせー!俺達に命令すんな!」
ならず者達は桃香の言葉も無視して、争い続けている。桃香の隣にいるハンターも、この状態には呆れていた。
「本当にコイツら連れてって勝てるのか?」
「大丈夫大丈夫きっと…勝つと思うよ」
桃香は断言はしなかったが、そこにはいつも通りの余裕があった。
「以前、姉を目覚めさせようとしてた子がいたの覚えてる?」
「今思い出した。汐音チャンだっけ」
「花野汐音の姉が目覚めない原因を突き止めた」
鼎は巴やエンシャント財団と協力して、013のアナザーアースのユーザーが昏睡状態に陥っている原因を突き止めた。だが本人は渋い顔をしていて、ここから先も大変である事は間違いなかった。
「アナザーアース運営が想定していない形で、ユーザーにリミッターがかかってしまったみたい」
「ログアウト出来なくして記憶を封じるリミッター…013の無法者なら作りそうだね」
エリア013の犯罪組織の勢力は、他のエリアとは比べ物にならないほど大きい。013の大手企業も、彼らには逆らえないという話もある。
「うーん…じゃあ組織を潰すといっても、そう簡単にはいかないか…」
「アナザーアース上の拠点は、あなたなら潰せるでしょ」
賭場の経営をしている桃香は、ブラックエリアの領土にいるならず者の動きをある程度コントロールできる。桃香が保持している戦力なら、敵対組織の拠点を潰す事も十分可能である。
「現実の犯罪組織そのものはどうにも出来ないよ」
「そっちはエンシャント財団が何とかするって話になってる」
エンシャント財団はエリア015で、文化保全を行なっている組織だ。経済発展にも尽力していて、地域住民からの評判も高い。
「よりにもよって013と関わりを持って大丈夫なの?」
「巴や…後は花江も013出身だし、以前から有用な人材を色んなエリアで探してる。今回はそれとは別問題だけどね」
財団はエリア013の外側からプレッシャーをかけるのが目的だった。013としても犯罪組織が跳梁跋扈している現状は隠していたいだろう。
「それじゃあボクはブラックエリアに行って、拠点襲撃の準備をするよ。鼎サンはどうする?」
「一度ログアウトして、エンシャント財団の状況を確認する」
ーー
「巴、そっちの状況は?」
「交渉する職員は男って事になってる」
最初は財団代表である秋亜が自ら赴くと言っていたが、周りに説得されて代わりに行く職員を選ぶ事になった。013の治安を考えれば、こういう時は男性職員に任せた方が良いという方向性で話が進んでいる。
「花江も私も、013に関する有益な情報は特に持ってないし…」
巴は先祖が残した家と財産を頼り、花江はとにかくエリア013を出たかった。彼女達は今暮らしている015に関しては詳しくなっていた。
「外部から圧力をかける作戦は上手くいくと思う。それよりも桃香の方は大丈夫なの?」
「平気…だと思う」
ーー
桃香は賭場に自分の領土にいるならず者達を集めていた。だが全く統制が取れておらず、桃香は困惑し呆れていた。
「えーとぉ…みんな聞いてるぅ?」
「てめぇの人望の無さが明らかになったな」
誰が何を言っているのか分からない惨状で、ならず者達は暴れていた。これがブラックエリアの日常という事ではあるが。
「これから013の犯罪組織の拠点を襲撃しに行くんだけど…」
「うるせー!俺達に命令すんな!」
ならず者達は桃香の言葉も無視して、争い続けている。桃香の隣にいるハンターも、この状態には呆れていた。
「本当にコイツら連れてって勝てるのか?」
「大丈夫大丈夫きっと…勝つと思うよ」
桃香は断言はしなかったが、そこにはいつも通りの余裕があった。
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