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第2章 第12話 ナガレとの戦い
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ダダダダッ!
「さっさと降参して!アバターを破壊するつもりは無いから!」
ナガレは召喚した複数の浮遊する銃から、弾丸を連射した。ビルの外壁などが銃弾の直撃で砕け、砂埃の様に漂う。
(倒せて…いない。何処に隠れてる?)
鼎達を目視出来なくなったナガレは、周囲を警戒する。隠れるのにちょうど良さそうな瓦礫は、機銃掃射で吹き飛ばした。
ーー
「うわー…あの女、普通ここまでやるもんかね?」
「相手はテロリストだからね」
「動かなくなったアバターもいっぱい転がってるよ…まぁ、普通の攻撃だから現実の体への悪影響は無いだろうけど」
「酷いな…早く止めないと」
鼎達は隠れているのを悟られない様にしながら、ビルの陰から隙を窺っていた。しかし、鼎と桃香が隠れている建物の壁にも、グリッチが発生し始めていた。
「なっ…ビルが⁉︎」
「まーたバグを発生させる能力か…ブラックエリアの外も広いんだね」
桃香はビルの陰から飛び出して、ナガレの背後から攻撃しようとした。普段使っているリボルバー型の銃でビームを撃ったが、ナガレに気づかれてしまった。
「くっ…そんな程度で!」キィィン!
「うわっ危なっ!」
ビームをかわしたナガレはお返しと言わんばかりに、新たに召喚したビットからビームを照射した。桃香は飛び退いてビームを回避したが、連射されるビームを回避するので精一杯だった。
「ちょっと鼎サーン‼︎手伝ってよー‼︎」
桃香は情けない様子で走りながら逃げ回るので、精一杯の様に見えた。ナガレは桃香が"何か"を落としている事に気づいていない。
ーー
(あんなビームバンバン撃ってくるのと、私が戦うの?)
鼎はビルの陰に隠れて、ナガレに正面から挑む事を躊躇していた。そうしている間にも、ビルがグリッチに侵食されていく。
(また隠れ場所が…)
鼎は素早く桃香のデバイスにメッセージを送り、隙を突くタイミングを伝える。瞬時にメッセージを視認した桃香は、周囲に設置したトラップを起動させた。
「きゃっ…これは網?いつの間に…」
(えっ…アイツ転んだの?ドジっ子?…気づかれたら作戦が上手くいかなくなるじゃないか!)
ナガレは桃香が仕掛けていた網に引っかかって転びかけた。当然ながら仕掛けていた網に気づいてしまったので、桃香からすれば良い状況ではなかった。
「この程度の罠で、私を倒せると思った?」
(引っかかってた癖に偉そうにするなマヌケがぁー!)
ナガレは罠として設置されていた網を飛び越えて、一気に桃香に接近した。桃香は危機を回避するために仕方なく、電撃網を起動させた。
「うわっ…でも想定内だよこんなの!」
ナガレは網から電撃が放たれた事に少し驚いたが、網に触れない様に足元を見て注意しながら動き始めた。電撃によるダメージを与えられないまま、桃香は正面から立ち向かわざるを得ない状況になった。
「はぁぁ~…コノヤロォー!」
(正面から突っ込んで来た?!)
罠を突破されて、桃香は開き直ってナガレに突っ込んで行った。ナガレは咄嗟にビームや機銃掃射で阻止しようとするが、躊躇なく走って来たせいでかわされてしまった。
「おりゃー!」
「ただ殴るだけ…?このアーマーが見えてないの?」
ナガレの予想通り、桃香の殴打はほとんど効果が無かった。ナガレからすればふざけているとしか思えず、少しずつイライラし始めていた。
(ほんっと鬱陶しい…早く片付けてネネを探さないと)
ーー
(冗談でしょ…このタイミングで後ろから殴れって言うの?)
鼎は桃香とナガレが接近戦をしている様子を見て、躊躇していた。堂々と殴り合っている後ろから攻撃を仕掛ける事は、今までに無かったからだ。
(作戦失敗してるし…)
本来ならばナガレは網から放たれた電撃が直撃して、動けなくなっているはずだった。だが今そこにいるナガレは、電撃によるダメージを受けていない。
(…桃香。あのクソガキがわざわざ引っかかる様に電撃網を張るか…?)
鼎は、桃香が作戦の内容を自分に隠したまま決行したのではないかと勘ぐり始めていた。彼女は桃香の身体能力だけでなく、冷静な判断能力も認めていた。
「やってやる…失敗したら桃香のせいにして全力で逃げる!」
ーー
「オラオラオラオラ!」
(今度は雑なラッシュを仕掛けて来た…さっさと終わらせよう)
桃香は矢継ぎ早にパンチを繰り出したが、いくら手数が多くても威力が足りていない。それどころか、桃香の手の方がダメージを受け始めていた。
「痛っ…」(鼎は逃げ出したりしない…必ずコイツを倒せる)
「随分粘りますね…だけど、これで終わりです!」
ナガレは桃香の胸部に強烈な一撃を当てて、突き飛ばした。桃香は急に放たれた打撃に対応できずよろめいてしまい、その隙を突こうと言わんばかりに、銃口が向けられた。
「やばっ…降参だーッ!!」
「うるさっ…」
絶体絶命の危機に陥った桃香は、大きな悲鳴をあげた。ナガレはうるさいと感じたが、怯む事なく銃口からビームを放とうとした。
その瞬間、ナガレは背後から気配を感じたが、既に手遅れだった。
アーマーの弱点を突かれる事は防げたが、蹴りを喰らって吹っ飛ばされてしまった。
「しまった…」(猫耳のやつが大声で叫んだせいで気が散っていた…)
ナガレは体勢を崩されてもすぐに立て直せると思ったが、そうは行かなかった。自身のすぐ後ろまで迫っていた桃香が、アーマーの弱点を的確に突いたからだ。
「がはっ…よくもっ…」
「まだまだ!」
「終わらない!」
アバターに直接ダメージを受けたナガレは、そのまま鼎と桃香による猛攻撃を受ける事になった。前後から攻撃を受け続けるナガレは対処出来ないまま、ダメージを負っていた。
「おのれっ…」
「使わせるかっ!」ガッ!
ナガレは全ての銃口を桃香に向けるが、鼎が即座に蹴り上げて方向を逸らす。ビームはアナザーアースの空に向けて放たれ、その隙に桃香が拳を叩き込む。
(このまま押し切れる!)
「鼎サン!ビームが来る!」
桃香の声を聞いた鼎は咄嗟に横に跳んで、ビームの射程範囲から逃れた。ナガレは後方にジャンプしながら、最大出力のビームを撃った。
「くっ…」
「距離さえ取れば…!」(一方的にビームで薙ぎ払える!)
ナガレは素早く跳ねる様にビルの残骸の上に移動した。鼎達にすぐに距離を詰められる事もなく、確実に射程範囲に入れられる場所だった。
「ここからなら…何っ?!これはまさか…」
「残念でしたー」
ナガレはビルの残骸の上に立った数秒後に気づいたが、そこには電撃を発生させる網が何重にも張られていた。ナガレはすぐに残骸から飛び降りようとしたが、その前に桃香が電撃網を起動した。
「玖の型、雷獄!!…ってね」
「あああっ…!」
強烈な電撃を喰らったナガレは悲鳴を上げ続ける事もできずに気絶した。鼎はナガレに勝てた事を喜ぶと同時に、ボロボロになって倒れている彼女を見て少しだけ心配になった。
「勝てた!けど…アイツ、電撃でボロボロだけど大丈夫かな?」
「だいじょーぶ。どうせ現実の体への悪影響は無いから」
ーー
ナガレのアバターは運営側のユーザーによって回収されて、ストリートエリアの復元も開始された。しかし、テロ組織が特殊なプログラムを使用したせいで、復旧には時間がかかるらしい。
「そう言えばこのアバターもさっさと巴サンに診せた方が良いね」
「え…?!体が…内部からダメージが発生している?」
アナザーアース内のアバターであるにも関わらず、頭痛や意識障害が発生し始めていた。テロリストは立ち去り、既に攻撃は止んだはずなのだが…
「テロリストが使用したプログラムのせいで、放射線障害と似たような症状が発生しているんだね。このままだと無駄に苦しむだけだし、早めにログアウトした方がいいよ」
「うっ…分かった」
桃香の話を聞いた鼎は、さっさとログアウトする事にした。研究施設への潜入、ニセ愛莉との対峙、テロリストの襲撃…鼎は色々な出来事のせいで疲れていた。
ーー
(…もう日が暮れてる。時間を見るの忘れてた)
アナザーアースからログアウトした鼎は、自室の窓の外を見た。既に陽は沈んでいて、空にはいくつか星が見えていた。
(ナガレ…彼女は間違いなくテロ組織の一員。私はこれから何に巻き込まれるんだか…)
「さっさと降参して!アバターを破壊するつもりは無いから!」
ナガレは召喚した複数の浮遊する銃から、弾丸を連射した。ビルの外壁などが銃弾の直撃で砕け、砂埃の様に漂う。
(倒せて…いない。何処に隠れてる?)
鼎達を目視出来なくなったナガレは、周囲を警戒する。隠れるのにちょうど良さそうな瓦礫は、機銃掃射で吹き飛ばした。
ーー
「うわー…あの女、普通ここまでやるもんかね?」
「相手はテロリストだからね」
「動かなくなったアバターもいっぱい転がってるよ…まぁ、普通の攻撃だから現実の体への悪影響は無いだろうけど」
「酷いな…早く止めないと」
鼎達は隠れているのを悟られない様にしながら、ビルの陰から隙を窺っていた。しかし、鼎と桃香が隠れている建物の壁にも、グリッチが発生し始めていた。
「なっ…ビルが⁉︎」
「まーたバグを発生させる能力か…ブラックエリアの外も広いんだね」
桃香はビルの陰から飛び出して、ナガレの背後から攻撃しようとした。普段使っているリボルバー型の銃でビームを撃ったが、ナガレに気づかれてしまった。
「くっ…そんな程度で!」キィィン!
「うわっ危なっ!」
ビームをかわしたナガレはお返しと言わんばかりに、新たに召喚したビットからビームを照射した。桃香は飛び退いてビームを回避したが、連射されるビームを回避するので精一杯だった。
「ちょっと鼎サーン‼︎手伝ってよー‼︎」
桃香は情けない様子で走りながら逃げ回るので、精一杯の様に見えた。ナガレは桃香が"何か"を落としている事に気づいていない。
ーー
(あんなビームバンバン撃ってくるのと、私が戦うの?)
鼎はビルの陰に隠れて、ナガレに正面から挑む事を躊躇していた。そうしている間にも、ビルがグリッチに侵食されていく。
(また隠れ場所が…)
鼎は素早く桃香のデバイスにメッセージを送り、隙を突くタイミングを伝える。瞬時にメッセージを視認した桃香は、周囲に設置したトラップを起動させた。
「きゃっ…これは網?いつの間に…」
(えっ…アイツ転んだの?ドジっ子?…気づかれたら作戦が上手くいかなくなるじゃないか!)
ナガレは桃香が仕掛けていた網に引っかかって転びかけた。当然ながら仕掛けていた網に気づいてしまったので、桃香からすれば良い状況ではなかった。
「この程度の罠で、私を倒せると思った?」
(引っかかってた癖に偉そうにするなマヌケがぁー!)
ナガレは罠として設置されていた網を飛び越えて、一気に桃香に接近した。桃香は危機を回避するために仕方なく、電撃網を起動させた。
「うわっ…でも想定内だよこんなの!」
ナガレは網から電撃が放たれた事に少し驚いたが、網に触れない様に足元を見て注意しながら動き始めた。電撃によるダメージを与えられないまま、桃香は正面から立ち向かわざるを得ない状況になった。
「はぁぁ~…コノヤロォー!」
(正面から突っ込んで来た?!)
罠を突破されて、桃香は開き直ってナガレに突っ込んで行った。ナガレは咄嗟にビームや機銃掃射で阻止しようとするが、躊躇なく走って来たせいでかわされてしまった。
「おりゃー!」
「ただ殴るだけ…?このアーマーが見えてないの?」
ナガレの予想通り、桃香の殴打はほとんど効果が無かった。ナガレからすればふざけているとしか思えず、少しずつイライラし始めていた。
(ほんっと鬱陶しい…早く片付けてネネを探さないと)
ーー
(冗談でしょ…このタイミングで後ろから殴れって言うの?)
鼎は桃香とナガレが接近戦をしている様子を見て、躊躇していた。堂々と殴り合っている後ろから攻撃を仕掛ける事は、今までに無かったからだ。
(作戦失敗してるし…)
本来ならばナガレは網から放たれた電撃が直撃して、動けなくなっているはずだった。だが今そこにいるナガレは、電撃によるダメージを受けていない。
(…桃香。あのクソガキがわざわざ引っかかる様に電撃網を張るか…?)
鼎は、桃香が作戦の内容を自分に隠したまま決行したのではないかと勘ぐり始めていた。彼女は桃香の身体能力だけでなく、冷静な判断能力も認めていた。
「やってやる…失敗したら桃香のせいにして全力で逃げる!」
ーー
「オラオラオラオラ!」
(今度は雑なラッシュを仕掛けて来た…さっさと終わらせよう)
桃香は矢継ぎ早にパンチを繰り出したが、いくら手数が多くても威力が足りていない。それどころか、桃香の手の方がダメージを受け始めていた。
「痛っ…」(鼎は逃げ出したりしない…必ずコイツを倒せる)
「随分粘りますね…だけど、これで終わりです!」
ナガレは桃香の胸部に強烈な一撃を当てて、突き飛ばした。桃香は急に放たれた打撃に対応できずよろめいてしまい、その隙を突こうと言わんばかりに、銃口が向けられた。
「やばっ…降参だーッ!!」
「うるさっ…」
絶体絶命の危機に陥った桃香は、大きな悲鳴をあげた。ナガレはうるさいと感じたが、怯む事なく銃口からビームを放とうとした。
その瞬間、ナガレは背後から気配を感じたが、既に手遅れだった。
アーマーの弱点を突かれる事は防げたが、蹴りを喰らって吹っ飛ばされてしまった。
「しまった…」(猫耳のやつが大声で叫んだせいで気が散っていた…)
ナガレは体勢を崩されてもすぐに立て直せると思ったが、そうは行かなかった。自身のすぐ後ろまで迫っていた桃香が、アーマーの弱点を的確に突いたからだ。
「がはっ…よくもっ…」
「まだまだ!」
「終わらない!」
アバターに直接ダメージを受けたナガレは、そのまま鼎と桃香による猛攻撃を受ける事になった。前後から攻撃を受け続けるナガレは対処出来ないまま、ダメージを負っていた。
「おのれっ…」
「使わせるかっ!」ガッ!
ナガレは全ての銃口を桃香に向けるが、鼎が即座に蹴り上げて方向を逸らす。ビームはアナザーアースの空に向けて放たれ、その隙に桃香が拳を叩き込む。
(このまま押し切れる!)
「鼎サン!ビームが来る!」
桃香の声を聞いた鼎は咄嗟に横に跳んで、ビームの射程範囲から逃れた。ナガレは後方にジャンプしながら、最大出力のビームを撃った。
「くっ…」
「距離さえ取れば…!」(一方的にビームで薙ぎ払える!)
ナガレは素早く跳ねる様にビルの残骸の上に移動した。鼎達にすぐに距離を詰められる事もなく、確実に射程範囲に入れられる場所だった。
「ここからなら…何っ?!これはまさか…」
「残念でしたー」
ナガレはビルの残骸の上に立った数秒後に気づいたが、そこには電撃を発生させる網が何重にも張られていた。ナガレはすぐに残骸から飛び降りようとしたが、その前に桃香が電撃網を起動した。
「玖の型、雷獄!!…ってね」
「あああっ…!」
強烈な電撃を喰らったナガレは悲鳴を上げ続ける事もできずに気絶した。鼎はナガレに勝てた事を喜ぶと同時に、ボロボロになって倒れている彼女を見て少しだけ心配になった。
「勝てた!けど…アイツ、電撃でボロボロだけど大丈夫かな?」
「だいじょーぶ。どうせ現実の体への悪影響は無いから」
ーー
ナガレのアバターは運営側のユーザーによって回収されて、ストリートエリアの復元も開始された。しかし、テロ組織が特殊なプログラムを使用したせいで、復旧には時間がかかるらしい。
「そう言えばこのアバターもさっさと巴サンに診せた方が良いね」
「え…?!体が…内部からダメージが発生している?」
アナザーアース内のアバターであるにも関わらず、頭痛や意識障害が発生し始めていた。テロリストは立ち去り、既に攻撃は止んだはずなのだが…
「テロリストが使用したプログラムのせいで、放射線障害と似たような症状が発生しているんだね。このままだと無駄に苦しむだけだし、早めにログアウトした方がいいよ」
「うっ…分かった」
桃香の話を聞いた鼎は、さっさとログアウトする事にした。研究施設への潜入、ニセ愛莉との対峙、テロリストの襲撃…鼎は色々な出来事のせいで疲れていた。
ーー
(…もう日が暮れてる。時間を見るの忘れてた)
アナザーアースからログアウトした鼎は、自室の窓の外を見た。既に陽は沈んでいて、空にはいくつか星が見えていた。
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