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人魚の涙
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大勢の人間の、汚い欲にまみれた視線が、露になったシャルルの下肢に集中する。
「ふふ…客人方、その様子だとこの、神に愛された子をそうとうお気に召された様子ですな…。」
ヒルデルトの言葉に、誰も反論するものはいない。
シャルルの噂を聞くも、噂が誇張されただけで実際は大したことない…と笑っていた男も、今はギラギラした血走った眼をしており、いまにもシャルルの身体に襲い掛かりそうであった。
飢えた獣しかいない檻の中、男たちは視姦でもするかのように、獲物であるシャルルを見つめている。
「客人の中には、シャルルのこのドレスからのぞく足をずっと見ていた方もいるんではないですかな…?」
ヒルデルトの言葉に客人は、「だって、あの人魚のお姫様を生で…、それもこんな色っぽい姿を見せられてはね…」と興奮気味に語る。
「この日をどんなに夢見たことか…。この日の為に、うんと金を貯めたようなものですからな…」
「ええ。遠い国を噂を訪ね、渡ってきたかいがありましたよ…。ほんとうに美しい…」
うっとりと、夢でもみているように、男たちはため息を零す。
今日集められた客人は、それなりに金を持った上流階級のものたちで、他国からはるばるシャルルの噂をきき、やってきたものもいる。
バハロは、こうして月に何度か遊宴として、国々にいる上流階級のものや、資産家などを招き、シャルルを披露していた。
シャルルを1度抱いたものは、その身体に溺れてしまい、もう1度…と何度も金を集めてシャルルを抱きにくるものも多いという。
噂が噂をよび、海に囲まれた国ルッテ・クラウンの海の神に愛された人魚を抱くのは、上流階級のものにとって、一種のステータスにもなっていた。
「シャルルよ、ほれ…、客人はおまえのスリットからのぞく足を見ているぞ…。
おまえの恥ずかしいところまで見えているかもしれないな…」
ヒルデルトが、からかうように言ったところで、シャルルの表情は変わらない。
こんな大勢の前で、性的な目で見られても最早シャルルにとっては日常的になってしまい、羞恥心もないのか、綺麗な能面はそのままだった。視線に耐え切れず俯くこともなければ、その顔を朱色に染めることもない。
先ほど、一瞬、ヒルデルトに対し鋭い瞳を向けただけで、あとはまるで人形のように無表情であった。
「シャルル。
集まってくださった客人に、服を脱いでおまえの美しい白い肌をもっとよく見せてあげなさい…」
バハロは撫で上げた手を止めて、シャルルの耳に軽く歯をたてて、
「お前の厭らしい姿もね…」
と囁く。
「はい、だんなさま…」
シャルルは男の言葉に静かに頷くと、ドレスのファスナーを外して、ドレスを脱ぎ去り、客人たちの前でなにも身につけていない、生まれたままの身体を晒す。
今までドレスを纏い清楚な令嬢のようであったシャルル。
しかし、今は女にはない、ピンク色の綺麗なペニスを客人の前で晒していた。
綺麗な女のような顔に、使い込まれていない綺麗なペニスは、どこか妖しく淫猥である。
散々凌辱され、身体はバハロに調教されているというのに、ペニスも、それから乳首もまるで穢れを知らぬように形も色も綺麗なままだった。
どこもかしこも汚れていない、けれどその身体は男の愛撫に喜ぶように仕込まれた身体。
「散々、抵抗するお前を辱めるのも楽しかったのだがな…」
バハロは言いながら、シャルルのこめかみに口づけを落とす。
「今日はどうお前を辱めてやるかな…」
ニタ…と意地悪く笑みを浮かべるとシャルルの細い腰に腕を回して、バハロは城の広間を後にした。
これで見世物は終わりなのか…、その人魚の身体を好き勝手凌辱できるときいてやってきたのに…と客人たちは広間から消えたシャルルとバハロに不満を募らせたが…、
「客人よ、ここではなんです、今からあの者をきちんと可愛がることができる部屋へ案内いたしますので…、ついていただけますかな?」
続くヒルデルトの言葉に、すぐに機嫌が浮上し、ヒルデルトの案内の元、城の地下、薄暗い部屋へと案内された。
ヒルデルトが客人を部屋に案内すると、既にバハロは人が何人も乗ることができるような大きなベッドに腰かけ、シャルルに深い口づけをしていた。
互いの舌を絡ませあい、唾液すらも奪うほどの激しい口づけ。
部屋の中は薄暗く、明かりといえば数本の蝋燭のみだ。部屋には、大きなベッドのほかに、拷問器具なども置かれていた。
ベッドに腰を下ろしているバハロに対し、シャルルは膝をたて、バハロの肩に手を置いて口づけている。バハロの手はシャルルの身体をいやらしく撫でまわしていた。
恋人同士のような濃厚な口づけを前に、客人たちは羨ましそうな視線を向ける。
先ほど広間でバハロがシャルルにしたキスとは違い、今度はシャルルもバハロの口づけに応じ、舌を絡ませている。
「やはり、噂は本当だったんですな…」
「噂?」
「ほら、バハロ殿をシャルル王子が陥落さえたから今も生きながらえているって…」
「ああ。その噂か…。そうだな。こんな風に口づけているんだもんな…。本当なら王家を転覆させた憎むべき相手だというのに…」
「それだけ、淫乱な王子さまは死にたくなかったってことかね…。親兄弟の敵にしっぽを振ることになっても…」
客人たちが、二人の口づけを見て、ひそひそと喋りだす。
(違うのに…)
小耳に入ってきた言葉に、シャルルの心はぐさりと、ナイフで抉られるような痛みが走った。
(オレは、命欲しさにこんなことをしているわけじゃない…。オレは…)
こんな国を好き勝手する男を陥落させようなんて思わない。憎むべき敵の言いなりになるのならば、死んだほうがマシだ。
逃げ出せるものなら、とっくに逃げ出している。黄泉の国ですら、怖くない。自分の憎むべき相手に媚びを売るくらいなら、黄泉の国のほうがよほどいい。
…しかし、そうできない理由がシャルルにはあった。
「シャルル」
「んぁ…」
名前が呼ばれ、長いキスがおわり、唇が離される。
つぅ…と口と口とを紡ぐ銀糸。
感情のなかったシャルルの瞳は、今はキスでとろん、としており、薄く開いた唇からは甘い吐息が漏れていた。
「バハロ様は、それはシャルルを愛しているのですよ、客人。ほれ、みてください。この顔を…雌の顔でしょう?キスだけで、こうなってしまうのですよ、シャルルは…。」
ベッドの傍ら、二人を見つめながらヒルデルトは客人にいう。
「愛されているのですか…。しっかし、愛しているというのに、他の男に…それも大勢に抱かせるとは…」
「ふふふ…、バハロ様はお心が広い。それに、シャルルを他のものが汚すのも好きなのですよ。沢山の精を浴びて堕ちてしまった、シャルルが…ね」
ヒルデルトは、シャルルに近づき、彼の乳首を捻った。
「…っ、」
「シャルルは、ここも好きなのですよ…女のように…ね…。ここを沢山のおとこに弄られるのが好きなんです」
くにくに…と胸の突起を弄られれば、自然と身体は朱に染まっていき、そこも芯を持ったように固くなっていく。
バハロは下半身を、ヒルデルトは胸を、二人は手を休ませることなくシャルルに愛撫していく。
シャルルは、ゆっくりと襲い掛かる快感を耐えるように、小刻みに身体を震わせた。
「バハロ様に散々、愛された女の身体はこうしてやれば、すぐに熱がともるのですよ。ほら、ペニスも、バハロ様の愛撫を喜び泣いておる。とても気持ちがイイ…とね…」
ヒルデルトの言葉どおり、シャルルのペニスからは先走りが流れ、バハロの手を濡らしていた。どれだけ心では嫌悪していても、すっかり調教された身体は軽い愛撫ですぐに反応してしまう。
くちゅくちゅ…と淫猥な音を立てながら、バハロはシャルルのペニスを扱いていく。
「バハロ様、もっと足をシャルルに足を開かせるようお願いできますかな?客人殿は、シャルルのピンクの果実を見たくてうずうずしている様子」
「だそうだ、シャルルよ…」
バハロは片手はペニスを弄ったまま、シャルルの片足をたたると、客人たちにみえるよう、開かせていく。プルン、と小ぶりのペニスは震え、今はひっそりと閉じられたピンク色をした花弁まで客人の前に露になる
「シャルル…、我が美しき妻よ…」
うっとりと、バハロがシャルルの頬に口づけながら呟く。
(やめろ…。オレはお前の妻なんかじゃ…妻なんかじゃ…)
心で否定しつつも、バハロはシャルルの意思を無視し、国民の前で結婚の儀をしている。
その結婚は、ルッテ・クラウンの風習である結婚の儀とはかなりかけ離れたものであったけれど。
ルッテ・クラウンでの結婚・求愛の儀式にはこの国の愛の華であるカオークスを用いる。
花婿は花嫁にカオークスの華を送り、花嫁は貰ったカオークスを結婚の儀式のときにドレスの胸元につける…というのが風習であった。
『あんたは綺麗だからさ…。
きっと、これから、どんどん求愛されるだろうけど…、俺以外の誰からもカオークスの華を貰わないで。
俺、絶対結婚できる年になったら、1番最初にあんたに求愛するから。だから…、あんたはーーーーでいて。ーーーーーーだから…。約束して…』
シャルルが、本当に結婚したかったのは、いつも気障ったらしい言葉を吐いて、でも真剣にシャルルを思ってくれた人。
(…オレに華を貰うなって約束したのに…一番最初に求愛してくれるっていったのに…)
昔誓ってくれた言葉もぬくもりも、月日が流れた今は、もう遠い昔のことのように思える。
記憶は日に日に、薄れていきその記憶が消えていくたびに、シャルルの悲しみや苦しみは大きくなっていった。
「ふふ…客人方、その様子だとこの、神に愛された子をそうとうお気に召された様子ですな…。」
ヒルデルトの言葉に、誰も反論するものはいない。
シャルルの噂を聞くも、噂が誇張されただけで実際は大したことない…と笑っていた男も、今はギラギラした血走った眼をしており、いまにもシャルルの身体に襲い掛かりそうであった。
飢えた獣しかいない檻の中、男たちは視姦でもするかのように、獲物であるシャルルを見つめている。
「客人の中には、シャルルのこのドレスからのぞく足をずっと見ていた方もいるんではないですかな…?」
ヒルデルトの言葉に客人は、「だって、あの人魚のお姫様を生で…、それもこんな色っぽい姿を見せられてはね…」と興奮気味に語る。
「この日をどんなに夢見たことか…。この日の為に、うんと金を貯めたようなものですからな…」
「ええ。遠い国を噂を訪ね、渡ってきたかいがありましたよ…。ほんとうに美しい…」
うっとりと、夢でもみているように、男たちはため息を零す。
今日集められた客人は、それなりに金を持った上流階級のものたちで、他国からはるばるシャルルの噂をきき、やってきたものもいる。
バハロは、こうして月に何度か遊宴として、国々にいる上流階級のものや、資産家などを招き、シャルルを披露していた。
シャルルを1度抱いたものは、その身体に溺れてしまい、もう1度…と何度も金を集めてシャルルを抱きにくるものも多いという。
噂が噂をよび、海に囲まれた国ルッテ・クラウンの海の神に愛された人魚を抱くのは、上流階級のものにとって、一種のステータスにもなっていた。
「シャルルよ、ほれ…、客人はおまえのスリットからのぞく足を見ているぞ…。
おまえの恥ずかしいところまで見えているかもしれないな…」
ヒルデルトが、からかうように言ったところで、シャルルの表情は変わらない。
こんな大勢の前で、性的な目で見られても最早シャルルにとっては日常的になってしまい、羞恥心もないのか、綺麗な能面はそのままだった。視線に耐え切れず俯くこともなければ、その顔を朱色に染めることもない。
先ほど、一瞬、ヒルデルトに対し鋭い瞳を向けただけで、あとはまるで人形のように無表情であった。
「シャルル。
集まってくださった客人に、服を脱いでおまえの美しい白い肌をもっとよく見せてあげなさい…」
バハロは撫で上げた手を止めて、シャルルの耳に軽く歯をたてて、
「お前の厭らしい姿もね…」
と囁く。
「はい、だんなさま…」
シャルルは男の言葉に静かに頷くと、ドレスのファスナーを外して、ドレスを脱ぎ去り、客人たちの前でなにも身につけていない、生まれたままの身体を晒す。
今までドレスを纏い清楚な令嬢のようであったシャルル。
しかし、今は女にはない、ピンク色の綺麗なペニスを客人の前で晒していた。
綺麗な女のような顔に、使い込まれていない綺麗なペニスは、どこか妖しく淫猥である。
散々凌辱され、身体はバハロに調教されているというのに、ペニスも、それから乳首もまるで穢れを知らぬように形も色も綺麗なままだった。
どこもかしこも汚れていない、けれどその身体は男の愛撫に喜ぶように仕込まれた身体。
「散々、抵抗するお前を辱めるのも楽しかったのだがな…」
バハロは言いながら、シャルルのこめかみに口づけを落とす。
「今日はどうお前を辱めてやるかな…」
ニタ…と意地悪く笑みを浮かべるとシャルルの細い腰に腕を回して、バハロは城の広間を後にした。
これで見世物は終わりなのか…、その人魚の身体を好き勝手凌辱できるときいてやってきたのに…と客人たちは広間から消えたシャルルとバハロに不満を募らせたが…、
「客人よ、ここではなんです、今からあの者をきちんと可愛がることができる部屋へ案内いたしますので…、ついていただけますかな?」
続くヒルデルトの言葉に、すぐに機嫌が浮上し、ヒルデルトの案内の元、城の地下、薄暗い部屋へと案内された。
ヒルデルトが客人を部屋に案内すると、既にバハロは人が何人も乗ることができるような大きなベッドに腰かけ、シャルルに深い口づけをしていた。
互いの舌を絡ませあい、唾液すらも奪うほどの激しい口づけ。
部屋の中は薄暗く、明かりといえば数本の蝋燭のみだ。部屋には、大きなベッドのほかに、拷問器具なども置かれていた。
ベッドに腰を下ろしているバハロに対し、シャルルは膝をたて、バハロの肩に手を置いて口づけている。バハロの手はシャルルの身体をいやらしく撫でまわしていた。
恋人同士のような濃厚な口づけを前に、客人たちは羨ましそうな視線を向ける。
先ほど広間でバハロがシャルルにしたキスとは違い、今度はシャルルもバハロの口づけに応じ、舌を絡ませている。
「やはり、噂は本当だったんですな…」
「噂?」
「ほら、バハロ殿をシャルル王子が陥落さえたから今も生きながらえているって…」
「ああ。その噂か…。そうだな。こんな風に口づけているんだもんな…。本当なら王家を転覆させた憎むべき相手だというのに…」
「それだけ、淫乱な王子さまは死にたくなかったってことかね…。親兄弟の敵にしっぽを振ることになっても…」
客人たちが、二人の口づけを見て、ひそひそと喋りだす。
(違うのに…)
小耳に入ってきた言葉に、シャルルの心はぐさりと、ナイフで抉られるような痛みが走った。
(オレは、命欲しさにこんなことをしているわけじゃない…。オレは…)
こんな国を好き勝手する男を陥落させようなんて思わない。憎むべき敵の言いなりになるのならば、死んだほうがマシだ。
逃げ出せるものなら、とっくに逃げ出している。黄泉の国ですら、怖くない。自分の憎むべき相手に媚びを売るくらいなら、黄泉の国のほうがよほどいい。
…しかし、そうできない理由がシャルルにはあった。
「シャルル」
「んぁ…」
名前が呼ばれ、長いキスがおわり、唇が離される。
つぅ…と口と口とを紡ぐ銀糸。
感情のなかったシャルルの瞳は、今はキスでとろん、としており、薄く開いた唇からは甘い吐息が漏れていた。
「バハロ様は、それはシャルルを愛しているのですよ、客人。ほれ、みてください。この顔を…雌の顔でしょう?キスだけで、こうなってしまうのですよ、シャルルは…。」
ベッドの傍ら、二人を見つめながらヒルデルトは客人にいう。
「愛されているのですか…。しっかし、愛しているというのに、他の男に…それも大勢に抱かせるとは…」
「ふふふ…、バハロ様はお心が広い。それに、シャルルを他のものが汚すのも好きなのですよ。沢山の精を浴びて堕ちてしまった、シャルルが…ね」
ヒルデルトは、シャルルに近づき、彼の乳首を捻った。
「…っ、」
「シャルルは、ここも好きなのですよ…女のように…ね…。ここを沢山のおとこに弄られるのが好きなんです」
くにくに…と胸の突起を弄られれば、自然と身体は朱に染まっていき、そこも芯を持ったように固くなっていく。
バハロは下半身を、ヒルデルトは胸を、二人は手を休ませることなくシャルルに愛撫していく。
シャルルは、ゆっくりと襲い掛かる快感を耐えるように、小刻みに身体を震わせた。
「バハロ様に散々、愛された女の身体はこうしてやれば、すぐに熱がともるのですよ。ほら、ペニスも、バハロ様の愛撫を喜び泣いておる。とても気持ちがイイ…とね…」
ヒルデルトの言葉どおり、シャルルのペニスからは先走りが流れ、バハロの手を濡らしていた。どれだけ心では嫌悪していても、すっかり調教された身体は軽い愛撫ですぐに反応してしまう。
くちゅくちゅ…と淫猥な音を立てながら、バハロはシャルルのペニスを扱いていく。
「バハロ様、もっと足をシャルルに足を開かせるようお願いできますかな?客人殿は、シャルルのピンクの果実を見たくてうずうずしている様子」
「だそうだ、シャルルよ…」
バハロは片手はペニスを弄ったまま、シャルルの片足をたたると、客人たちにみえるよう、開かせていく。プルン、と小ぶりのペニスは震え、今はひっそりと閉じられたピンク色をした花弁まで客人の前に露になる
「シャルル…、我が美しき妻よ…」
うっとりと、バハロがシャルルの頬に口づけながら呟く。
(やめろ…。オレはお前の妻なんかじゃ…妻なんかじゃ…)
心で否定しつつも、バハロはシャルルの意思を無視し、国民の前で結婚の儀をしている。
その結婚は、ルッテ・クラウンの風習である結婚の儀とはかなりかけ離れたものであったけれど。
ルッテ・クラウンでの結婚・求愛の儀式にはこの国の愛の華であるカオークスを用いる。
花婿は花嫁にカオークスの華を送り、花嫁は貰ったカオークスを結婚の儀式のときにドレスの胸元につける…というのが風習であった。
『あんたは綺麗だからさ…。
きっと、これから、どんどん求愛されるだろうけど…、俺以外の誰からもカオークスの華を貰わないで。
俺、絶対結婚できる年になったら、1番最初にあんたに求愛するから。だから…、あんたはーーーーでいて。ーーーーーーだから…。約束して…』
シャルルが、本当に結婚したかったのは、いつも気障ったらしい言葉を吐いて、でも真剣にシャルルを思ってくれた人。
(…オレに華を貰うなって約束したのに…一番最初に求愛してくれるっていったのに…)
昔誓ってくれた言葉もぬくもりも、月日が流れた今は、もう遠い昔のことのように思える。
記憶は日に日に、薄れていきその記憶が消えていくたびに、シャルルの悲しみや苦しみは大きくなっていった。
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